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前日譚
ただ、平凡な願いを。弥生side
私は、この場所が嫌いだ。
落書きだらけの教科書、何者かによって漫画のようにかけられた水、存在すら認識しているのか定かではない教師、そして押し寄せてくる孤独感...。
(いや、孤高の方が正しいのかもしれない)
「どうしよう...」
無くなった上履きの代わりをどうしようかと困惑しながらそんなことを考える。
私は自ら独りを選択した。...周りにいる人たちを巻きこまない為に。
否、護りきれる自信がなかったから。
今日も耳障りなほどの悪口と、わざとぶつかってくるものを避けきれずにそのまま転ぶという現象と...本当に疲れる。
(もう駄目だ、全員が敵にしか見えない...)
「......」
このときの私は手痙攣が治らないことに絶望し、前が向けない状態になっていた。
頭のなかを『死』の一文字が過る。
そんな毎日を過ごしていた、ある日の放課後。
「その手は何ですか?」
「...病気です」
あんな質問に対して、これ以外に答えはない。
そうして教師に大声で言われてしまったおかげで、何も知らなかった生徒からも差別的な発言をされるようになってしまった。
(私がいなくなったところで問題ない、もう成績がいいわけではないのだから)
辛くないと言えば嘘になるけれど、もう何とかなるとも思えない。
...手痙攣が治っても、状況は変わらなかった。
そんな私の唯一の息抜きできる場所が、大きな木がある丘だった。
「...大丈夫なわけないでしょ」
読んでいた本を閉じると、だんだん目頭が熱くなってくる。
「無理だよ、もう無理...」
ある日突然はじまったそれに、もう耐えられる気がしなかった。
毎日の楽しみがいちご大福なんて、普通の高校生はそうはならないだろう。
あの店の人は、私を差別したりしない。
それもあって、もう常連になってしまっていた。
読書と折り紙だけが、私の友だち。
...絶対に裏切らないから。
生ゴミをロッカーに詰めこんだり、落書きしたりしないから。
悪口言ってゲラゲラ笑ったりしないから。
だからもう、終わりにするなら今この状況がいい。
...それでいいと思っていたのに、出会ってしまった。
「こんな場所があったなんて...」
このとき、私は何故か声をかけてしまった。
「ねえ、あなたも一人なの?」
「え、あ、ごめんなさい!」
その子は葉月と名乗った。
いちご大福を半分こしたあの日からちょくちょく会うようになって、私はその時間が楽しみで仕方なかった。
本当は、寂しかった。
ずっとずっと、話せる友人がほしかった。
(葉月...この子は普段どうしているんだろう)
普通に話して、普通に一緒にものを食べて...ただそれだけが生き甲斐だった。
ーーこのとき、私は気づいていなかった。
私の歯車が動き出していたことに。
この出会いが運命だったことに。
葉月が私の親友になることに。
落書きだらけの教科書、何者かによって漫画のようにかけられた水、存在すら認識しているのか定かではない教師、そして押し寄せてくる孤独感...。
(いや、孤高の方が正しいのかもしれない)
「どうしよう...」
無くなった上履きの代わりをどうしようかと困惑しながらそんなことを考える。
私は自ら独りを選択した。...周りにいる人たちを巻きこまない為に。
否、護りきれる自信がなかったから。
今日も耳障りなほどの悪口と、わざとぶつかってくるものを避けきれずにそのまま転ぶという現象と...本当に疲れる。
(もう駄目だ、全員が敵にしか見えない...)
「......」
このときの私は手痙攣が治らないことに絶望し、前が向けない状態になっていた。
頭のなかを『死』の一文字が過る。
そんな毎日を過ごしていた、ある日の放課後。
「その手は何ですか?」
「...病気です」
あんな質問に対して、これ以外に答えはない。
そうして教師に大声で言われてしまったおかげで、何も知らなかった生徒からも差別的な発言をされるようになってしまった。
(私がいなくなったところで問題ない、もう成績がいいわけではないのだから)
辛くないと言えば嘘になるけれど、もう何とかなるとも思えない。
...手痙攣が治っても、状況は変わらなかった。
そんな私の唯一の息抜きできる場所が、大きな木がある丘だった。
「...大丈夫なわけないでしょ」
読んでいた本を閉じると、だんだん目頭が熱くなってくる。
「無理だよ、もう無理...」
ある日突然はじまったそれに、もう耐えられる気がしなかった。
毎日の楽しみがいちご大福なんて、普通の高校生はそうはならないだろう。
あの店の人は、私を差別したりしない。
それもあって、もう常連になってしまっていた。
読書と折り紙だけが、私の友だち。
...絶対に裏切らないから。
生ゴミをロッカーに詰めこんだり、落書きしたりしないから。
悪口言ってゲラゲラ笑ったりしないから。
だからもう、終わりにするなら今この状況がいい。
...それでいいと思っていたのに、出会ってしまった。
「こんな場所があったなんて...」
このとき、私は何故か声をかけてしまった。
「ねえ、あなたも一人なの?」
「え、あ、ごめんなさい!」
その子は葉月と名乗った。
いちご大福を半分こしたあの日からちょくちょく会うようになって、私はその時間が楽しみで仕方なかった。
本当は、寂しかった。
ずっとずっと、話せる友人がほしかった。
(葉月...この子は普段どうしているんだろう)
普通に話して、普通に一緒にものを食べて...ただそれだけが生き甲斐だった。
ーーこのとき、私は気づいていなかった。
私の歯車が動き出していたことに。
この出会いが運命だったことに。
葉月が私の親友になることに。
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