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泣けないver.
ふたりの決め事 優翔side
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「寒っ...」
思わずそんなふうに呟いてしまうような空模様の中、なんとか車を走らせる。
死にたくなるほどの思いと毎日独りで耐える辛さをよく知っているのに、今の詩音をひとりにしておくのは危険だ。
「...来た」
学校から出てきた彼女にライトを点滅させて合図を送る。
俯いていたにも関わらず気づいてすぐに駆け寄ってきてくれた。
「おかえり。迎えにきたよ」
「ごめんなさい...」
「どうして謝るの?僕が好きでやってることなんだから、何も気にすることはないんだよ」
「優翔はやっぱり優しいね」
「...何かあった?」
「またやられたから落とさないと」
それは、以前よりも酷いものだった。
落書きされてしまった鞄にいつもの姿はない。
そこに書かれてある罵詈雑言に傷ついているのはすぐに分かった。
「また家に泊まりにおいで。誰かに見られるかもしれないとか、もう僕は気にしないって決めたから」
「いいの...?」
「うん。そもそもはじめから恋人同士なんだから、後ろめたいことはしてないはずだしね」
こじつけでも何でもいい。
今はとにかく一緒にいる時間を増やしたかった。
他の学生たちが遊ぶなか、僕も詩音と会うことさえできないのは悲しい。
「そ、それなら先に家に...」
「勿論」
平日一緒にいるのは無理でも、金曜日の夜から週末にかけてなら許されるだろう。
そんな淡い願いをこめて、詩音の背中を送り出した。
「...お、お待たせしました」
「さっきより温かそうだね」
「ありがとう」
再び車を走らせるけど、疑問に感じることがひとつだけあった。
それは、落書きされてしまった鞄が先程より膨らんでいることだ。
普通に荷物を増やしたようには見えず、何が入っているのかとても気になる。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない」
ハンドルを握りなおして、そのままアクセルを踏む。
そのうち地面が白くなりはじめて、運転に集中している間に家に辿り着いたのだった。
「荷物持つよ」
「え、でも重いし、その...」
「そっちのリュックサックを運ぶよ」
「ありがとう」
やはり何か焦っている。
見られたくないものなのか、見せたくないものなのか。
結局泊まりの時にいつも持ってきているリュックサックの方を手に持ち、部屋の鍵を開ける。
当然だけどそこには僕たちしかいない。
「いつもの部屋、布団だけ入れさせてもらってもいい?」
「私も運びたい。どれを運んだらいい?」
「それなら、こっちの掛け布団をお願い」
まさか重い敷布団を運ばせるわけにはいかない。
こうしていると本当にただの恋人同士で、嫌な現実なんてこの時間くらいは忘れてくれるかもしれないと願うばかりだった。
思わずそんなふうに呟いてしまうような空模様の中、なんとか車を走らせる。
死にたくなるほどの思いと毎日独りで耐える辛さをよく知っているのに、今の詩音をひとりにしておくのは危険だ。
「...来た」
学校から出てきた彼女にライトを点滅させて合図を送る。
俯いていたにも関わらず気づいてすぐに駆け寄ってきてくれた。
「おかえり。迎えにきたよ」
「ごめんなさい...」
「どうして謝るの?僕が好きでやってることなんだから、何も気にすることはないんだよ」
「優翔はやっぱり優しいね」
「...何かあった?」
「またやられたから落とさないと」
それは、以前よりも酷いものだった。
落書きされてしまった鞄にいつもの姿はない。
そこに書かれてある罵詈雑言に傷ついているのはすぐに分かった。
「また家に泊まりにおいで。誰かに見られるかもしれないとか、もう僕は気にしないって決めたから」
「いいの...?」
「うん。そもそもはじめから恋人同士なんだから、後ろめたいことはしてないはずだしね」
こじつけでも何でもいい。
今はとにかく一緒にいる時間を増やしたかった。
他の学生たちが遊ぶなか、僕も詩音と会うことさえできないのは悲しい。
「そ、それなら先に家に...」
「勿論」
平日一緒にいるのは無理でも、金曜日の夜から週末にかけてなら許されるだろう。
そんな淡い願いをこめて、詩音の背中を送り出した。
「...お、お待たせしました」
「さっきより温かそうだね」
「ありがとう」
再び車を走らせるけど、疑問に感じることがひとつだけあった。
それは、落書きされてしまった鞄が先程より膨らんでいることだ。
普通に荷物を増やしたようには見えず、何が入っているのかとても気になる。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない」
ハンドルを握りなおして、そのままアクセルを踏む。
そのうち地面が白くなりはじめて、運転に集中している間に家に辿り着いたのだった。
「荷物持つよ」
「え、でも重いし、その...」
「そっちのリュックサックを運ぶよ」
「ありがとう」
やはり何か焦っている。
見られたくないものなのか、見せたくないものなのか。
結局泊まりの時にいつも持ってきているリュックサックの方を手に持ち、部屋の鍵を開ける。
当然だけどそこには僕たちしかいない。
「いつもの部屋、布団だけ入れさせてもらってもいい?」
「私も運びたい。どれを運んだらいい?」
「それなら、こっちの掛け布団をお願い」
まさか重い敷布団を運ばせるわけにはいかない。
こうしていると本当にただの恋人同士で、嫌な現実なんてこの時間くらいは忘れてくれるかもしれないと願うばかりだった。
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