満天の星空に願いを。

黒蝶

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本篇・夏休み

久しぶりの応募、結果がどうなるのか怖い。

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記録
『今日も先生と面談した。
あの人たちが家にいるからどうしてかと思っていたけれど、そういうことだったのかと納得した。
先生はこの家が普通だと思っているみたいだけれど、本当は全然そんなことない。
だけど、私はただ黙って話を聞くことしかできなかった。
...弥生が、私がとる教科のうちの一つをとってくれたらしい。
たまたまでも、嬉しかったよ。
ありがとう』

...ついにこの日がきてしまった。
ポストに投函するだけなのに、右往左往してしまう。
「...どうしよう」
そんな言葉を吐き出してしまうけれど、ここまできたらやるしかないのだ。
「...」
結局、朝は投函するのをやめてしまった。
そしてそのまま、いつもの和菓子屋さんでアイスを買って、食べて...夜になるのを待つことにした。
(またうろうろしたら迷惑になるし...)
疲れたなと空を見あげる。
ーーそれは、今にも泣き出しそうなほどの天気だった。
そうこうしているうちに、空がだんだん闇で染まっていく。
(...私の心みたい)
泣き出しそうなくらいに、私の心はぐちゃぐちゃだ。
自分でもそれは分かっている。
分かっているつもりだけれど、どうしようもないのだ。
分かってもらえないことが、何をしても虚無感に襲われることが、こんなにも地獄に感じる日がやってくるとは思っていなかった。
『弥生』
私には、彼女が死のうとするのを止めたことが正解だったのか分からない。
一生悩み続ける問題になることは分かっているけれど、それでもこれは私の罪だ。
この世界はとてつもなく残酷で、絶望に満ち溢れている。
どんなにもがいて足掻き苦しんでも、その先に明るい未来なんて待っていない。
『明るい未来がある』...そう思える人が、心から羨ましい。
(...さて、そろそろかな)
震える手でなんとかポストに入れる。
それから目を閉じてそっと祈る。
...何でもいい。誰かの目に留まってくれますように。
できる限りのことはした。
けれど、私には不安しかない。
小説の結果も、これから先のことも。
...私なんかが何かできるとは思っていない。
それでも、やってみる価値はあるだろうか。
自分でも何を考えているのか、分からなくなってしまった。

ーーこの不安が、闇夜に溶けてしまえばいいのに。
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