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本篇・1年目後期
一撃に願いを。葉月side
それは、体育の時間のこと。
「弥生」
「どうしたの?」
「...ごめん」
弥生は言葉の続きを待つように私を真っ直ぐ見つめている。
「私のミスが多くて、練習試合になかなか勝てなくて...」
「それはお互い様でしょ?私だって上手な訳じゃないし、それに...それに、私は勝ち負けより葉月と一緒にできるのが嬉しいから」
弥生の言葉に私を気遣うような嘘はなさそうだった。
どうしてそんなふうに優しい言葉をかけられるのだろうと、少しだけ不思議に思った。
「ほら、次の試合まで練習しよう?」
「うん...!」
二人でラリーをしていると、刻々と試合が迫ってきていることを告げるように時計の針がどんどん進んでいくのが目にはいる。
「葉月、そんなにがちがちにならなくても大丈夫だよ。公式のものじゃないんだし、楽しみながらやろう」
どこまでも真っ直ぐで強い眼差しに惹かれるように、私は弥生に駆け寄った。
「...ありがとう、弥生」
「私は友人としてできることをしただけだよ」
『友人』...その言葉の響きがとてもよくて、ずっと頭のなかでこだましている。
「それじゃあ...行こう」
「うん!」
次のお相手は、初めて対戦するペアだった。
「お願いします!」
「よ、よろしくお願いします...」
すごく明るい人たちで、はじめから圧倒された。
結構ラリーが続いたけれど、やっぱり先制したのはお相手チームで...どうすればいいのか分からなくなってしまった。
「葉月、大丈夫だよ」
「...うん、ごめんね」
何度も点数を取って取られを繰り返し、けれどやっぱりお相手チームが先にマッチポイントになって...私はまた焦ってしまう。
(どうしよう...もう失敗したら終わっちゃう)
「葉月」
「弥生...?」
「大丈夫。練習したんだし、思い切り打って」
「...!」
「それじゃあ、いくよ!」
お相手の人の声を聞いて、私はひたすら走る。
羽根を追いかけて、追いかけて、追いかけて...。
(お願い、当たって!)
私は勢いをつけて、ラケットを思い切りふった。
「...!」
「す、スマッシュ...!?すごい速かったね!」
「あ、ありがとうございます...」
自分でもびっくりするような速さで、羽根はネットを越えていった。
もしかしたら、頑張れば勝てるかもしれない...そう思った瞬間、先生の声が聞こえた。
「ありがとうございました」
「ううん、こちらこそ!」
(いい先輩だったな...)
ぼんやりしていると、弥生がこちらに駆け寄ってきてくれた。
「さっきのすごかったね、葉月」
「本当?」
「うん。...なんか感動した」
普段クールな弥生が興奮している...。
(弥生が嬉しそうにしていると、私まで嬉しくなるな)
二人並んで片づけにいく。
そこには、いつものような申し訳なさはなかった。
「弥生」
「どうしたの?」
「...ごめん」
弥生は言葉の続きを待つように私を真っ直ぐ見つめている。
「私のミスが多くて、練習試合になかなか勝てなくて...」
「それはお互い様でしょ?私だって上手な訳じゃないし、それに...それに、私は勝ち負けより葉月と一緒にできるのが嬉しいから」
弥生の言葉に私を気遣うような嘘はなさそうだった。
どうしてそんなふうに優しい言葉をかけられるのだろうと、少しだけ不思議に思った。
「ほら、次の試合まで練習しよう?」
「うん...!」
二人でラリーをしていると、刻々と試合が迫ってきていることを告げるように時計の針がどんどん進んでいくのが目にはいる。
「葉月、そんなにがちがちにならなくても大丈夫だよ。公式のものじゃないんだし、楽しみながらやろう」
どこまでも真っ直ぐで強い眼差しに惹かれるように、私は弥生に駆け寄った。
「...ありがとう、弥生」
「私は友人としてできることをしただけだよ」
『友人』...その言葉の響きがとてもよくて、ずっと頭のなかでこだましている。
「それじゃあ...行こう」
「うん!」
次のお相手は、初めて対戦するペアだった。
「お願いします!」
「よ、よろしくお願いします...」
すごく明るい人たちで、はじめから圧倒された。
結構ラリーが続いたけれど、やっぱり先制したのはお相手チームで...どうすればいいのか分からなくなってしまった。
「葉月、大丈夫だよ」
「...うん、ごめんね」
何度も点数を取って取られを繰り返し、けれどやっぱりお相手チームが先にマッチポイントになって...私はまた焦ってしまう。
(どうしよう...もう失敗したら終わっちゃう)
「葉月」
「弥生...?」
「大丈夫。練習したんだし、思い切り打って」
「...!」
「それじゃあ、いくよ!」
お相手の人の声を聞いて、私はひたすら走る。
羽根を追いかけて、追いかけて、追いかけて...。
(お願い、当たって!)
私は勢いをつけて、ラケットを思い切りふった。
「...!」
「す、スマッシュ...!?すごい速かったね!」
「あ、ありがとうございます...」
自分でもびっくりするような速さで、羽根はネットを越えていった。
もしかしたら、頑張れば勝てるかもしれない...そう思った瞬間、先生の声が聞こえた。
「ありがとうございました」
「ううん、こちらこそ!」
(いい先輩だったな...)
ぼんやりしていると、弥生がこちらに駆け寄ってきてくれた。
「さっきのすごかったね、葉月」
「本当?」
「うん。...なんか感動した」
普段クールな弥生が興奮している...。
(弥生が嬉しそうにしていると、私まで嬉しくなるな)
二人並んで片づけにいく。
そこには、いつものような申し訳なさはなかった。
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