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前日譚
握りしめて、願いを。・其の弐 葉月side
弥生にお守りを渡してから数日。
私はもう一度学校という場所に通ってみる為に、試練を受けにやってきていた。
「次の方、どうぞ」
「し、失礼します...」
ついてこなくても大丈夫だと言ったのに、強引にやってきた母親が小さくガッツポーズをする。
(どうしてこんなときだけ、保護者面するんだろう)
私は扉をたたいて面接の部屋へ入る。
思い出したくないことを聞かれてしまったらちゃんと答えられるだろうか。
もし上手く答えられなかったら?
不安渦巻くなか、なんとか無事に面接を終えた。
「葉月、どうだった?」
「...」
急いで帰ろうとしたとき、通りかかった椅子に友人がいることに気づいた。
「弥生?」
「...え、葉月?」
ぱたんと本を閉じて、小さい声で私に話しかけてくる。
「葉月が受けるのもここだったんだね」
「もしかして、弥生もここに?」
弥生は小さく頷いて、こっそり教えてくれた。
「ほら、私はちょっと特殊というかなんというか...。だから、面接は最後の方なんだ」
「そうなんだ...」
もし合格しても独りだと思っていたのに、弥生がいるのはすごく嬉しかった。
「...葉月。そちらの方はお知り合い?」
どう説明しようか迷っていると、弥生がすっと立ちあがって最敬礼をした。
「はじめまして。私は葉月の...葉月さんの友人です」
『友人』...その言葉の響きがとても嬉しかった。
「また今度ね、葉月」
弥生はもう一度頭を下げ、別室へ行ってしまった。
「葉月...あなたいつの間にお友だちができたの?おひとりでいらしていたようだったけれど、」
「...あなたには関係ない」
私は真っ直ぐ歩きだす。
...夜いつもの場所で弥生と会うのを楽しみにしながら、早く母親と離れる為に。
そうして私も弥生も合格した。
「よかった、私駄目なんじゃないかと思ってたよ」
弥生が笑いながらいつものようにいちご大福を分けてくれる。
その手のひらを見ると、見覚えのあるものがしっかりと握られていた。
(弥生もお守り、持ってくれてるんだ)
少しだけ言いづらそうに、弥生が口を開く。
「葉月のお母さん...」
そのとき、ざあっと風がふいてきて、弥生の言葉が掻き消されてしまった。
「ごめん、もう一回、」
「何言おうとしたか忘れちゃった!...それより、入学式から一緒に行こうか」
「...!うん!」
ここからはじまる、私の新しい道。
弥生の手をぎゅっと握りしめて、どうかちゃんと通学できますようにと祈ったのだった。
私はもう一度学校という場所に通ってみる為に、試練を受けにやってきていた。
「次の方、どうぞ」
「し、失礼します...」
ついてこなくても大丈夫だと言ったのに、強引にやってきた母親が小さくガッツポーズをする。
(どうしてこんなときだけ、保護者面するんだろう)
私は扉をたたいて面接の部屋へ入る。
思い出したくないことを聞かれてしまったらちゃんと答えられるだろうか。
もし上手く答えられなかったら?
不安渦巻くなか、なんとか無事に面接を終えた。
「葉月、どうだった?」
「...」
急いで帰ろうとしたとき、通りかかった椅子に友人がいることに気づいた。
「弥生?」
「...え、葉月?」
ぱたんと本を閉じて、小さい声で私に話しかけてくる。
「葉月が受けるのもここだったんだね」
「もしかして、弥生もここに?」
弥生は小さく頷いて、こっそり教えてくれた。
「ほら、私はちょっと特殊というかなんというか...。だから、面接は最後の方なんだ」
「そうなんだ...」
もし合格しても独りだと思っていたのに、弥生がいるのはすごく嬉しかった。
「...葉月。そちらの方はお知り合い?」
どう説明しようか迷っていると、弥生がすっと立ちあがって最敬礼をした。
「はじめまして。私は葉月の...葉月さんの友人です」
『友人』...その言葉の響きがとても嬉しかった。
「また今度ね、葉月」
弥生はもう一度頭を下げ、別室へ行ってしまった。
「葉月...あなたいつの間にお友だちができたの?おひとりでいらしていたようだったけれど、」
「...あなたには関係ない」
私は真っ直ぐ歩きだす。
...夜いつもの場所で弥生と会うのを楽しみにしながら、早く母親と離れる為に。
そうして私も弥生も合格した。
「よかった、私駄目なんじゃないかと思ってたよ」
弥生が笑いながらいつものようにいちご大福を分けてくれる。
その手のひらを見ると、見覚えのあるものがしっかりと握られていた。
(弥生もお守り、持ってくれてるんだ)
少しだけ言いづらそうに、弥生が口を開く。
「葉月のお母さん...」
そのとき、ざあっと風がふいてきて、弥生の言葉が掻き消されてしまった。
「ごめん、もう一回、」
「何言おうとしたか忘れちゃった!...それより、入学式から一緒に行こうか」
「...!うん!」
ここからはじまる、私の新しい道。
弥生の手をぎゅっと握りしめて、どうかちゃんと通学できますようにと祈ったのだった。
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