満天の星空に願いを。

黒蝶

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本篇・2年目後期

初詣

弥生はいつものように駅まで送ってくれた。
そろそろ電車がくるという時間になって、弥生が口を開いた。
「葉月がよかったらだけど、初詣に行かない?」
「私はいいけど...弥生、忙しくないの?」
弥生は小説を書いている。
私みたいに身軽なわけでもないのだ...多分。
「しばらくはちょっと休みがほしいし、人と行ったことないし...。それに、気分転換になるかなって思って」
何があったのかまでは分からないけれど、あんまり聞かれたくないことだったということだけは理解した。
(悪いことしちゃったかな...)
「葉月が何か悪いことをしたわけじゃないんだから、そんな顔しなくても大丈夫だよ。それじゃあお昼から、駅集合にしよう」
「うん!」
普段は電車ではなく歩いて帰るのだけれど、一駅ほどの距離を歩くには少し寒すぎた。
それに、この大荷物で移動するのはなかなか難しい。
(荷物の整理をして、また何か作っていこう)
そして午後、約束の時間ぴったりに行くともう既に弥生はきていた。
「ごめん、遅くなっちゃって...」
「私が早くきただけだから」
そんな話をしながら、一番近くにある神社へと向かう。
人でいっぱいかと思っていたけれど、行列はそんなに長くなくてすぐに辿り着くことができた。
「...ここ、穴場なんだ。人がかなり多いのは朝で、それ以外の時間帯はあんまり人がいない」
「そうなんだ...」
「だから毎年、独りできてた」
石段が少しきつめで、のぼりづらそうな場所が何ヵ所もある。
それなのに、弥生は汗ひとつかいていないのがすごいなと思った。
(なれてる...のかな)
「よし、お参りしてこよう」
二人で二礼二拍手して、お願いをする。
(時間がかかってもいいから、なんとか卒業できますように。それから...高卒認定に合格できますように)
実は早く卒業する為に、社会と理科のなかにある四科目を受験しておいたのだ。
ちゃんと合格したかどうか、不安で仕方ない。
そうして一礼して、顔を見あわせた。
「お守り買って、絵馬でも書こうか」
「うん!」
弥生は何を願ったのだろうか。
聞いてみたい気もするけれど、それでは駄目なのかもしれない。
「絵馬、なんて書こうかな...」
「私も何て書こう」
二人で少し悩んで、それから少しだけ筆が動いたもののまた止まって...それを繰り返した。
(どうすればいいのかな...)
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