約束のスピカ

黒蝶

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追憶のシグナル

3件目

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監査部は少数精鋭で、万年人手不足だ。
それに、扱う事件はもはや犯罪レベルであることも少なくない。
今回調べる一件もかなりてこずりそうなものだった。
「万引きってことですよね?しかも常習犯ってことは、学校だけの問題じゃないのかも」
「担任教諭がカウンセリングを勧めたらしいが、そんなお金はないからと本人が突っぱねたらしい」
「金銭苦ですかね…。それとも、誰かにやらされてるとか」
「その可能性もあるな。…今日報告できるのはここまでだ。何か気になることがあれば言ってくれ」
「ありがとうございます。その生徒のこと、俺の方でもちょっと調べてみますね」
先生は俺が腕を気にしていることに気づいたらしく、何かあればすぐ声をかけるように言ってくれた。
けど、流石に俺は死なないから平気ですとは言えないから、曖昧に笑って誤魔化す。
「…桜良、いる?」
ひょっこり顔を出した彼女からは不安しか感じ取れなかった。
「そんなに心配しなくても大丈夫。一応腕は動かさないようにしてるから」
桜良が開いていたのは色々な事件の記事をまとめたノートで、何があったかを察する。
中学生の俺たちにできることは限られるけど、事前の情報は相手を理解するうえでかなり重要だ。
「…【この記事に出てくる人、多分今流行ってる噂に関係していると思う】」
「ちょっとやばそうなやつか…。取り敢えずどこにいるのか調べないと駄目そうだ」
頷く桜良と一緒に記事に目を通す。
そこに書かれていたのは、あまりにも悲惨な少年の末路だった。
そして、今学園内に蔓延っているのは【少年が恨みを晴らすため、死因となったバイクのドライバーを探して夜な夜な歩いているらしい】というものだ。
高等部に足を踏み入れるのはなんだか変な感じもするが、調べないわけにはいかない。
ちょくちょく授業に出ているうちに、いつの間にか日が沈んでいた。
無理をしたせいもあって、桜良はまだ声が出ない。
「【本当に今夜調べるの?】」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。寧ろ早く片づけないと怪我人が出るでしょ?」
彼女は声が出ない日は授業をほぼ全部休む。
調子が悪くなる日があると学校に伝えてあるのに、対処してもらえないことが多いからだ。
担任の室星先生の理科だけは出ているけど、それ以外の授業は難しい。
ご飯を食べているうちに今度は夜になり、あたりはしんと静まりかえる。
「いつもどおり桜良は準備室に隠れてて。何かあればすぐ行くから」
ゆっくり頷いたのを確認して、夜9時の校舎を動き回る。
不安要素はできるだけ早く取り除きたい。
…それに、噂が広がるのが早いこの町で面白おかしく言われて化け物になる人を減らしたかった。
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