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断暮篇(たちぐらしへん)
消えないぬくもり
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誰かを巻きこんでしまうくらいなら遠ざけてしまおう...恐らく、今の七海が考えているのはそういうことだろう。
だが、僕は彼女をひとりにしないと決めている。
ふたりでの生活が脅かされるというなら、どんなものとだって戦って護っていきたい。
「...ちょっとだけ、抱きしめててもいい?」
「え...」
七海の返事を待たず、衝動的に抱きしめる。
少しでもくっついていれば安心できるというのは安直な考えかもしれないが、何もしないよりずっといいような気がした。
「七海が考えてること、全部は無理でも想像することはできるよ。...七海が僕という存在を受け入れてくれたおかげで今こうしてここにいる。
すごく嬉しかったんだ。あんなふうに...どんな存在でも僕は僕だなんて言われたことなかったから」
能力を暴走させてしまった事件以降、元から人間と深く関わっていなかった僕は更に周りから離れるように心がけていた。
「初めて会ったときのこと、覚えてる?」
「覚えてるよ。...ぼろぼろだった木葉を家に入れた。助けられてよかったって、今でも時々思い出す」
「七海にとってはそれだけだったのかもしれない。息をするように人助けができるのは長所だと思う。
...それを少しでも返したくて、一緒にいる間に恋をしたのは予想外だったけどね」
あの日の僕は自暴自棄になっていて、真面目にクレールを呑んでいなかった。
人間としての食事も疎かにしていたあの瞬間、本気で死というものが目の前に転がっていたことを忘れた日はない。
自らの価値さえ分からないのだからこのまま消えてしまってもいい...その程度にしか考えていなかった。
「あのとき、僕は七海に心を救ってもらったんだ。...僕ひとりで今の状況を何とかするのは無理かもしれない。
でも、七海にはもっと七海自身を大事にしてほしいんだ。心があまりに綺麗すぎて、僕には勿体ないくらいのぬくもりを持ってるんだから」
言葉が上手くまとまらない。
ただ、どうしても腕の中にいる恋人に想いを伝えたかった。
「巻きこんだらどうしようじゃなくて、僕のことをもっと巻きこんでほしい。
...どんなに危なくても、七海がいてくれるだけで頑張れるから」
「木葉...」
そっと顔を覗きこむと、七海は目を潤ませていた。
「ありがとう。そんなふうに思っていてもらえるなんて、私は幸せ者だね」
「これからもっと幸せにする」
涙を拭って軽く口づける。
このぬくもりを護ろうと決めたあの日から、考えは何も変わっていない。
腕の中にあるものを理不尽な相手から護り抜こう。...僕の全てを賭けて。
だが、僕は彼女をひとりにしないと決めている。
ふたりでの生活が脅かされるというなら、どんなものとだって戦って護っていきたい。
「...ちょっとだけ、抱きしめててもいい?」
「え...」
七海の返事を待たず、衝動的に抱きしめる。
少しでもくっついていれば安心できるというのは安直な考えかもしれないが、何もしないよりずっといいような気がした。
「七海が考えてること、全部は無理でも想像することはできるよ。...七海が僕という存在を受け入れてくれたおかげで今こうしてここにいる。
すごく嬉しかったんだ。あんなふうに...どんな存在でも僕は僕だなんて言われたことなかったから」
能力を暴走させてしまった事件以降、元から人間と深く関わっていなかった僕は更に周りから離れるように心がけていた。
「初めて会ったときのこと、覚えてる?」
「覚えてるよ。...ぼろぼろだった木葉を家に入れた。助けられてよかったって、今でも時々思い出す」
「七海にとってはそれだけだったのかもしれない。息をするように人助けができるのは長所だと思う。
...それを少しでも返したくて、一緒にいる間に恋をしたのは予想外だったけどね」
あの日の僕は自暴自棄になっていて、真面目にクレールを呑んでいなかった。
人間としての食事も疎かにしていたあの瞬間、本気で死というものが目の前に転がっていたことを忘れた日はない。
自らの価値さえ分からないのだからこのまま消えてしまってもいい...その程度にしか考えていなかった。
「あのとき、僕は七海に心を救ってもらったんだ。...僕ひとりで今の状況を何とかするのは無理かもしれない。
でも、七海にはもっと七海自身を大事にしてほしいんだ。心があまりに綺麗すぎて、僕には勿体ないくらいのぬくもりを持ってるんだから」
言葉が上手くまとまらない。
ただ、どうしても腕の中にいる恋人に想いを伝えたかった。
「巻きこんだらどうしようじゃなくて、僕のことをもっと巻きこんでほしい。
...どんなに危なくても、七海がいてくれるだけで頑張れるから」
「木葉...」
そっと顔を覗きこむと、七海は目を潤ませていた。
「ありがとう。そんなふうに思っていてもらえるなんて、私は幸せ者だね」
「これからもっと幸せにする」
涙を拭って軽く口づける。
このぬくもりを護ろうと決めたあの日から、考えは何も変わっていない。
腕の中にあるものを理不尽な相手から護り抜こう。...僕の全てを賭けて。
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