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断暮篇(たちぐらしへん)
急襲
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...やってしまった。
「木葉」
「ごめん。七海に怖い思いをさせたくなかったのに...」
本当はこんな姿を見せるつもりではなかった。
普通に迎えにくるつもりだけだったはずなのに、完全に予想外だ。
──事は少し前に遡る。
裏路地で待っていると、殺気を向けてくる大量の人間がいることに気づいた。
「何かご用ですか?」
そのうちのひとりに訊いてみると、問答無用で襲ってくる。
僕を人質にでもして、七海を呼び出すつもりだろうか。
「あれは俺たちのものなんだから手を出さないでもらおうか」
「...今あれって言った?」
自分たちに都合が悪いものは消し、必要になった途端家族面して誘拐しようとする...こんな奴等、人間ではあるが人ではない。
ただ、自分でも気づかないうちに殺気を出していたのは誤算だった。
別に怖がらせるつもりはなかったが、こうなってしまっては仕方がない。
「彼女は僕の大切な恋人だ。...乱暴な不審者に手を出されるわけにはいかない。
それに、彼女はちゃんと今を生きてる人間で、あんたたちのものなんかじゃない」
相手にひたすら拳を打ちこみ、隙あらば手刀をおろしていく。
そうして何人か相手にしているうちに、一瞬視界が霞んだ。
まさかこんなときにクレールで誤魔化し続けているつけがまわってくるとは思っていなかった。
「...口までもないな」
相手はナイフを持っている。
背後からもふたり迫っていて、両方を一気に倒せる自信はない。
ただ、戦闘に慣れている人間たちではないのは明らかだ。
後ろのふたりを警戒していると、勢いよく肉を切り裂く音がした。
「...数だけで僕に勝つつもり?」
腕を少し切られた程度で怯むことはない。
アドレナリンが大量分泌されているのか、痛みなんてものは全く感じなかった。
「覚悟はできてるよね?」
取り逃がしたひとりを追いかけなければならないが、果たして血にまみれたこの格好で入店できるだろうか。
そんなことを考えながら、目の前の3人を一気に片づけた。
「...もう二度と来ないで」
狭い路地に山を造りあげ、その場を後にする。
出血した左腕がずきりと痛んだ。
──そして現在に至る。
「お疲れ様。渡瀬さんとは話せた?」
「残りの打ち合わせは明後日ビデオ通話を使ってやってくれるって話になった。...その怪我、大丈夫?」
「これくらいなら平気だよ。それより、襲われなかった?」
「...美桜さんのお守りのおかげで助かったよ」
「それならいいけど...」
こんな時間帯に、それも人が多い場所でも構わず襲ってくる。
その事実を目の当たりにして、背筋にぞくっとしたものがはしった。
「木葉」
「ごめん。七海に怖い思いをさせたくなかったのに...」
本当はこんな姿を見せるつもりではなかった。
普通に迎えにくるつもりだけだったはずなのに、完全に予想外だ。
──事は少し前に遡る。
裏路地で待っていると、殺気を向けてくる大量の人間がいることに気づいた。
「何かご用ですか?」
そのうちのひとりに訊いてみると、問答無用で襲ってくる。
僕を人質にでもして、七海を呼び出すつもりだろうか。
「あれは俺たちのものなんだから手を出さないでもらおうか」
「...今あれって言った?」
自分たちに都合が悪いものは消し、必要になった途端家族面して誘拐しようとする...こんな奴等、人間ではあるが人ではない。
ただ、自分でも気づかないうちに殺気を出していたのは誤算だった。
別に怖がらせるつもりはなかったが、こうなってしまっては仕方がない。
「彼女は僕の大切な恋人だ。...乱暴な不審者に手を出されるわけにはいかない。
それに、彼女はちゃんと今を生きてる人間で、あんたたちのものなんかじゃない」
相手にひたすら拳を打ちこみ、隙あらば手刀をおろしていく。
そうして何人か相手にしているうちに、一瞬視界が霞んだ。
まさかこんなときにクレールで誤魔化し続けているつけがまわってくるとは思っていなかった。
「...口までもないな」
相手はナイフを持っている。
背後からもふたり迫っていて、両方を一気に倒せる自信はない。
ただ、戦闘に慣れている人間たちではないのは明らかだ。
後ろのふたりを警戒していると、勢いよく肉を切り裂く音がした。
「...数だけで僕に勝つつもり?」
腕を少し切られた程度で怯むことはない。
アドレナリンが大量分泌されているのか、痛みなんてものは全く感じなかった。
「覚悟はできてるよね?」
取り逃がしたひとりを追いかけなければならないが、果たして血にまみれたこの格好で入店できるだろうか。
そんなことを考えながら、目の前の3人を一気に片づけた。
「...もう二度と来ないで」
狭い路地に山を造りあげ、その場を後にする。
出血した左腕がずきりと痛んだ。
──そして現在に至る。
「お疲れ様。渡瀬さんとは話せた?」
「残りの打ち合わせは明後日ビデオ通話を使ってやってくれるって話になった。...その怪我、大丈夫?」
「これくらいなら平気だよ。それより、襲われなかった?」
「...美桜さんのお守りのおかげで助かったよ」
「それならいいけど...」
こんな時間帯に、それも人が多い場所でも構わず襲ってくる。
その事実を目の当たりにして、背筋にぞくっとしたものがはしった。
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