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追憶のシグナル
15件目
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「ありがとうございました。まさか修二と逢えると思っていなかったから…嬉しかったです」
前を向いているようでよかった。
頭を下げる少女と握手を交わしてその場を離れる。
「噂に呑みこまれる前になんとかできてよかった」
「ですね。どうなることかと思いましたけど、ふたりが一緒に過ごせたならよかったです」
歩きながらふたりで話して歩いていると、詩乃先輩は何か引っかかることがあったのか立ち止まる。
「どうしたんですか?」
「もうひとつおかしな噂があるのを思い出したんだ。あと、今回の場合噂はどうなるのか知りたくなった」
「今回の噂はもう解決です。明日にはなくなってますから。…それじゃあ俺、先行きますね」
「分かった。ありがとう」
詩乃先輩は疑問に思っているようだったが、俺はよく知っている。
噂だけが残った場合、頑張って後片づけしてくれている人がいることを。
「桜良、ただいま」
「……おかえりなさい」
予想どおり、桜良の声はがさがさだった。
噂をなかったことにするために力を使いすぎたのだろう。
「ご飯食べられそう?何時になるか分からなかったから、お弁当買ってきたんだ」
「うん」
「ヒレカツとハンバーグ、どっちがいい?」
「ヒレカツ」
「了解」
桜良はお茶が好きで、よく色々な茶葉を買っている。
家の人間にも怯えられた瞬間、それだけが癒やしだったと話してくれた。
「お、今日は何のお茶?」
「ゆず茶」
「そっか。いいにおいするね。喉にもよさそう」
黙々と食べすすめ、時間を確認するともう8時だった。
いつもならのんびりするところだが、そういうわけにもいかない。
「それじゃあ俺、帰って勉強してるね」
「…テストの?」
「そう。成績落としたくないけど、夜はまた町で調査しないといけないでしょ?」
「そうだね」
なんとなく元気がない気がして、桜良の頬を包みこむ。
「何かあった?」
「……死ななかった?」
俺にとって死ぬというのは些細なことだけど、何度も見ている方からするとそうではないのかもしれない。
「今日は死んでない。ぴんぴんしてるよ」
「…そう」
素っ気ないように聞こえても、実は心配してくれていることは分かっているつもりだ。
「桜良は?喉大丈夫そう?」
「平気」
まだ声は掠れているものの、いつもよりは調子がいいみたいだ。
「私も行く、から」
「…分かった。先に用意しておく」
これから夜にかけて活動するのが、噂に左右される怪異という存在だ。
時々昼間でも動くやつもいるけど、大抵力が弱い。
「また後で」
隣の自分の部屋に帰り、入浴と道具の準備をすませる。
町中をうろつく何かの話…そんな噂が蔓延ってしまえば大きな被害が出ることになるだろう。
視えない人間たちには決して分かることがないものを相手に、俺たちは自分たちの意思で戦っているのだ。
前を向いているようでよかった。
頭を下げる少女と握手を交わしてその場を離れる。
「噂に呑みこまれる前になんとかできてよかった」
「ですね。どうなることかと思いましたけど、ふたりが一緒に過ごせたならよかったです」
歩きながらふたりで話して歩いていると、詩乃先輩は何か引っかかることがあったのか立ち止まる。
「どうしたんですか?」
「もうひとつおかしな噂があるのを思い出したんだ。あと、今回の場合噂はどうなるのか知りたくなった」
「今回の噂はもう解決です。明日にはなくなってますから。…それじゃあ俺、先行きますね」
「分かった。ありがとう」
詩乃先輩は疑問に思っているようだったが、俺はよく知っている。
噂だけが残った場合、頑張って後片づけしてくれている人がいることを。
「桜良、ただいま」
「……おかえりなさい」
予想どおり、桜良の声はがさがさだった。
噂をなかったことにするために力を使いすぎたのだろう。
「ご飯食べられそう?何時になるか分からなかったから、お弁当買ってきたんだ」
「うん」
「ヒレカツとハンバーグ、どっちがいい?」
「ヒレカツ」
「了解」
桜良はお茶が好きで、よく色々な茶葉を買っている。
家の人間にも怯えられた瞬間、それだけが癒やしだったと話してくれた。
「お、今日は何のお茶?」
「ゆず茶」
「そっか。いいにおいするね。喉にもよさそう」
黙々と食べすすめ、時間を確認するともう8時だった。
いつもならのんびりするところだが、そういうわけにもいかない。
「それじゃあ俺、帰って勉強してるね」
「…テストの?」
「そう。成績落としたくないけど、夜はまた町で調査しないといけないでしょ?」
「そうだね」
なんとなく元気がない気がして、桜良の頬を包みこむ。
「何かあった?」
「……死ななかった?」
俺にとって死ぬというのは些細なことだけど、何度も見ている方からするとそうではないのかもしれない。
「今日は死んでない。ぴんぴんしてるよ」
「…そう」
素っ気ないように聞こえても、実は心配してくれていることは分かっているつもりだ。
「桜良は?喉大丈夫そう?」
「平気」
まだ声は掠れているものの、いつもよりは調子がいいみたいだ。
「私も行く、から」
「…分かった。先に用意しておく」
これから夜にかけて活動するのが、噂に左右される怪異という存在だ。
時々昼間でも動くやつもいるけど、大抵力が弱い。
「また後で」
隣の自分の部屋に帰り、入浴と道具の準備をすませる。
町中をうろつく何かの話…そんな噂が蔓延ってしまえば大きな被害が出ることになるだろう。
視えない人間たちには決して分かることがないものを相手に、俺たちは自分たちの意思で戦っているのだ。
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