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断暮篇(たちぐらしへん)
新しい日課
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「...ごめん、もっとソースを煮詰めればよかったかも」
「ううん。私はこの味好きだよ」
あれからふたりですぐに支度を終えて、少しずつご飯を食べていく。
ただ、あまり口を開きすぎるとまだ頬の傷が痛むのでここからペースをあげることは不可能だ。
「大丈夫?今さらだけど、食べづらくない...?」
「ううん。寧ろ柔らかくて食べやすいよ。...お煎餅がちょっとだけ恋しいけど」
美桜さんとよく食べていたものも、最近ではクッキーに変わってしまった。
折角時々一緒に食事をする機会もあったのに、残念ながら最近はそれさえも難しくなっている。
(坂をのぼれるくらいの体力はつけておかないと)
内心そんなことを考えながら食べていると、気づいたときにはお皿が空になっていた。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした。食器は僕が洗うから置いておいて。ずっと同じ体勢でいるのは辛いでしょ?」
「でも、」
「その代わり、テーブルを拭いてもらってもいい?それからお風呂に入って、ゆっくりしてて」
木葉なりに気を遣ってくれていることがよく分かるから、私はごめんとは言わない。
ただ笑ってそう話してくれる彼に、いつもどおりの言葉をかける。
「...ありがとう」
「お風呂あがったら、ふたりでまたアイス買いに行こう」
「うん」
最近近所にコンビニができた。
ご飯の買い物にはいつも使っていたスーパーへ行くけれど、ちょっと食べるものを買いに行くのが最近の日課だ。
なんでも、木葉は今までコンビニに行ったことが1度もなかったのだとか。
家からそんなに離れていないうえに歩く練習にもなる...一石二鳥なのだ。
「今日は何味にしようかな...」
子どもみたいに喜ぶ姿が微笑ましくて、胸がきゅっとしめつけられる。
「七海はどれにする?」
「苺にしようかな。木葉は?」
「棒のやつ。当たりが出るまでめげずに買ってみようと思う」
発想が可愛らしくて思わず笑ってしまう。
レジの店員さんとも顔見知りになっているからか、店内は和やかな空気に包まれていた。
「ありがとうございました」
月光をあびながら静かな帰り道は心地いい。
その静寂を打ち消すように、ポケットが揺れはじめる。
「...渡瀬さんからだ」
「お仕事の話?」
「うん。...最終審査までいったって」
メールに目を通しながら、それだけ答える。
「すごいね!やっぱり七海の物語が綺麗だから響いたんじゃないかな?」
「そうだといいんだけど...」
最近は金賞ということが多く、だからこそ大賞を取りたいと願ってしまう。
勿論楽しさは忘れていないし普段の連載もいいけれど、欲張ってしまうのだ。
(...いい結果が出るといいな)
「ううん。私はこの味好きだよ」
あれからふたりですぐに支度を終えて、少しずつご飯を食べていく。
ただ、あまり口を開きすぎるとまだ頬の傷が痛むのでここからペースをあげることは不可能だ。
「大丈夫?今さらだけど、食べづらくない...?」
「ううん。寧ろ柔らかくて食べやすいよ。...お煎餅がちょっとだけ恋しいけど」
美桜さんとよく食べていたものも、最近ではクッキーに変わってしまった。
折角時々一緒に食事をする機会もあったのに、残念ながら最近はそれさえも難しくなっている。
(坂をのぼれるくらいの体力はつけておかないと)
内心そんなことを考えながら食べていると、気づいたときにはお皿が空になっていた。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした。食器は僕が洗うから置いておいて。ずっと同じ体勢でいるのは辛いでしょ?」
「でも、」
「その代わり、テーブルを拭いてもらってもいい?それからお風呂に入って、ゆっくりしてて」
木葉なりに気を遣ってくれていることがよく分かるから、私はごめんとは言わない。
ただ笑ってそう話してくれる彼に、いつもどおりの言葉をかける。
「...ありがとう」
「お風呂あがったら、ふたりでまたアイス買いに行こう」
「うん」
最近近所にコンビニができた。
ご飯の買い物にはいつも使っていたスーパーへ行くけれど、ちょっと食べるものを買いに行くのが最近の日課だ。
なんでも、木葉は今までコンビニに行ったことが1度もなかったのだとか。
家からそんなに離れていないうえに歩く練習にもなる...一石二鳥なのだ。
「今日は何味にしようかな...」
子どもみたいに喜ぶ姿が微笑ましくて、胸がきゅっとしめつけられる。
「七海はどれにする?」
「苺にしようかな。木葉は?」
「棒のやつ。当たりが出るまでめげずに買ってみようと思う」
発想が可愛らしくて思わず笑ってしまう。
レジの店員さんとも顔見知りになっているからか、店内は和やかな空気に包まれていた。
「ありがとうございました」
月光をあびながら静かな帰り道は心地いい。
その静寂を打ち消すように、ポケットが揺れはじめる。
「...渡瀬さんからだ」
「お仕事の話?」
「うん。...最終審査までいったって」
メールに目を通しながら、それだけ答える。
「すごいね!やっぱり七海の物語が綺麗だから響いたんじゃないかな?」
「そうだといいんだけど...」
最近は金賞ということが多く、だからこそ大賞を取りたいと願ってしまう。
勿論楽しさは忘れていないし普段の連載もいいけれど、欲張ってしまうのだ。
(...いい結果が出るといいな)
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