満天の星空に願いを。

黒蝶

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本篇・1年目前期

久しぶりの相談、少しだけ不安だった。

記録
『やっぱり誰かと顔を合わせるのが怖い。
今日も少し外へ出ようとしただけで、足の震えが止まらなかった。
どうして人とすれ違うだけで、こんなふうになってしまうのだろう。
母親の機嫌がいいのは、どうしてなんだろう。
私に関わらないでいてくれるなら、それでいい。
今はただ、弥生に会いたい。
その為には、なんとか頑張ってみるしかない。
少しずつ長い時間外へ行けるようになってる。
大丈夫、きっと大丈夫...』

「...失礼します」
この時期、来期の教科を決めるのだけれど...目の前にいるのは初老の教師ではなく、何故か元・担任の先生だった。
「あの先生はどこに...」
「ああ、別の人がなかなか決まらなかったらしくて...」
...今のは嘘だ。
先生は優しい嘘をついている。
「...そうなんですか」
私が言えることは、ただそれだけだった。
まさか、『今のは嘘ですよね?』なんて言うわけにはいかない。
(...さて、どうしようかな)
「...あの、葉月は、」
「こられるように頑張るって本人は言ってたけど、まだどうなるかは分からない」
「...そう、ですか」
「それで、弥生さんがとる教科の話なんだけど...」
あまり深く話せないのは分かっている。
だから、そこに深くつっこむようなことはしない。できない。
けれど、話の切り替え方があまりにも分かりやすくて...少しだけ動揺してしまった。
「...というわけなんだけど、どう?」
「え、あ、はい。それじゃあそれでお願いします」
後期、再び情報処理をとることになった。
前期だけでもう既に十点以上とっていて、本当なら卒業できる。
できるけれど、後期に卒業した方がいいと言われているからやめておくのだ。
(ただ、在学するいじょうは何かしらの教科をとっておく必要があると...)
葉月もとる予定だからというのを聞いて、即決した。
少しでも長く葉月と過ごせるなら...なんだっていい。
...いつもならここで帰るけれど、今日はもうひとつ話したいことがあった。
「...あの、一つ相談があるんです」
「どうした?」
目の前の真剣な表情には、やっぱり嘘はないだろうと思う。
だから、思いきって話してみた。
「...私は、将来なりたいものがあって。けれど、どうやって親とコミュニケーションをとればいいのか分からないんです」
先生は真面目に答えてくれた。
答えてくれたけれど...私には、実践できそうにない。
...やっぱり自分が措かれている状況は人とは違うのだと痛感した。
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