20 / 258
日常篇
朝陽の色
しおりを挟む
「...あれ?」
窓から注ぎこまれる光に照らされて、あまりの眩しさに目を開ける。
(まだ5時45分...?)
それでも、少しずつ昇っていく太陽を見られるのは新鮮だった。
私は昨日、どんなふうに寝てしまったのだろう。
「...?」
頭の下に何かあるのを感じて起きあがると、そこには木葉の腕があった。
私が寝ている間、ずっと腕枕をしてくれていたらしい。
(どうしよう、ちょっと恥ずかしくなってきちゃった...)
近くのテーブルに視線をやると、何やらメモ書きがあるのを見つけた。
《七海へ
僕はきっと起きられないだろうから、おなかが空いたら冷蔵庫の中のものを自由に使ってください。
だけど、1番下の段に入ってる小瓶には触らないでほしい。
それ以外は、本当に何を使っても構わないから!
絶版になったものも沢山紛れてるはずだから、本も読みたいものがあれば自由に読んでね。
僕のことは気にせず、帰りたくなったら帰っちゃってね。
楽しい思い出ができてよかった。本当にありがとう》
それは間違いなく木葉の字で書かれていたけれど、本当に使ってしまってもいいのか不安でもう1度横になる。
...勿論、木葉の腕はちゃんと避けて。
綺麗な朝陽を浴びられて、このお部屋は本当にいいところだなと思う。
嫌なことを全部忘れられるし、隣には愛しい人が眠っていて...本当に堪らない気持ちになる。
(...っ、いけない)
泣いてはいけないと思えば思うほど、だんだん体を動かすのが辛くなる。
誰にも話していない、悪夢の日のこと。
時々思い出しては怖くなって、震えが止まらなくなってしまうのだ。
「ななみ、ど、したの...?」
「木葉...」
ふにゃふにゃな声で私に話しかけながら、ゆるゆると抱きしめられる。
「よしよし、だいじょうぶだから...」
「これじゃあ動けないよ」
「こうしてたら、だめ?」
私はこの、『駄目?』に弱い。
寝惚けているからなのか、破壊力はいつもの何倍もある。
「...駄目じゃないよ。抱きしめたまま離さないで」
「うん」
それだけ言うと、木葉は再び寝息をたてはじめる。
(泣いているのに気づかれた?それとも、寝惚けていただけ?)
どちらともとれる優しさに、今はただ甘えていたい。
いつの間にか太陽はすっかり昇りきっていて、その景色もまた綺麗だと感じながらゆっくり瞼をおろす。
このままずっと眠っていたいと思うほど、心地よい時間だった。
──そんな姿を見て、少年はほっとする。
「七海、どうして泣いてたの?」
その言葉は、小鳥のさえずりに吸いこまれて消えていった。
窓から注ぎこまれる光に照らされて、あまりの眩しさに目を開ける。
(まだ5時45分...?)
それでも、少しずつ昇っていく太陽を見られるのは新鮮だった。
私は昨日、どんなふうに寝てしまったのだろう。
「...?」
頭の下に何かあるのを感じて起きあがると、そこには木葉の腕があった。
私が寝ている間、ずっと腕枕をしてくれていたらしい。
(どうしよう、ちょっと恥ずかしくなってきちゃった...)
近くのテーブルに視線をやると、何やらメモ書きがあるのを見つけた。
《七海へ
僕はきっと起きられないだろうから、おなかが空いたら冷蔵庫の中のものを自由に使ってください。
だけど、1番下の段に入ってる小瓶には触らないでほしい。
それ以外は、本当に何を使っても構わないから!
絶版になったものも沢山紛れてるはずだから、本も読みたいものがあれば自由に読んでね。
僕のことは気にせず、帰りたくなったら帰っちゃってね。
楽しい思い出ができてよかった。本当にありがとう》
それは間違いなく木葉の字で書かれていたけれど、本当に使ってしまってもいいのか不安でもう1度横になる。
...勿論、木葉の腕はちゃんと避けて。
綺麗な朝陽を浴びられて、このお部屋は本当にいいところだなと思う。
嫌なことを全部忘れられるし、隣には愛しい人が眠っていて...本当に堪らない気持ちになる。
(...っ、いけない)
泣いてはいけないと思えば思うほど、だんだん体を動かすのが辛くなる。
誰にも話していない、悪夢の日のこと。
時々思い出しては怖くなって、震えが止まらなくなってしまうのだ。
「ななみ、ど、したの...?」
「木葉...」
ふにゃふにゃな声で私に話しかけながら、ゆるゆると抱きしめられる。
「よしよし、だいじょうぶだから...」
「これじゃあ動けないよ」
「こうしてたら、だめ?」
私はこの、『駄目?』に弱い。
寝惚けているからなのか、破壊力はいつもの何倍もある。
「...駄目じゃないよ。抱きしめたまま離さないで」
「うん」
それだけ言うと、木葉は再び寝息をたてはじめる。
(泣いているのに気づかれた?それとも、寝惚けていただけ?)
どちらともとれる優しさに、今はただ甘えていたい。
いつの間にか太陽はすっかり昇りきっていて、その景色もまた綺麗だと感じながらゆっくり瞼をおろす。
このままずっと眠っていたいと思うほど、心地よい時間だった。
──そんな姿を見て、少年はほっとする。
「七海、どうして泣いてたの?」
その言葉は、小鳥のさえずりに吸いこまれて消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる