満天の星空に願いを。

黒蝶

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本篇・夏休み

久しぶりのショッピングモール、楽しかった。

記録
『見切れていたものの、花火は少しだけ見えた。
あの人たちが帰ってきていないおかげで、のびのびと生活できている。
早く自力で生活できるようになりたい。
...弥生みたいに、一人でなんでもできるようになりたいな』

(暑い...)
久しぶりにきたショッピングモールではじめに思ったことはそれだった。
本を買いにきたはずだったのだけれど、気づいたときにはリズムゲームの前に立っていた。
独りのとき、いつもこうしてゲームをしていたことを思い出す。
...ゲームも、人みたいに裏切らないから。
離れていったり裏切られる心配がないから、安心してしまう。
いいことではないと分かっていても、そう思わずにはいられない。
「...パーフェクト」
地道に練習して結果に出すことができれば、いい評価をもらえる。
失敗しても責めるのではなく慰めてくれる。
...そういった部分に、理想の社会が隠れているような気がする。
(努力した過程を認められる社会...理想論かな)
「ステーキ定食と抹茶パフェください」
レストランではそんな注文をして、黙々と食べる。
(これから本屋さんに行って、それから洋服とか雑貨でも見ようかな)
知り合いがいないという幸福...本当によかった。
本屋に行くと、新刊がずらっと並んでいる。
あれもいいこれもいいと見ていると、一時間以上たっていた。
(どうしよう、どれにしよう...)
そのとき、一冊の本が目にはいる。
直感でそれにしようと決めて、レジで会計をすませた。
次に向かったのは雑貨屋。
文房具とぬいぐるみのコーナーを見てまわった。
(...あ)
もふもふな手触りのくまの小さなぬいぐるみを手にとる。
それ以外に文房具を揃えて、少し舞いあがっていた。
(こういうの、なんだか久しぶりなような気がする)
一人でショッピング...最近はあまりしていなかった。
色んな人たちの顔が頭を過る。
それに囚われたくなくて、できるだけ何も考えないようにしながら一歩踏み出す。
そろそろ出ようかとも思っていたけれど、足はゲームセンターへと向いていた。
「...フルコンボ」
そんな一日がもうすぐ終わるというとき、私は荷物を持ったまま大木の下にきていた。
「葉月...」
新学期になれば会えるだろうか。
どうなるかは分からないけれど、今はそう願うことしかできない。
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