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本篇・1年目後期
入学式に願いを。・其の壱 弥生side
その日、私は久しぶりに制服を着ていた。
通信制高校には制服がない。
けれど、入学式に合いそうな服がこれしかなかったのだ。
(...吐き気がする。早く着替えたい)
あたりを見回すと、面接のときにいた人たちが全員いた。
保護者ときている男子、大人だからか一人できている女性...そのなかに、見知った顔を一つ見つけることができた。
「葉月」
「弥生、おはよう」
一緒に行こうという夢は、残念ながら実現しなかった。
「弥生さん、こんにちは」
「...こんにちは」
私はこの人が苦手だ。
(葉月が不機嫌なのも頷ける)
詳しくは分からないけれど、葉月はかなり母親を嫌っている。
...もしかすると、愛が重いのかもしれない。
そんなことを考えながら、指定されていた席につく。
入学式はごくごく一般的なものと変わらない。
...違うのは、人数が少ないということだけだ。
(九月からだからこうもなるか)
...私と葉月、他に四人。
これだけ少ないのかとも思いつつ、少し安心している自分もいる。
制服から運動ができる洋服に着替えて、私はすぐ近くにある背中に向かって声をかける。
「葉月」
ようやく全てが終わり、友人の名前を呼ぶ。
「弥生...」
「大丈夫?なんだか顔色が悪いように見えるけど...」
「平気だよ。...ありがとう。それより、教科書取りに行こう?」
葉月の言葉に、私は小さく頷く。
(国語、体育、あとは...家庭科だっけ)
「なんだかかっこいいね」
「この服が?ただのスーパーで売ってたジャージだよ...」
私のは三冊ほどだったけれど、葉月のは物凄く重そうで...前が見えなくなりそうなほど積みあがっていた。
「葉月、手伝うよ」
「ごめんね...ありがとう」
「私力持ちだし、これくらい大丈夫」
二人で話しながら、教室へ一歩足を踏み入れる。
「大丈夫。...一人じゃないから」
「うん、そうだね」
(葉月の不安が、少しでもなくなってくれるといいんだけど...)
何が不安なのかまでは、私には分からない。
けれど、どうしてもなんとかしたかった。
私を友人だと言ってくれた、葉月の力になりたかった。
(...とはいえ、私も怖いな)
教科書を少しだけ震える手で握りしめて、なんとか少しずつ足を進めた。
通信制高校には制服がない。
けれど、入学式に合いそうな服がこれしかなかったのだ。
(...吐き気がする。早く着替えたい)
あたりを見回すと、面接のときにいた人たちが全員いた。
保護者ときている男子、大人だからか一人できている女性...そのなかに、見知った顔を一つ見つけることができた。
「葉月」
「弥生、おはよう」
一緒に行こうという夢は、残念ながら実現しなかった。
「弥生さん、こんにちは」
「...こんにちは」
私はこの人が苦手だ。
(葉月が不機嫌なのも頷ける)
詳しくは分からないけれど、葉月はかなり母親を嫌っている。
...もしかすると、愛が重いのかもしれない。
そんなことを考えながら、指定されていた席につく。
入学式はごくごく一般的なものと変わらない。
...違うのは、人数が少ないということだけだ。
(九月からだからこうもなるか)
...私と葉月、他に四人。
これだけ少ないのかとも思いつつ、少し安心している自分もいる。
制服から運動ができる洋服に着替えて、私はすぐ近くにある背中に向かって声をかける。
「葉月」
ようやく全てが終わり、友人の名前を呼ぶ。
「弥生...」
「大丈夫?なんだか顔色が悪いように見えるけど...」
「平気だよ。...ありがとう。それより、教科書取りに行こう?」
葉月の言葉に、私は小さく頷く。
(国語、体育、あとは...家庭科だっけ)
「なんだかかっこいいね」
「この服が?ただのスーパーで売ってたジャージだよ...」
私のは三冊ほどだったけれど、葉月のは物凄く重そうで...前が見えなくなりそうなほど積みあがっていた。
「葉月、手伝うよ」
「ごめんね...ありがとう」
「私力持ちだし、これくらい大丈夫」
二人で話しながら、教室へ一歩足を踏み入れる。
「大丈夫。...一人じゃないから」
「うん、そうだね」
(葉月の不安が、少しでもなくなってくれるといいんだけど...)
何が不安なのかまでは、私には分からない。
けれど、どうしてもなんとかしたかった。
私を友人だと言ってくれた、葉月の力になりたかった。
(...とはいえ、私も怖いな)
教科書を少しだけ震える手で握りしめて、なんとか少しずつ足を進めた。
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