27 / 156
泣けないver.
真夜中、画面越しの逢瀬
しおりを挟む
その夜、待ちに待った時間がやってきた。
『遅くなっちゃってごめんね。詩音、もしかして寝てたんじゃない?』
「ううん、髪を乾かしてるところだったんだ」
『なんだか沈んでるみたいだけど大丈夫?』
優翔は本当に鋭い。
私は少しためらいつつ、1冊のノートを画面に向ける。
「あの、歌詞ができたから見てほしくて...」
『詩音はすごいね。因みに今回のテーマは?』
「...冬の恋」
『ということは、失恋?』
「片想いとか、色々な解釈ができるように書いたつもりなんだけど...あんまり自信がない」
優翔は私の話を最後まで聞いてくれて、大きく頷いた。
『僕が読んじゃってもいいなら、失礼します』
「お、お願いします...」
失恋した思いというものは分からないけれど、片想いならなんとなく覚えている。
私がずっと、優翔に対して抱いていた感情だから。
『失恋はまだないしできればしたくないけど、もしかしたら片想いなら分かるかもしれない』
「優翔が、片想い...?」
『詩音相手にしていたから』
そうだ、私だけじゃない。
世界中の恋人たちが1度は陥ったことがあるのだ、きっと。
そう思うと、少しハードルが上がったような気がした。
『詩音らしいね』
「本当?」
『うん。僕はすごく温かいなって思ったよ』
「あ、ありがとう...」
画面越しの彼は少し眠そうで、このまま話していていいのか不安になる。
『詩音、大丈夫?もしかして眠くなってるのを我慢してるんじゃ...』
「ううん、そんなことない。私は大丈夫だよ。優翔は疲れてないの?」
早く休みたいと思っているのなら通話を終わらせるべきだ、そう考えていた私にとって意外な答えが返ってきた。
『僕はこうやって話をするのが1番楽しみだったから...どちらかといえば目が冴えてるかも』
「...そ、そうなんだ。あの、横になって話してもいい?」
優翔は笑顔で頷いて、自分もベッドに横になってくれる。
本当に隣にいるみたいな感覚に陥りながら、楽しくてずっと話していたくなった。
けれど、優翔にはきちんと休んでほしい...それが1番の気持ちだ。
『後から寝る方が通話を切っておくということで、このまま寝転がって話をしようか』
「うん」
それから沢山話をして、欠伸を噛み殺しながらそっと目を閉じる。
(もっと話していたいのに...)
『無理して起きなくていいからね。...おやすみ』
優翔の声を聞いているだけで、なんだか安心する。
そのまま眠りに落ちていきながら、画面越しに会えた幸せを噛みしめた。
また明日という声を最後に、穏やかな眠りの世界に誘われる。
いつものような悪夢は視なかった。
『遅くなっちゃってごめんね。詩音、もしかして寝てたんじゃない?』
「ううん、髪を乾かしてるところだったんだ」
『なんだか沈んでるみたいだけど大丈夫?』
優翔は本当に鋭い。
私は少しためらいつつ、1冊のノートを画面に向ける。
「あの、歌詞ができたから見てほしくて...」
『詩音はすごいね。因みに今回のテーマは?』
「...冬の恋」
『ということは、失恋?』
「片想いとか、色々な解釈ができるように書いたつもりなんだけど...あんまり自信がない」
優翔は私の話を最後まで聞いてくれて、大きく頷いた。
『僕が読んじゃってもいいなら、失礼します』
「お、お願いします...」
失恋した思いというものは分からないけれど、片想いならなんとなく覚えている。
私がずっと、優翔に対して抱いていた感情だから。
『失恋はまだないしできればしたくないけど、もしかしたら片想いなら分かるかもしれない』
「優翔が、片想い...?」
『詩音相手にしていたから』
そうだ、私だけじゃない。
世界中の恋人たちが1度は陥ったことがあるのだ、きっと。
そう思うと、少しハードルが上がったような気がした。
『詩音らしいね』
「本当?」
『うん。僕はすごく温かいなって思ったよ』
「あ、ありがとう...」
画面越しの彼は少し眠そうで、このまま話していていいのか不安になる。
『詩音、大丈夫?もしかして眠くなってるのを我慢してるんじゃ...』
「ううん、そんなことない。私は大丈夫だよ。優翔は疲れてないの?」
早く休みたいと思っているのなら通話を終わらせるべきだ、そう考えていた私にとって意外な答えが返ってきた。
『僕はこうやって話をするのが1番楽しみだったから...どちらかといえば目が冴えてるかも』
「...そ、そうなんだ。あの、横になって話してもいい?」
優翔は笑顔で頷いて、自分もベッドに横になってくれる。
本当に隣にいるみたいな感覚に陥りながら、楽しくてずっと話していたくなった。
けれど、優翔にはきちんと休んでほしい...それが1番の気持ちだ。
『後から寝る方が通話を切っておくということで、このまま寝転がって話をしようか』
「うん」
それから沢山話をして、欠伸を噛み殺しながらそっと目を閉じる。
(もっと話していたいのに...)
『無理して起きなくていいからね。...おやすみ』
優翔の声を聞いているだけで、なんだか安心する。
そのまま眠りに落ちていきながら、画面越しに会えた幸せを噛みしめた。
また明日という声を最後に、穏やかな眠りの世界に誘われる。
いつものような悪夢は視なかった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
紫の瞳の王女と緑の瞳の男爵令嬢
秋野 林檎
恋愛
「わ……私と結婚してください!」と叫んだのは、男爵令嬢ミーナ
プロポーズされたのは第一騎士団の団長、アークフリード・フェリックス・ブランドン公爵
アークフリードには、13年前に守りたいと思っていた紫の髪に紫の瞳をもつエリザベスを守ることができず死なせてしまったという辛い初恋の思い出があった。
そんなアークフリードの前に現れたのは、赤い髪に緑の瞳をもつミーナ
運命はふたりに不思議なめぐりあいの舞台を用意した。
⁂がついている章は性的な場面がありますので、ご注意ください。
「なろう」でも公開しておりますが、そちらではまだ改稿が進んでおりませんので、よろしければこちらでご覧ください。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる