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断暮篇(たちぐらしへん)
不眠不休
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全ての力を使いきったように眠る木葉をよく見て気づく。
目の下のクマに、自分で傷つけたであろう腕...そして、ポケットからひらひらと舞い落ちる大量のメモ用紙。
(全部術式やお母さんの家について書かれてる...)
迷惑をかけたくないと願っていたのに、結局私は木葉の負担になってしまっている。
「ごめんね...」
普段ならこの時間に起きていないはずの彼は、きっと眠らずに我慢していたのだろう。
私がお神楽を舞うのを知っていたからなのか、それとも別の理由があったのか...。
分からないことだらけのなか、ただひとつ確信しているのは木葉がこの時間まで限界を越えても起きていたのは私のことを考えてのことだろうということだ。
「...着替えてくるね」
私の力では木葉をベッドまで運ぶことはできない。
本当はもっと快眠できる環境を作りたかったけれど、ブランケットをかけて部屋へ向かう。
いつまでも巫女装束のままいるわけにはいかない。
勝手に見てはいけないと思いつつ、メモの内容をこっそり読ませてもらうことにした。
(お神楽や剣舞のこともそうだけど、お守りについては詳しいことが分からなかったって書いてある...)
木葉の知り合いで、沢山の情報を集めるのが得意そうな人...私に思い当たるのはひとりだけだった。
うろ覚えの電話番号にかけてみる。
3回ほど鳴らすと、相手はすぐ出てくれた。
『もしもし、こちら雑貨屋の、』
「...ラッシュさん、至急教えてほしいことがあるんです」
電話の先では驚いたような声が響いた後、真剣な声音がふってくる。
『それは木葉に関することか?』
「はい。どんなことを調べていたのかとか、それも全部含めて知りたいです」
『...突然訊かれたときは俺も驚いたよ』
そう言って話してくれたのは、私が知らないところでの努力だった。
私が使う術やお守りについては分からなかったこと、追いかけてきている家の人間たちのこと、私の怪我を早く治す方法...。
(...何も分かってなかったんだ、私)
『本当なら、お嬢さんには絶対に知られないようにって言われてたんだ。
でも、その焦りようは自力で気づいたってことだろ?』
「...はい」
分かっているつもりだった。
自分だけでなんとかしなければと焦って、美桜さんからも色々な情報をもらって...けれど、その間に木葉のことが見えなくなっていたのかもしれない。
...木葉だけではなく、周りの人たちが見えていなかったのではないだろうか。
「ラッシュさんはどうしてそんなに詳しく知っているんですか?」
『ああ、それは...』
そのとき、後ろからいきなり抱きしめられる。
「ラッシュさんは、一流の情報屋だからだよ」
驚いて首だけで振り向くと、そこにはまだ眠そうにしている木葉が立っていた。
目の下のクマに、自分で傷つけたであろう腕...そして、ポケットからひらひらと舞い落ちる大量のメモ用紙。
(全部術式やお母さんの家について書かれてる...)
迷惑をかけたくないと願っていたのに、結局私は木葉の負担になってしまっている。
「ごめんね...」
普段ならこの時間に起きていないはずの彼は、きっと眠らずに我慢していたのだろう。
私がお神楽を舞うのを知っていたからなのか、それとも別の理由があったのか...。
分からないことだらけのなか、ただひとつ確信しているのは木葉がこの時間まで限界を越えても起きていたのは私のことを考えてのことだろうということだ。
「...着替えてくるね」
私の力では木葉をベッドまで運ぶことはできない。
本当はもっと快眠できる環境を作りたかったけれど、ブランケットをかけて部屋へ向かう。
いつまでも巫女装束のままいるわけにはいかない。
勝手に見てはいけないと思いつつ、メモの内容をこっそり読ませてもらうことにした。
(お神楽や剣舞のこともそうだけど、お守りについては詳しいことが分からなかったって書いてある...)
木葉の知り合いで、沢山の情報を集めるのが得意そうな人...私に思い当たるのはひとりだけだった。
うろ覚えの電話番号にかけてみる。
3回ほど鳴らすと、相手はすぐ出てくれた。
『もしもし、こちら雑貨屋の、』
「...ラッシュさん、至急教えてほしいことがあるんです」
電話の先では驚いたような声が響いた後、真剣な声音がふってくる。
『それは木葉に関することか?』
「はい。どんなことを調べていたのかとか、それも全部含めて知りたいです」
『...突然訊かれたときは俺も驚いたよ』
そう言って話してくれたのは、私が知らないところでの努力だった。
私が使う術やお守りについては分からなかったこと、追いかけてきている家の人間たちのこと、私の怪我を早く治す方法...。
(...何も分かってなかったんだ、私)
『本当なら、お嬢さんには絶対に知られないようにって言われてたんだ。
でも、その焦りようは自力で気づいたってことだろ?』
「...はい」
分かっているつもりだった。
自分だけでなんとかしなければと焦って、美桜さんからも色々な情報をもらって...けれど、その間に木葉のことが見えなくなっていたのかもしれない。
...木葉だけではなく、周りの人たちが見えていなかったのではないだろうか。
「ラッシュさんはどうしてそんなに詳しく知っているんですか?」
『ああ、それは...』
そのとき、後ろからいきなり抱きしめられる。
「ラッシュさんは、一流の情報屋だからだよ」
驚いて首だけで振り向くと、そこにはまだ眠そうにしている木葉が立っていた。
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