満天の星空に願いを。

黒蝶

文字の大きさ
12 / 150
本篇・1年目後期

入学式に願いを。・其の弐 葉月side

「弥生...?」
なんだか弥生の調子が悪そうに見える。
「ん?どうかした?」
「ううん、なんでもない」
(緊張しているのかな?それとも...)
それとも、嫌なことを思い出したのだろうか。
聞かれたくないことなのかもしれないから、私は何でもないと笑うことしかできなかった。
...笑って誤魔化してはいけなかったのかもしれないのに。
久しぶりに足を踏み入れた『学校の教室』はなんだか新鮮で、思わずきょろきょろと見回してしまった。
「僕はこのクラスの担任になる佐藤です。何か困ったことがあればすぐに相談しにきてください。今日は八時間目に簡単な学校案内をしますので、途中で授業が終わった人も時間になったら戻ってきてください」
途中で終わる人...もしかすると、弥生以外にもいるのかもしれない。
「それじゃあ、これから授業です。各自そこに書かれているこの表や時間割りに書かれてあるのを参考に教室移動してください」
生徒同士の自己紹介がないことに、私はすごく安心した。
...そこで弥生が着替えていた理由に気づく。
「弥生も体育とってるんだね」
「うん。葉月もでしょ?」
「い、一応は」
久しぶりの体育館がやけに広く感じる。
私は体を動かすのが得意ではない。
もし失敗してしまったら...?
「葉月、大丈夫?」
「え、あ、うん...」
不安を押し殺して笑うと、弥生にぽんぽんと頭を撫でられる。
「大丈夫。そんなにがちがちにならなくても、私がいるから」
「ありがとう。そうだね、きっと大丈夫...」
「後期の体育二の実技は、バドミントンです」
先生の簡単な説明からはじまり、体操をして...私は弥生とペアを組んでバドミントンの練習をはじめる。
「はい、じゃあまずはサーブの練習から!」
「さ、サーブってどうやってやるの?」
「葉月、先に打ってみてもいい?」
私が頷くと、弥生がラケットを軽めにふっていた。
(すごい...羽根がちゃんと飛んでいってる)
「葉月もやってみて?なんかこう、多分こういう感じで...」
弥生は左手でラケットをぶんぶんとふりながら教えてくれた。
(ん?左手...?)
「弥生、左利きなの?」
「両利きです」
「知らなかった...」
しばらく練習していると、そこに先生がやってきた。
「そこ二人、ちょっと打ってみ?」
「は、はい!」
「そこはもうちょっと力抜いて...」
先生はすごく丁寧に教えてくれた。
ただ、やっぱり体が追いつかない。
「はい、じゃあ次はそっちいくよー」
「...はい」
そんな調子で、体育でヘトヘトになりながら次の授業へと向かう。
「それじゃあ葉月、また後で」
「う、うん...」
弥生がもう一時間受けてから一度帰ると言っていたのを思い出す。
私はこの後四時間みっちり弥生とは別の授業...。
(私...やっていけるのかな)
不安に思いながらも、私はホームの教室を出たのだった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

レオナルド先生創世記

山本一義
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき