満天の星空に願いを。

黒蝶

文字の大きさ
88 / 150
本篇・1年目前期

始業式に願いを。弥生side

少しだけ楽しみにしていた学校...。
門をくぐり抜け、自分の席を探す。
後期入学者は席が固められていたけれど、全然見たことがない人たちが大半だ。
(あれは...)
少し遠い場所に、見覚えのある顔を見つける。
...しばらくの間、葉月と私の間に入ってきた人だ。
そしてそれは...向こうが分かっているかは分からない。
けれどつっこむつもりもない。
『名札が一つ減ってますけど、どうしたんですか?寮を辞めちゃったわけではないんですよね...?』
『彼女は学校そのものを辞めましたので、名札を外させてもらいました』
彼女が、私の後輩だったことを。
(辞めた後ここにきたわけで...今は私より半年先輩なんだし)
「弥生、おはよう」
「おはよう。席ここだって」
葉月は少しほっとしたように私を見つめる。
「よかった、隣だ...」
「そういえば、そろそろ移動しないと」
「そうだね」
二人並んで歩いていると、色んな先生が声をかけてくれた。
「二人とも早いね」
去年の担任の先生。
「真面目だね...」
生徒指導の先生。
「おはよう。今期もよろしく」
教頭先生。
久しぶりに見る顔ぶれに、なんだかほっとする。
「先生勢揃いって感じだね」
「そうだね。...葉月、後ろの方に座ろうか」
「うん!」
二人揃って腰掛けると、やがて人が集まりはじめた。
わらわらとくる人たちのなかには、全く知らない人もいて...これだけの人数がいるんだなと実感した。
それでも、どうしても水曜日にしかこられない人たちもいるわけで...。
(その人たちを合わせるとどれくらいなんだろう)
「はい、それでは始業式をはじめます」
離任式や新任の先生の紹介があった後、担任の教師が発表された。
「二年生の担任をさせていただくことに...」
そこから先は、聞いていない。
...不安で、それどころではなかったからだ。
(この人、多分通信制には向いてないタイプだ)
直感で分かる。
高校は非常勤講師の先生を除けばほぼ異動がないはずで...実際、この学校から異動になったのも、講師の先生だけで、後は退職になった先生だ。
そんななか変わってくるということは、何かあるのではないか...そんな予想をしてしまう。
「これで終わりますので、まずは教科書をとりに行ってください」
(後期の担当だった先生は併修生の方に...)
もう、不安しかない。
「弥生?」
「なんでもない。葉月、行こう」
朝のホームルームはなくなる。
けれどその代わり、人数が増えたホームによく分からない初老であろうホーム担任になった教師...。
対処しなければならない問題は山積みだ。
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

レオナルド先生創世記

山本一義
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき