バッドエンド

黒蝶

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「な……何故分かった?」
なんとなく察しはついていた。
私に話さないのは、気を遣ってくれてるんじゃないかって。
「俺の陰の気はそういうものを嗅ぎつけるのが得意なんだ」
ざわつく村人たちだったけど、その声は穂高に対する非難へと変わった。
「黒狐憑きの化け物の言葉なんて信じるはずがないだろ」
「そうだそうだ!」
「あれは祟りなんだよ!」
動揺していたことからも明らかなのに、絶対に自分たちの間違いを認めようとしない。
「そうだよな。俺の言葉なんか聞かないよな。……俺が祝福の神子の護衛についたら、あいつは自由にするんじゃなかったのか」
虚無に満ちた言葉の後、それは突然おこった。
【あははははははは!】
どこからかそんな嗤い声が聞こえたかと思うと、誰もいない場所が真っ黒な炎に包まれた。
村人たちは全員この場に集まっているはずで、他に誰かがいるなんて考えられない。
「なんだあれは……」
村長も訳が分からないといった表情で炎を見つめている。
多分、今の状況を誰も呑みこめていない。
「お、おまえは、」
【任務を終わらせてきました】
その声には聞き覚えがある。
穂高も気づいたみたいで顔を青くしていた。
「さ、最近の災いはおまえのせいだったのか!この疫病神!」
【僕のせい?そうですね、僕のせいですね】
適当に受け流す感じで答える声は、やっぱり宵だ。
【泡沫の呪いを倒してあげたのにそんな態度ですか?せめてお礼のひとつやふたつあれば考え直したのに……】
そう話しながら、宵は家屋を燃やしはじめた。
悲鳴をあげて逃げる村人たちなんてどうでもいい。
「……あなた、宵なの?」
【あははは!】
宵は狂ったように嗤うだけで、全然呼びかけに答えてくれない。
誰もいなくなった村を半分ほど焼きはらったところで、穂高が静かに声をかけた。
「宵」
「……ちょっと、疲れちゃいました」
「宵!」
宵の体はぼろばろで、口から大量の血を吐き出した。
倒れる瞬間フードがとれて、初めて顔が目に入る。
濁った右目に顔に残った大きな傷、傷んだ白髪……。
「穂高、ルナのことをお願いできますか?あんまり話さなくなっちゃうかもしれないけど、大切な家族なので」
「そんなこと言うな。それじゃあまるで……」
「時間がないんです。泡沫の呪いを解くために山に入る直前、村長からある薬を飲むよう言われました」
本当は苦しいはずなのに、宵は言葉を止めることなく話し続ける。
「忌薬の一種……30日後に死ぬ薬です」
「そんな……」
「だから、どうしても急ぐ必要がありました」
宵がどれくらい旅をしていたかなんて見れば分かる。
このまま放っておいたら、彼女は確実に死ぬ。
(忌薬の解毒剤の材料なんて、今から集めても間に合わない……)
膝から崩れ落ちた私を見て、宵はにっこり微笑んだ。
「僕はただ、最後のお願いを聞いてほしくてきました」
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