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第2話
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「いらっしゃい。君が八坂桜雪さんかな?」
その夜、小さく頷いた私を店主さんは温かく迎え入れてくれた。
「接客は避けたいって話でしたね。えっと…中津君、今日は接客に入ってくれるかな?」
「分かりました!」
「翡翠君、ちょっと大変になるかもしれないけど仕事を教えてあげてもらえる?」
「分かりました。…よろしくね、八坂桜雪さん」
一礼すると、本がずらりと並べられた部屋に案内される。
「まずはこの梱包を解くところからなんだけど…夏霧君、見本を見せてもらえるかな?」
「俺で見本になりますかね…」
「大丈夫。この前だってしっかりできてたし、丁寧な人にお願いしたいんだ」
「分かりました」
大きな箱に隠れていたけど、聞こえてきた声は間違いなく昼間聞いたもので。
ひょっこり現れた男性も驚いた様子でこちらを見ていた。
「もしかしてふたりは知り合い?」
「まあ、そんなところです。…桜雪ちゃん、ちょっと見てて」
ぐるぐる巻きになっている本を1冊1冊丁寧に外していく姿は職人さんみたいで、やり方をメモしながら途中で見惚れてしまっていた。
「……とまあ、こんな感じでやると古書を傷つけないように開けられるんだけど…桜雪ちゃん?」
名前を呼ばれて顔をあげると、夏霧さんが少し困った顔をしてこちらを見ていた。
「もしかして、分からないところがあったり?」
慌てて首を横にふると、夏霧さんと翡翠さんがほっとしたように笑っていた。
「それならよかった。人に説明するの、あんまり得意じゃないから…」
「夏霧君は時々朝早くに入ってくれることもあって、いつも丁寧で早い作業をしてくれるんだ。
…今日はここまでにして、次のシフトでまた別の仕事を教えるね」
最後まで親切にしてくれたふたりにお礼を言って、スタッフルームに入る。
頑張って仕事を覚えて役に立てるようにならないと…なんて思いながら荷物をまとめたら、外で夏霧さんがぼんやり立っていた。
「桜雪ちゃん、お疲れ様。駅まで送ろうか?」
首を横にふると、夏霧さんはバイクをまたぐのをやめて私の少し後をついてきた。
この人は何をしたいんだろう。よく分からない。
「ごめん、説明不足だったね。ほら、夜道ってちょっと厄介なのが出たりするでしょ?
だけど、助けを呼ぶのも大変だろうと思って…途中まででも一緒に帰れたらいいなって思ったんだ」
どうしてそこまでしてくれるのか分からなかったけど、たしかにひとりで街灯が少ないこのあたりを歩くのは辛い。
「これだけ何度も会うなんて、きっと何かの縁だろうから…これ、受け取って。俺向こうだから、またね」
お礼の言葉も伝えられないまま、走っていくバイクを見送る。
真っ暗ななかで気持ちを伝えるのは難しい。
帰って確認してみると、渡された紙には住所と連絡先が書いてあった。
……こんなこと初めてだ。
その夜、小さく頷いた私を店主さんは温かく迎え入れてくれた。
「接客は避けたいって話でしたね。えっと…中津君、今日は接客に入ってくれるかな?」
「分かりました!」
「翡翠君、ちょっと大変になるかもしれないけど仕事を教えてあげてもらえる?」
「分かりました。…よろしくね、八坂桜雪さん」
一礼すると、本がずらりと並べられた部屋に案内される。
「まずはこの梱包を解くところからなんだけど…夏霧君、見本を見せてもらえるかな?」
「俺で見本になりますかね…」
「大丈夫。この前だってしっかりできてたし、丁寧な人にお願いしたいんだ」
「分かりました」
大きな箱に隠れていたけど、聞こえてきた声は間違いなく昼間聞いたもので。
ひょっこり現れた男性も驚いた様子でこちらを見ていた。
「もしかしてふたりは知り合い?」
「まあ、そんなところです。…桜雪ちゃん、ちょっと見てて」
ぐるぐる巻きになっている本を1冊1冊丁寧に外していく姿は職人さんみたいで、やり方をメモしながら途中で見惚れてしまっていた。
「……とまあ、こんな感じでやると古書を傷つけないように開けられるんだけど…桜雪ちゃん?」
名前を呼ばれて顔をあげると、夏霧さんが少し困った顔をしてこちらを見ていた。
「もしかして、分からないところがあったり?」
慌てて首を横にふると、夏霧さんと翡翠さんがほっとしたように笑っていた。
「それならよかった。人に説明するの、あんまり得意じゃないから…」
「夏霧君は時々朝早くに入ってくれることもあって、いつも丁寧で早い作業をしてくれるんだ。
…今日はここまでにして、次のシフトでまた別の仕事を教えるね」
最後まで親切にしてくれたふたりにお礼を言って、スタッフルームに入る。
頑張って仕事を覚えて役に立てるようにならないと…なんて思いながら荷物をまとめたら、外で夏霧さんがぼんやり立っていた。
「桜雪ちゃん、お疲れ様。駅まで送ろうか?」
首を横にふると、夏霧さんはバイクをまたぐのをやめて私の少し後をついてきた。
この人は何をしたいんだろう。よく分からない。
「ごめん、説明不足だったね。ほら、夜道ってちょっと厄介なのが出たりするでしょ?
だけど、助けを呼ぶのも大変だろうと思って…途中まででも一緒に帰れたらいいなって思ったんだ」
どうしてそこまでしてくれるのか分からなかったけど、たしかにひとりで街灯が少ないこのあたりを歩くのは辛い。
「これだけ何度も会うなんて、きっと何かの縁だろうから…これ、受け取って。俺向こうだから、またね」
お礼の言葉も伝えられないまま、走っていくバイクを見送る。
真っ暗ななかで気持ちを伝えるのは難しい。
帰って確認してみると、渡された紙には住所と連絡先が書いてあった。
……こんなこと初めてだ。
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