満天の星空に願いを。

黒蝶

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本篇・2年目後期

最後の初詣 弥生side

願い...願い事なんてしてしまってもいいのかと思い悩んでしまう。
「弥生?」
「ごめん、なんでもない」
本当はこんなことを書いてはいけないのかもしれないけれど、他に書くことなんてない。
(『どうか、作家になれますように』。それからあとは...『葉月と仲良しでいられますように』)
そんな言葉しか書くことができなかった。
...私は、きっと駄目だから。
『弥生!』
「...」
いつものように声がしたような気がするけれど、絶対にその場でしたものではない。
けれどもし、彼女とただの友人でいられる日々が続いていたら...そんなことを考えてしまうこと自体愚かなのだ。
「弥生?やっぱり今日、元気がない...?」
「ごめん、本当になんでもないんだ。それより、御神籤とお守り買いに行かない?」
「うん!」
まずは御神籤をひいてみようという話になり、一枚選んでみる。
「私は...末吉。けど、【願望:今のままいけば叶う】って書いてある...葉月は?」
「えっと...あ、大吉だ!だけど、【学業:精進せよ】って...」
二人で思いきり笑いあう。
こんなにも穏やかな時間を過ごせたのは久しぶりなような気がする。
その事実に、少しだけ心が踊った。
(よかった、私にもこんな感情がまだあったんだ...)
いつもは独りで、全く味気なかった初詣。
学生としてくるのはこれが最後になるけれど、いい思い出になった。
「弥生」
「どうかした?」
「...また一緒に、」
「ん?」
「来年もまた一緒にこようね」
「そうだね」
先のことは分からない。
突然何かとんでもないことがおこってしまうことだってある。
けれど、今日の約束だけは守りたい。
厄除けのお守りを選んでお会計をすませる。
「この後時間があるなら、どこかお店に出掛けない?」
「うん、賛成!」
それから行き先が決まらなくて、結局いつもの丘へ向かう。
「ここからの景色、やっぱり綺麗だね!」
「そうだね」
登りきったときに見える景色は格別だ。
...特に、隣に誰かがいるときは。
そのとき、そらから白いものがちらちらと降ってくる。
「わあ...!」
「雪、積もるかもしれないね」
「本当?楽しみだな...」
このあたりでは雪がほとんど降らない。
葉月が楽しみにするのも分かるなと思いつつ、もし積もったら何かして遊ぼうかと約束をする。
そうして束の間の休みを楽しんだのだった。
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