ハーフ&ハーフ

黒蝶

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日常篇

気遣い

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目を開けると、そこには眠っている木葉の姿があった。
(まだ夜中だ...)
なんだか喉が渇いて、慎重に体を起こす。
私が側にいてほしいって言ったから、木葉は約束を守ってくれた。
それは嬉しいことだけれど、また迷惑をかけてしまったのだと思うと少し複雑な気持ちになる。
「...ありがとう」
ブランケットをかけて、そのまま何かを飲みに向かう。
そのとき、あるものが目にはいった。
それは、とても綺麗に片づけられた食器。
私がいつもやっているように仕舞われていて、沢山の本が散らばっている。
ふと自分の体を見てみると、いつの間にか洋服も部屋着から寝巻きに変わっていた。
「だいぶよくなったみたいでよかった」
「木葉...!」
どこか疲れた様子の彼にできることはあまりない。
だからこそ、せいいっぱいできることをやってみよう。
「迷惑かもしれないけど、何か飲む?私はこれからお茶か水を飲もうかなって思ってたところだったから、もし必要なら...」
「それじゃあ七海と同じがいい」
もしかすると、また木葉に気を遣わせてしまったかもしれない。
(どう伝えるのが正解だったんだろう...)
「家のこと、沢山やってくれてありがとう。それから...ごめ、」
「ごめんなんて言わないで。僕がやりたくてやっただけだから」
彼だって仕事だったのに、余計に疲れさせてしまって申し訳ないと思っている。
けれど紳士的に振る舞ってくれる恋人は、いつだって私の冷えた心を温かくしてくれるのだ。
「目が冴えちゃってるならだけど、少しだけ話をしよう」
「いいの?」
「勿論!だって僕、いつもは独りで起きてるから...ヴァンパイアだからかな?」
前に『夜はあまり眠くならない』と言っていたのを思い出す。
はじめは私につきあって起きてくれるのだと思っていたのだけれど、そうじゃないならお願いしたいと決意した。
「七海は眠くないの?」
「眠くないよ。久しぶりによく眠ったからかな?」
私は小さい頃からあまり眠れない。
...そういう体質らしいけど、原因が分からないということ以外は特に気にしないようにしている。
「子守唄を歌ったら眠くなる?」
「もう、子どもじゃないんだから...。
それよりも、今日はどんなことがあったのか、木葉の話を聞きたいな」
「あんまり面白い話はできないけど...あのね、今日はバイトで...」
こんなにも幸せな毎日を送れるなんて、あのときは思っていなかった。
今があるのは、誰かがいてくれたおかげだ。
──時々夢に出てくるあの人は、一体誰なのだろう。
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