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6章
事態の収束
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帝さんがまだ手のついていない生菓子を差し出した事で、大地の精霊さんが再び和菓子に舌鼓をうっております。
取りあえず、呉服屋の謎は解決出来ましたね。何も知らずにお店を覗いた私達は、織物を見ただけで買わずにはいられなくなってしまった訳ですけれども、これは祝福効果による物だった訳です。一種の魅了にかかった様な状態でしたし、とても恐ろしい能力ですよね……。
初めて訪れた人には特に効果が強く表れていたように思います。大地の精霊さんに少しお聞きしてみましょうか。それと、どうしてここにいらっしゃるのかも。
「あの、大地の精霊さん」
「何?」
「呉服屋の花文柄がとても魅力的に見えていたのは、やはり祝福による物ですよね?」
「そう。別に元々が魅力的に見えない訳じゃないけどね」
「はい、ミツキさんがお薦めして下さった有名なお店でしたからね」
嬉しそうに私が言いますと、ミツキさんが「その事なんですが」と切り出しました。
「私が以前訪れた時は買い物客なんて殆どいませんでしたけどね?」
「あれ、そうなのですか?」
「有名とは言いましたが、ごく一部の裕福層の間でのお話です。品質その物はとても優れたお店ですので、他国の貴族も訪れていたようですよ? その分値は張りますから、一般のお客は余り訪れません。何よりお店の場所が悪いですからね?」
そう言えば、件の呉服屋は微妙に大通りから逸れた位置にありました。その上似たようなお店は大通りに沢山ありますからね。良い品物を売っていたとしても、わざわざ裏手にまで買いに来るお客は少ないという事なのでしょう。何より一般の手に届かない値ではどうしようもありません。
「大地の精霊に聞くが、あの店はやけに花文柄の織物ばかりが目立っていた。何か理由でもあるのか?」
あ、九尾さんがそう言った事で私も思い出しました。店頭には沢山の花文柄の織物が山の様に積まれていたのですよね。
「解らない。売れる物までは限定していないわ」
「あれ、あの大量の花文柄は大地の精霊様のお力ではなかったのですか……。ヤヨイ、とっても欲しくなってしまったんですけど」
この疑問には大地の精霊さんでも解らない様です。他に何か売れる理由になり得る物ってありますでしょうか。
「あぁそれなんだけど。大地の精霊様の祝福を授かった辺りかしらね。偶然在庫を抱えていた花文柄が唐突に売れ出したもんだから、店主が花文柄作りに力を入れてたみたいよ。売れ筋ってのは何がきっかけになるか解らないから、売れる時に売るのが鉄則だし。つまり、店主の勘違いね」
あぁ、そう言う事でしたか。一点だけ大量にあれば、他の商品に目が行かなくなるのも仕方がないかもしれませんね。店頭に来て最初に家紋柄が目に入れば、後は祝福の効果でそれが欲しくなってしまいますから。
「でも取りあえず、あの呉服屋で織物を買っても問題ないんですよね? ヤヨイ、買えなくて未練があります」
「そうね。あの時はミツキ達まで憑き物の様になったら困るって思って買うのを止めたんだけど。今はむしろ買うのを推奨するわ」
「後数メル位したら祝福を元に戻すつもりだから、その後ならゆっくり買い物できると思うわ」
「解りました、人混みは苦手なのでヤヨイもう少しだけ我慢します!」
「ヤヨイさん、また後日ゆっくり買いに参りましょう」
「はい!」
これで疑問点は全部解決……と思いましたけれど。
「あ、大地の精霊さん。もう一つだけ」
「うん?」
「あの、大地の精霊さんは何故ここにいらっしゃったんでしょう……?」
「いたら駄目なの?」
「あ、あのいえ! 此方からお会いしに行く予定でしたので」
「そう。此処に私がいるのは、貴女が水の精霊の力を使ったからよ」
……確かにそうなのかもしれませんけれど。どういう仕組みでそうなっているのかが良く解りません。大地の精霊さんを探しやすくする為の力では無いのでしょうか?
「あの、ええと……。大地の精霊さんの居場所が解る力だって水の精霊さんが言っていましたよ?」
「あぁ、そう言う事。水の精霊は私達とは別行動してるから言葉足らずだった様ね。それはね、貴女が私を見つける為の力なんじゃなくて、私が貴女という存在に気付く為の力なの。何れにしても貴女は凄まじい力を秘めてるみたいだから嫌でも気づいたけど」
「あ。そう言う事でしたか……」
だから、いつの間にかここにいらしていたんですね。あれ……つまりそれって転移魔法の一種なのでしょうか。別の場所からここに瞬時に移動したわけですし……。
「あの、精霊さんは転移魔法を扱えるのですか?」
「貴女、水の精霊から聞いていないの? 私達精霊は属性に関与する物を対象として、割と色んな所へ行けるの。水の精霊なら水のある場所、私なら土に関係する場所と言う風にね」
「……あ! 確かに水の精霊さんも言っていましたね」
土に関係する物でしたら、この大陸全部がそうですよね。流石に移動できる距離には限界はあるでしょうけれども。
「ふぅ、ご馳走様。久しぶりの人間の食べ物はとても至福だったわ。特に甘い物は大好き」
「大地の精霊様、生菓子くらい幾らでも献上するわよ?」
「嬉しいけど、他の国にも行かなくちゃいけないから」
「あ、そうよね……」
「あ、でも。まだ少しの間は倭国に居るわ。だからね、和菓子……貴女の寝室の窓にでも置いておいて」
「……ええ、喜んで!」
ふふ、帝さんと大地の精霊さんが仲良くなれたみたいです。直接会う事はもう無いのかもしれませんけれど、お二人の絆は和菓子が繋げて下さるのです。
「じゃあ、そろそろ私は消えるわね」
「あ、もう行かれるのですか?」
「これ以上長居すると私、この国から出たくなくなっちゃうから」
「だったら、大地の精霊様はこの国に……!」
そこまで言って帝さんは言葉を押しとどめました。恥ずかしそうに俯いています。恐らく衝動的に言ってしまったのでしょうね。そんな帝さんに大地の精霊さんが近寄り、片腕に抱き着きました。
「私達精霊は、貴女の様な人がいるだけで幸せ」
「大地の精霊様……」
「この嬉しい気持ちは、祝福に変えて貴女達に返すわ……本当に有難う」
大地の精霊さんはそう言いますと、光に包まれ消えました。それはあっという間で、私達はお別れも言えませんでした……。
「行ってしまいましたね……。ヤヨイ、お友達になりたかったです」
「そうですね。でも……一部の人とだけ接する訳はいきませんからね?」
「あぁ、いずれ情が移って祝福の恩恵が偏ってしまうからな。精霊と言えど、心は人間となんら変わらないさ」
この大陸は本当にいろいろな力によって守られているのだと痛感しました。私はより一層、精霊さんを敬う気持ちを忘れない様に生きて行こうと思いました。
---------
お世話になった帝さんに感謝しつつ、幻城を後にした私達。身分は伏せたままにしていましたけれども、後日アクアリースの姫として、改めて倭国を訪れようと思います。別に驚かせたい訳では無いですよ?
「大分日が落ちて来ましたね」
「買い物をするにしても数件見て回るのが限界か」
「ええ、遅くなると心配をかけますからね?」
「あのあの、ヤヨイ倭国の刀を見てみたいです!」
「……あ」
その言葉を言ってしまいましたか。いえ、別に悪い訳では無いですけれど……。刀という言葉を聞いてしまっては、ミツキさんが黙っている筈がありません。
「ヤヨイちゃんも刀が好きなのですね?」
「はい、実家が刀技を受け継ぐ家系なので」
「そうですか。布に巻かれてはいますが、ヤヨイちゃんが持っているのは刀ですよね? 相当な業物だとお見受けします」
「布の上から見ただけで解ったのですか!? 魔道炉のせいで、一見しても解らない形状をしていると思うんですけど。凄いです、やっぱりミツキ様も刀がお好きなんですか?」
「ええ、とても。ヤヨイちゃんと同じで、私も幼い頃から刀の修練を積んでいましたからね?」
「わぁ、お話が合いそうです! あのあの、じゃあ刀を買いに行っても良いですか?」
「刀か、別にいいぞ。私も嫌いじゃないし」
お二人の会話に九尾さんも割と前向きなようです。これはもう刀を買いに行く方向で決まりですね。私はもうクリムさんがいらっしゃいますし、他に武器を持つ予定もありませんので武器屋に用事は無いのですけれども。楽しそうな皆様を見れるだけで幸せなので良しです。
ミツキさんが嬉しそうにして下さるのが何よりですからね。ヤヨイさんに感謝です。
取りあえず、呉服屋の謎は解決出来ましたね。何も知らずにお店を覗いた私達は、織物を見ただけで買わずにはいられなくなってしまった訳ですけれども、これは祝福効果による物だった訳です。一種の魅了にかかった様な状態でしたし、とても恐ろしい能力ですよね……。
初めて訪れた人には特に効果が強く表れていたように思います。大地の精霊さんに少しお聞きしてみましょうか。それと、どうしてここにいらっしゃるのかも。
「あの、大地の精霊さん」
「何?」
「呉服屋の花文柄がとても魅力的に見えていたのは、やはり祝福による物ですよね?」
「そう。別に元々が魅力的に見えない訳じゃないけどね」
「はい、ミツキさんがお薦めして下さった有名なお店でしたからね」
嬉しそうに私が言いますと、ミツキさんが「その事なんですが」と切り出しました。
「私が以前訪れた時は買い物客なんて殆どいませんでしたけどね?」
「あれ、そうなのですか?」
「有名とは言いましたが、ごく一部の裕福層の間でのお話です。品質その物はとても優れたお店ですので、他国の貴族も訪れていたようですよ? その分値は張りますから、一般のお客は余り訪れません。何よりお店の場所が悪いですからね?」
そう言えば、件の呉服屋は微妙に大通りから逸れた位置にありました。その上似たようなお店は大通りに沢山ありますからね。良い品物を売っていたとしても、わざわざ裏手にまで買いに来るお客は少ないという事なのでしょう。何より一般の手に届かない値ではどうしようもありません。
「大地の精霊に聞くが、あの店はやけに花文柄の織物ばかりが目立っていた。何か理由でもあるのか?」
あ、九尾さんがそう言った事で私も思い出しました。店頭には沢山の花文柄の織物が山の様に積まれていたのですよね。
「解らない。売れる物までは限定していないわ」
「あれ、あの大量の花文柄は大地の精霊様のお力ではなかったのですか……。ヤヨイ、とっても欲しくなってしまったんですけど」
この疑問には大地の精霊さんでも解らない様です。他に何か売れる理由になり得る物ってありますでしょうか。
「あぁそれなんだけど。大地の精霊様の祝福を授かった辺りかしらね。偶然在庫を抱えていた花文柄が唐突に売れ出したもんだから、店主が花文柄作りに力を入れてたみたいよ。売れ筋ってのは何がきっかけになるか解らないから、売れる時に売るのが鉄則だし。つまり、店主の勘違いね」
あぁ、そう言う事でしたか。一点だけ大量にあれば、他の商品に目が行かなくなるのも仕方がないかもしれませんね。店頭に来て最初に家紋柄が目に入れば、後は祝福の効果でそれが欲しくなってしまいますから。
「でも取りあえず、あの呉服屋で織物を買っても問題ないんですよね? ヤヨイ、買えなくて未練があります」
「そうね。あの時はミツキ達まで憑き物の様になったら困るって思って買うのを止めたんだけど。今はむしろ買うのを推奨するわ」
「後数メル位したら祝福を元に戻すつもりだから、その後ならゆっくり買い物できると思うわ」
「解りました、人混みは苦手なのでヤヨイもう少しだけ我慢します!」
「ヤヨイさん、また後日ゆっくり買いに参りましょう」
「はい!」
これで疑問点は全部解決……と思いましたけれど。
「あ、大地の精霊さん。もう一つだけ」
「うん?」
「あの、大地の精霊さんは何故ここにいらっしゃったんでしょう……?」
「いたら駄目なの?」
「あ、あのいえ! 此方からお会いしに行く予定でしたので」
「そう。此処に私がいるのは、貴女が水の精霊の力を使ったからよ」
……確かにそうなのかもしれませんけれど。どういう仕組みでそうなっているのかが良く解りません。大地の精霊さんを探しやすくする為の力では無いのでしょうか?
「あの、ええと……。大地の精霊さんの居場所が解る力だって水の精霊さんが言っていましたよ?」
「あぁ、そう言う事。水の精霊は私達とは別行動してるから言葉足らずだった様ね。それはね、貴女が私を見つける為の力なんじゃなくて、私が貴女という存在に気付く為の力なの。何れにしても貴女は凄まじい力を秘めてるみたいだから嫌でも気づいたけど」
「あ。そう言う事でしたか……」
だから、いつの間にかここにいらしていたんですね。あれ……つまりそれって転移魔法の一種なのでしょうか。別の場所からここに瞬時に移動したわけですし……。
「あの、精霊さんは転移魔法を扱えるのですか?」
「貴女、水の精霊から聞いていないの? 私達精霊は属性に関与する物を対象として、割と色んな所へ行けるの。水の精霊なら水のある場所、私なら土に関係する場所と言う風にね」
「……あ! 確かに水の精霊さんも言っていましたね」
土に関係する物でしたら、この大陸全部がそうですよね。流石に移動できる距離には限界はあるでしょうけれども。
「ふぅ、ご馳走様。久しぶりの人間の食べ物はとても至福だったわ。特に甘い物は大好き」
「大地の精霊様、生菓子くらい幾らでも献上するわよ?」
「嬉しいけど、他の国にも行かなくちゃいけないから」
「あ、そうよね……」
「あ、でも。まだ少しの間は倭国に居るわ。だからね、和菓子……貴女の寝室の窓にでも置いておいて」
「……ええ、喜んで!」
ふふ、帝さんと大地の精霊さんが仲良くなれたみたいです。直接会う事はもう無いのかもしれませんけれど、お二人の絆は和菓子が繋げて下さるのです。
「じゃあ、そろそろ私は消えるわね」
「あ、もう行かれるのですか?」
「これ以上長居すると私、この国から出たくなくなっちゃうから」
「だったら、大地の精霊様はこの国に……!」
そこまで言って帝さんは言葉を押しとどめました。恥ずかしそうに俯いています。恐らく衝動的に言ってしまったのでしょうね。そんな帝さんに大地の精霊さんが近寄り、片腕に抱き着きました。
「私達精霊は、貴女の様な人がいるだけで幸せ」
「大地の精霊様……」
「この嬉しい気持ちは、祝福に変えて貴女達に返すわ……本当に有難う」
大地の精霊さんはそう言いますと、光に包まれ消えました。それはあっという間で、私達はお別れも言えませんでした……。
「行ってしまいましたね……。ヤヨイ、お友達になりたかったです」
「そうですね。でも……一部の人とだけ接する訳はいきませんからね?」
「あぁ、いずれ情が移って祝福の恩恵が偏ってしまうからな。精霊と言えど、心は人間となんら変わらないさ」
この大陸は本当にいろいろな力によって守られているのだと痛感しました。私はより一層、精霊さんを敬う気持ちを忘れない様に生きて行こうと思いました。
---------
お世話になった帝さんに感謝しつつ、幻城を後にした私達。身分は伏せたままにしていましたけれども、後日アクアリースの姫として、改めて倭国を訪れようと思います。別に驚かせたい訳では無いですよ?
「大分日が落ちて来ましたね」
「買い物をするにしても数件見て回るのが限界か」
「ええ、遅くなると心配をかけますからね?」
「あのあの、ヤヨイ倭国の刀を見てみたいです!」
「……あ」
その言葉を言ってしまいましたか。いえ、別に悪い訳では無いですけれど……。刀という言葉を聞いてしまっては、ミツキさんが黙っている筈がありません。
「ヤヨイちゃんも刀が好きなのですね?」
「はい、実家が刀技を受け継ぐ家系なので」
「そうですか。布に巻かれてはいますが、ヤヨイちゃんが持っているのは刀ですよね? 相当な業物だとお見受けします」
「布の上から見ただけで解ったのですか!? 魔道炉のせいで、一見しても解らない形状をしていると思うんですけど。凄いです、やっぱりミツキ様も刀がお好きなんですか?」
「ええ、とても。ヤヨイちゃんと同じで、私も幼い頃から刀の修練を積んでいましたからね?」
「わぁ、お話が合いそうです! あのあの、じゃあ刀を買いに行っても良いですか?」
「刀か、別にいいぞ。私も嫌いじゃないし」
お二人の会話に九尾さんも割と前向きなようです。これはもう刀を買いに行く方向で決まりですね。私はもうクリムさんがいらっしゃいますし、他に武器を持つ予定もありませんので武器屋に用事は無いのですけれども。楽しそうな皆様を見れるだけで幸せなので良しです。
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