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2章
私の中の魔法
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大好きなお風呂のある場所へと案内される途中、何度か階段を上る事があり、何処へ行くのでしょうと不思議に思っていた所。その疑問は素晴らしい景色と引き換えに、私の頭の中から掻き消えていきました。
「わぁ、遠くまで運河が見渡せて素敵です~!」
着物の女性に着いていった先は、この宿の屋上でした。
屋上の中心に岩で丸く囲われた堀があり、お湯が沢山満たされていました。着物の女性が露天風呂と呼んでいたこのお風呂は、二十人程度は一緒に浸かれるのではないかという程の大きさです。自ら身を乗り出さない限りは外から見える事は無く、素晴らしい水の街の景色を、お風呂と共に楽しめるんですよ。
お風呂と素敵な景色を同時に楽しめるこの気持ちをどう表せば良いのでしょう。幸せ過ぎますので、露天風呂と出会った記念のメルにしたい位です。
「どうやら気に入って貰えたみたいですね」
幸せ気分のほわほわした気持ちで屋上から景色を眺めていた私。その私の後ろから声がかかり振り向きますと、白い布を体に巻き付けたエステルさんが此方へ近寄って来ました。その両隣にはイグニシアさんとクリスティアさんもいます。
「ミズキ、脱いだ衣服を散らかして飛び出して行かないで頂戴。浮かれる気持ちは解らないでもないけど、せめて布で体くらい隠しなさいな……」
「あ……御免なさい、つい」
早くお風呂が見たくて、脱衣所で服を乱暴に脱ぎ捨てた私は裸のまま露天風呂へと飛び出していたのです。はしたないですけれど、今の私は恥ずかしさよりも幸せ感で一杯ですので、気にしません。などと思っていますと、クリスティアさんから布を渡されましたので、いそいそと体に巻き付けます。
「有難うございます、クリスティアさん」
「まったく……もう少しレディとしての自覚を持ちなさい。それに……。貴女にそんな姿で歩かれたら目の毒なのよ……」
「はい? 最後のほう聞き取れませんでした」
「な、なんでもないわよ!?」
何やら慌てている様子のクリスティアさん。彼女は長い髪を結い上げて、髪留めで一纏めにしています。可愛さと綺麗さが両立したような、子供なのに大人と言いますか、そんな不思議な魅力を晒しています。それと、私よりちょっと胸が大きいです……。むー。
そして、その隣であくびをしているイグニシアさんは、赤い後ろ髪をポニーテールにしています。こちらはひたすらに可愛い印象ですね。
「ん、これだけ広いお風呂なら、お湯に浮かんで寝れそう……」
眠そうなイグニシアさんがそのような事を呟きますと、「はしたないからやめなさい」とクリスティアさんが怒っています。
その後二人の言い合いが始まり、それを微笑ましく見ておりますと、エステルさんが私の隣に立ち、屋上から見える景色を眺めています。そんな彼女に、にこーっと笑顔で語りかける私。
「この景色、素敵ですよねぇ。エステルさんがお薦めして下さった理由が良く解りました」
「ふふ、ミズキさん本当に嬉しそうですね。街灯が灯る夜にこの露天風呂から見る夜景はもっと素晴らしいですよ。そしてこの宿は国家指定級の一つ、「アビス」様のお気に入りの場所なんです」
「アビスさん、ですか。ええと、アビスさんって「海龍」の?」
「ええ、アビス様は本来とても大きな龍の姿をしておりますが、そこに居られるイグニシア様のように、普段はとても可愛らしい少女の姿をしています。もう一人、「プリシラ」様も少女ですから、国家指定級はみな可憐な少女といっても差し支えないですね」
クリスティアさんと体に巻き付けた布の取り合いをしているイグニシアさんに目を向けます。彼女こそが世が恐怖した強大な存在……だとは誰も思わないでしょうね。恐らく、プリシラさんとアビスさんも、イグニシアさんのように根はとても良い人なのでしょう、そんな気がします。
「話は変わりますが、ミズキさん。魔法の方は何か進展などはありましたか?」
「ふぇ!?」
唐突な話題を振られて、焦って変な声が出てしまいました。
魔法……そういえばすっかり忘れていました。古代血術だけで無く、魔法も展開出来るようになれば、この先何かと便利だとは思っていたのですけれど……。思っていただけで、結局放置したままでした。
「ミズキさんに魔法の初歩を教えてあげて欲しいとシルフィちゃんからお願いされていたのですが、つい先ほどまで忘れていました」
「そ、そうだったのですか」
エステルさんが私に魔法を教えて下さるみたいです。シルフィさん、抜け目無いですね。
「私の中に何か魔法らしき物があるような感覚はあるのですけれど、その感覚に鍵がかかっているような感じで、展開の仕方が解らないのです」
「鍵……ですか」
私の説明に何か思い当たる節があるような様子で、考え事をしているエステルさん。私の頭の中では、引き出しを開けたように次々と 古代血術に関する知識と展開方法が浮かんで来るのですが、魔法に関しては知識の引き出しに鍵がかかっているみたいな感覚があり、思い浮かんで来ないのです。
「本来、魔法を展開する前に数クオルダの下積みが必要なのですが、ミズキさんの悩みはまるで全ての初歩段階を完全に飛ばしたような内容です」
「え?」
「本来魔法を習いたい方は「どうすれば魔法を展開する為の魔力を一点に集中させられるか」が解らない筈なのですが……ミズキさんは既に理解されているのですか?」
「はい、あの……殺気に魔力を込めて周囲に放った事があります」
私の返答に、「え?」と逆にエステルさんが疑問の声を出しました。
「あの、それは……魔力の応用段階のお話で、魔法に精通した宮廷魔術師と同等の能力ですよ?」
「……え?」
エルフさんの国で花畑を目指している際、イグニシアさんが軽い気持ちで私に説明するものですから、てっきり誰でも出来る事だと思っていたのですけれど……。考えて見ましたら、国家指定級である彼女でしたら、魔法使いの最高位である宮廷魔術師の能力ですら、簡単に扱えますよね……。
「魔法に関して、私からミズキさんにお教えする事は特に無いと思います。しいて言えば、鍵がかかっていると先ほど言っていましたけど、その魔法だけが全てでは無いと思うんです。ですから、ミズキさんが一番得意だと思う属性を先ずはイメージしてみては如何でしょうか」
「得意な属性……ですか」
一応魔法の属性程度でしたら私も知っています。魔法には火、氷、風、土、光の五種類の属性が存在していて、必ず何かしら自分と相性の良い属性があるのです。ですが、私がこの五属性を頭の中に思い浮かべても、いまいちしっくりこないんですよね……。
「考えずとも直ぐにイメージ出来る筈なのですが、得意な属性が思い浮かびませんか?」
「はい、どれも私とは違う感じがします。一番近いと感じるのは氷、のような気はするのですけれど」
エステルさんが悩みながら「変ですね……」と言いつつ私の手を取り、岩で囲まれた露天風呂へと歩き出します。そして暖かな湯に二人で浸かりますと、体の芯から温まっていく感覚に包まれ、ほわほわ気分になる私。
「今まで沢山のメルを過ごしてきましたけど、どの属性にも当てはまらないというお話しは初めてです。魔法とは別種の能力を扱う「特殊能力者」ですら、属性との相性はありますから。勿論私にも相性の良い属性はありますし」
湯に浸かりつつ、不可解な私の状態にお手上げの様子で、そうエステルさんが言います。
「うーん……私は何故五属性に良い相性を感じないのでしょう」
鍵のかかった魔法以外にも、悩みの種が増えた結果になるのでしょうか。氷属性が近い、とは感じますけれど、相性とはやはり違う感じです。
「一つだけ、相性が見つからない理由に心当たりがあるにはあるのですが……」
「どのような理由でしょう?」
エステルさんが、「私が昔在籍していた魔法学院に異論を投げかけるような内容ですけど」と前置きをして。
「もしかしたら、「新たな属性」がミズキさんの中にあるのかもしれません」
新たな属性……。
その言葉を聞いた途端、私の中にある魔法の鍵が、少しずつ開いていくような……そんな感覚がありました。
「わぁ、遠くまで運河が見渡せて素敵です~!」
着物の女性に着いていった先は、この宿の屋上でした。
屋上の中心に岩で丸く囲われた堀があり、お湯が沢山満たされていました。着物の女性が露天風呂と呼んでいたこのお風呂は、二十人程度は一緒に浸かれるのではないかという程の大きさです。自ら身を乗り出さない限りは外から見える事は無く、素晴らしい水の街の景色を、お風呂と共に楽しめるんですよ。
お風呂と素敵な景色を同時に楽しめるこの気持ちをどう表せば良いのでしょう。幸せ過ぎますので、露天風呂と出会った記念のメルにしたい位です。
「どうやら気に入って貰えたみたいですね」
幸せ気分のほわほわした気持ちで屋上から景色を眺めていた私。その私の後ろから声がかかり振り向きますと、白い布を体に巻き付けたエステルさんが此方へ近寄って来ました。その両隣にはイグニシアさんとクリスティアさんもいます。
「ミズキ、脱いだ衣服を散らかして飛び出して行かないで頂戴。浮かれる気持ちは解らないでもないけど、せめて布で体くらい隠しなさいな……」
「あ……御免なさい、つい」
早くお風呂が見たくて、脱衣所で服を乱暴に脱ぎ捨てた私は裸のまま露天風呂へと飛び出していたのです。はしたないですけれど、今の私は恥ずかしさよりも幸せ感で一杯ですので、気にしません。などと思っていますと、クリスティアさんから布を渡されましたので、いそいそと体に巻き付けます。
「有難うございます、クリスティアさん」
「まったく……もう少しレディとしての自覚を持ちなさい。それに……。貴女にそんな姿で歩かれたら目の毒なのよ……」
「はい? 最後のほう聞き取れませんでした」
「な、なんでもないわよ!?」
何やら慌てている様子のクリスティアさん。彼女は長い髪を結い上げて、髪留めで一纏めにしています。可愛さと綺麗さが両立したような、子供なのに大人と言いますか、そんな不思議な魅力を晒しています。それと、私よりちょっと胸が大きいです……。むー。
そして、その隣であくびをしているイグニシアさんは、赤い後ろ髪をポニーテールにしています。こちらはひたすらに可愛い印象ですね。
「ん、これだけ広いお風呂なら、お湯に浮かんで寝れそう……」
眠そうなイグニシアさんがそのような事を呟きますと、「はしたないからやめなさい」とクリスティアさんが怒っています。
その後二人の言い合いが始まり、それを微笑ましく見ておりますと、エステルさんが私の隣に立ち、屋上から見える景色を眺めています。そんな彼女に、にこーっと笑顔で語りかける私。
「この景色、素敵ですよねぇ。エステルさんがお薦めして下さった理由が良く解りました」
「ふふ、ミズキさん本当に嬉しそうですね。街灯が灯る夜にこの露天風呂から見る夜景はもっと素晴らしいですよ。そしてこの宿は国家指定級の一つ、「アビス」様のお気に入りの場所なんです」
「アビスさん、ですか。ええと、アビスさんって「海龍」の?」
「ええ、アビス様は本来とても大きな龍の姿をしておりますが、そこに居られるイグニシア様のように、普段はとても可愛らしい少女の姿をしています。もう一人、「プリシラ」様も少女ですから、国家指定級はみな可憐な少女といっても差し支えないですね」
クリスティアさんと体に巻き付けた布の取り合いをしているイグニシアさんに目を向けます。彼女こそが世が恐怖した強大な存在……だとは誰も思わないでしょうね。恐らく、プリシラさんとアビスさんも、イグニシアさんのように根はとても良い人なのでしょう、そんな気がします。
「話は変わりますが、ミズキさん。魔法の方は何か進展などはありましたか?」
「ふぇ!?」
唐突な話題を振られて、焦って変な声が出てしまいました。
魔法……そういえばすっかり忘れていました。古代血術だけで無く、魔法も展開出来るようになれば、この先何かと便利だとは思っていたのですけれど……。思っていただけで、結局放置したままでした。
「ミズキさんに魔法の初歩を教えてあげて欲しいとシルフィちゃんからお願いされていたのですが、つい先ほどまで忘れていました」
「そ、そうだったのですか」
エステルさんが私に魔法を教えて下さるみたいです。シルフィさん、抜け目無いですね。
「私の中に何か魔法らしき物があるような感覚はあるのですけれど、その感覚に鍵がかかっているような感じで、展開の仕方が解らないのです」
「鍵……ですか」
私の説明に何か思い当たる節があるような様子で、考え事をしているエステルさん。私の頭の中では、引き出しを開けたように次々と 古代血術に関する知識と展開方法が浮かんで来るのですが、魔法に関しては知識の引き出しに鍵がかかっているみたいな感覚があり、思い浮かんで来ないのです。
「本来、魔法を展開する前に数クオルダの下積みが必要なのですが、ミズキさんの悩みはまるで全ての初歩段階を完全に飛ばしたような内容です」
「え?」
「本来魔法を習いたい方は「どうすれば魔法を展開する為の魔力を一点に集中させられるか」が解らない筈なのですが……ミズキさんは既に理解されているのですか?」
「はい、あの……殺気に魔力を込めて周囲に放った事があります」
私の返答に、「え?」と逆にエステルさんが疑問の声を出しました。
「あの、それは……魔力の応用段階のお話で、魔法に精通した宮廷魔術師と同等の能力ですよ?」
「……え?」
エルフさんの国で花畑を目指している際、イグニシアさんが軽い気持ちで私に説明するものですから、てっきり誰でも出来る事だと思っていたのですけれど……。考えて見ましたら、国家指定級である彼女でしたら、魔法使いの最高位である宮廷魔術師の能力ですら、簡単に扱えますよね……。
「魔法に関して、私からミズキさんにお教えする事は特に無いと思います。しいて言えば、鍵がかかっていると先ほど言っていましたけど、その魔法だけが全てでは無いと思うんです。ですから、ミズキさんが一番得意だと思う属性を先ずはイメージしてみては如何でしょうか」
「得意な属性……ですか」
一応魔法の属性程度でしたら私も知っています。魔法には火、氷、風、土、光の五種類の属性が存在していて、必ず何かしら自分と相性の良い属性があるのです。ですが、私がこの五属性を頭の中に思い浮かべても、いまいちしっくりこないんですよね……。
「考えずとも直ぐにイメージ出来る筈なのですが、得意な属性が思い浮かびませんか?」
「はい、どれも私とは違う感じがします。一番近いと感じるのは氷、のような気はするのですけれど」
エステルさんが悩みながら「変ですね……」と言いつつ私の手を取り、岩で囲まれた露天風呂へと歩き出します。そして暖かな湯に二人で浸かりますと、体の芯から温まっていく感覚に包まれ、ほわほわ気分になる私。
「今まで沢山のメルを過ごしてきましたけど、どの属性にも当てはまらないというお話しは初めてです。魔法とは別種の能力を扱う「特殊能力者」ですら、属性との相性はありますから。勿論私にも相性の良い属性はありますし」
湯に浸かりつつ、不可解な私の状態にお手上げの様子で、そうエステルさんが言います。
「うーん……私は何故五属性に良い相性を感じないのでしょう」
鍵のかかった魔法以外にも、悩みの種が増えた結果になるのでしょうか。氷属性が近い、とは感じますけれど、相性とはやはり違う感じです。
「一つだけ、相性が見つからない理由に心当たりがあるにはあるのですが……」
「どのような理由でしょう?」
エステルさんが、「私が昔在籍していた魔法学院に異論を投げかけるような内容ですけど」と前置きをして。
「もしかしたら、「新たな属性」がミズキさんの中にあるのかもしれません」
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