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2章
中央都ミカエラ
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多少急ぎつつ馬車で街道を進む事二メル程。
私達は円状の城壁に囲われた大きな商業街「中央都ミカエラ」の門前に到着しました。途中野宿を挟んだ訳ですけれど、交流の持ち掛けや、パーティーのお誘いをしてくる冒険者さんが多かったです。主に男性だけのパーティーから。私達って女の子だけですし、男手が必要そうに見える親切心から声をかけてくるのでしょうね、と内心で思っておりますと。
「間に合っています。お引き取りを」
「ん、下心丸見え」
と、エステルさんとイグニシアさんが冷たく追い返していました。ミツキさんから、冒険者さんとは仲良くするようにと言われていましたけれど、エステルさん曰く時と場合によるそうです。私には良く解らないです。冒険者は奥が深いですね。
野宿の合間や馬車で移動中、私は新しい水魔法を構想し、いくつか生み出しました。イグニシアさんとアビスさんに協力して頂いて、新しい水魔法を実際の戦闘で展開するとどうなるか、の検証もしっかり行ってあります。
新しい水魔法は追々状況に合わせて展開していく予定です。そしてこの水魔法に対して、協力して下さったアビスさんが大変興味を抱いていました。アビスさんは直接水を操る能力を持つそうで、海の水を召喚して様々な用途に用いる事が可能だそうです。
魔法では無いので能力の強化は出来ず、威力を抑える程度しか応用が利かないそうですけれど、広範囲に津波を起こしたり、水の中に閉じ込めたりできるそうです。恐ろしいですね……。
国家指定級の皆さんは本気を出せば国その物が無くなってしまう程の能力を有していますけれど、その力を使ってしまいますと……当然住んでいる人々が死んでしまいます。ですので、本当の意味での本気を出す事は今後二度と無いでしょうね。
程無くして馬車がミカエラの門をくぐりますと、南方聖都とは違い、ごくありふれた普通の街並みが広がりました。街の中心に大きな時計台があり、その周囲を囲むように四か所に区分けされた作りになっています。貴族街は無く、街その物が商売に特化した作りになっているそうで、宿と様々なお店が豊富にあり、酒場等も四区全体にあるそうです。
そしてこの街の一番の特徴として。
遥か昔に「土姫」の称号を持つ中で歴代最強と謳われた人物の出身地である事でも有名なのだとか。その人物は「特殊能力者」でもあり、土魔法を強化できる特殊能力を保持していたそうです。歴史に残っていないとされる「獣人と人間の戦争」で活躍し、獣人の一人と相打ちしたとエステルさんが教えて下さいました。
ミカエラ、という名前はその当時の「土姫」さんの名前でもあったそうで、歴史に活躍は残りませんでしたけれど、後に「土姫」としての功績により、生まれた街にその名が与えられたとされています。
「へぇ、商業街と呼ばれるだけはあるわね。街そのものが市場のようだわ」
クリスティアさんが馬車の中から街並みを眺めつつ、賑やかな様子に関心を寄せています。馬車から見える景色は、丁度食べ物を中心に扱うお店が立ち並ぶ区域のようで、美味しそうな果物が山積みにされていたり、野菜やお肉、お魚なども豊富に取り揃えられています。
「この街は大抵の物は探せば必ず見つかる、というくらい物が集まる街ですからね。この点でも隣国の王都に引けを取りません」
エステルさんも馬車の窓から外を眺めながら、嬉しそうにこの街について教えて下さいます。この街は四大聖都のように巫女が治めている訳ではなく、エウラスから派遣された領主によって治安維持がなされています。ただ、「特殊能力者」によって街の治安が守られている点は四大聖都と一緒のようですね。
町の中央に着いた馬車から降りて、背伸びをしながら深呼吸する私。今回の馬車の移動は割と快適でした。やはり、へこんだ道が無いのは素晴らしいです。しっかり石畳が補装されていましたので、本当に管理が行き届いた素敵な国だと思います。
「クリスティアさん、水晶は今どの辺りですか?」
直ぐにこの街へ来た理由である、水晶の行方についてクリスティアさんに尋ねますと。
「恐らく二メル後にはこの街に着くわね。街の中に入れないように、此方から北へ出向いた方がいいのではないかしら」
「そうですね。街の中で水晶を待つ必要はありません。こちらから迎えに行ってあげましょう」
「ん、でも出来れば次のメルにして欲しい」
実を言えば既に辺りが暗くなり始めていて、これから北側へと出向きますと、折角街にいたにも関わらず野宿をする事になってしまいます。イグニシアさんは決して我儘を言っている訳では無いですね。
「やすむならちゃんとしたおふとんがいいよね!」
にばーと笑顔のアビスさん。そんな顔をされたら、北の街道で野宿の案は誰にも出せませんね。
「ふふ、そうですね。アビス様もこう言っていますし、宿をとって次のメルの早朝に出発しましょうか」
エステルさんも満更でもないようですので、満場一致でこの夜はミカエラの街で一泊する事になりました。
-------
「次のメル、水晶と戦うかもしれないですのに、こうして寛いでいていいのでしょうか」
「貴女、表情と言ってる内容が嚙み合ってないわよ……」
水晶との戦いを見据え、次のメルへ思いをはせる私に、クリスティアさんから厳しい一言を頂きます。
宿に泊まった私達は、その後食事を済ませ、皆でお風呂に来ていました。各々シャワーを浴びていたり、浴槽に浸かったりしていて、私は後者です。完全にほわほわ状態になっています。仕方がないのです、お風呂大好きですもの!
「ん、ミズキのお風呂好きは、ある意味狂気」
「其のうちお湯と同化してしまいそうですね」
イグニシアさんが若干引き気味の中、くすくすと笑うエステルさん。誰だって好きなものを満喫している合間は幸せ気分になると思うのです。
「お風呂は私にとって癒しの時間なのです。何を言われても今の私には利きません~」
本当にお風呂と同化しているのではと言うくらい湯に浸かりながら強気の姿勢を示す私の目の前を、ぷかぷか浮きながらすいーと横切るアビスさん。
「ぽかぽかきもちー」
幼女が背泳ぎしている姿に和みます。
浴槽は大きいという程でも無いのですけれど、丁度他の女性客がいない時間帯だったらしく、貸し切りのような形でしたので、アビスさん位の小柄な方でしたら多少泳げる程度の広さはあります。
「ん、海龍アビス改め「茹で龍アビス」」
イグニシアさんが浴槽に入るなり、アビスさんに新しい称号を与えています。
「私ゆでりゅーじゃないもん!」
「ん、程よく茹ってて、いいダシが取れそう」
「私だしなんかでないもん! そーゆー事いうなら、いぐにしあはゆで鳥だよ!」
何かお互いの口を引っ張り合いながらじゃれる二人の少女。あぁ、大変癒されます。
「イグニシア様、今の発言は少々過激ですので控えてください」
注意を促しつつも、じゃれ合う二人の少女を微笑ましそうに見ながらエステルさんが浴槽に浸かり、これで全員が浴槽に入った形になります。
「ミズキも大概だけど、貴女達って本当に緊張感がないのね……」
一人冷静なクリスティアさんに「旅は楽しく、ですよクリスティアさん」とエステルさんが笑顔で言います。
「ん、そーいえば。クリスティア、水晶は夜の合間何してる? 北の街道を通る冒険者は無事?」
何気にイグニシアさんの疑問は重要な点でした。言われてから気づいた私も、大変気になる事です。
「水晶が動きを停止している間は、私の目で追う事が出来ないのよ。けれど、それは水晶が休んでいるって事だから、私達が寝ている間に距離を詰められるなんて事はないわ」
目を瞑っていたクリスティアさんが「で、街道を通る人達だけど」と前置きをして。
「どう言う訳か、水晶はすれ違う人々を無視して素通りしているわね。冒険者らしきパーティーが通っても、まるで水晶に気づいていないかのように通り抜けていたわ」
クリスティアさんのお話を聞くに、水晶はすれ違う人々を無視し、すれ違う人の方は水晶に気づいていない、という事でしょうか。不思議な光景です。
「水晶が無差別に人を襲わないのは助かりますが、妙ですね……」
「ん、水晶の狙いが何なのか全然解らない」
エステルさんとイグニシアさんも水晶の不可解さに頭を悩めています。
「水晶の行動全てが本当に謎ですね」
その不可解さも、次出会った時に解るのでしょうか。再び人の姿になったとされる水晶との再会に、警戒感を深める私なのでした。
私達は円状の城壁に囲われた大きな商業街「中央都ミカエラ」の門前に到着しました。途中野宿を挟んだ訳ですけれど、交流の持ち掛けや、パーティーのお誘いをしてくる冒険者さんが多かったです。主に男性だけのパーティーから。私達って女の子だけですし、男手が必要そうに見える親切心から声をかけてくるのでしょうね、と内心で思っておりますと。
「間に合っています。お引き取りを」
「ん、下心丸見え」
と、エステルさんとイグニシアさんが冷たく追い返していました。ミツキさんから、冒険者さんとは仲良くするようにと言われていましたけれど、エステルさん曰く時と場合によるそうです。私には良く解らないです。冒険者は奥が深いですね。
野宿の合間や馬車で移動中、私は新しい水魔法を構想し、いくつか生み出しました。イグニシアさんとアビスさんに協力して頂いて、新しい水魔法を実際の戦闘で展開するとどうなるか、の検証もしっかり行ってあります。
新しい水魔法は追々状況に合わせて展開していく予定です。そしてこの水魔法に対して、協力して下さったアビスさんが大変興味を抱いていました。アビスさんは直接水を操る能力を持つそうで、海の水を召喚して様々な用途に用いる事が可能だそうです。
魔法では無いので能力の強化は出来ず、威力を抑える程度しか応用が利かないそうですけれど、広範囲に津波を起こしたり、水の中に閉じ込めたりできるそうです。恐ろしいですね……。
国家指定級の皆さんは本気を出せば国その物が無くなってしまう程の能力を有していますけれど、その力を使ってしまいますと……当然住んでいる人々が死んでしまいます。ですので、本当の意味での本気を出す事は今後二度と無いでしょうね。
程無くして馬車がミカエラの門をくぐりますと、南方聖都とは違い、ごくありふれた普通の街並みが広がりました。街の中心に大きな時計台があり、その周囲を囲むように四か所に区分けされた作りになっています。貴族街は無く、街その物が商売に特化した作りになっているそうで、宿と様々なお店が豊富にあり、酒場等も四区全体にあるそうです。
そしてこの街の一番の特徴として。
遥か昔に「土姫」の称号を持つ中で歴代最強と謳われた人物の出身地である事でも有名なのだとか。その人物は「特殊能力者」でもあり、土魔法を強化できる特殊能力を保持していたそうです。歴史に残っていないとされる「獣人と人間の戦争」で活躍し、獣人の一人と相打ちしたとエステルさんが教えて下さいました。
ミカエラ、という名前はその当時の「土姫」さんの名前でもあったそうで、歴史に活躍は残りませんでしたけれど、後に「土姫」としての功績により、生まれた街にその名が与えられたとされています。
「へぇ、商業街と呼ばれるだけはあるわね。街そのものが市場のようだわ」
クリスティアさんが馬車の中から街並みを眺めつつ、賑やかな様子に関心を寄せています。馬車から見える景色は、丁度食べ物を中心に扱うお店が立ち並ぶ区域のようで、美味しそうな果物が山積みにされていたり、野菜やお肉、お魚なども豊富に取り揃えられています。
「この街は大抵の物は探せば必ず見つかる、というくらい物が集まる街ですからね。この点でも隣国の王都に引けを取りません」
エステルさんも馬車の窓から外を眺めながら、嬉しそうにこの街について教えて下さいます。この街は四大聖都のように巫女が治めている訳ではなく、エウラスから派遣された領主によって治安維持がなされています。ただ、「特殊能力者」によって街の治安が守られている点は四大聖都と一緒のようですね。
町の中央に着いた馬車から降りて、背伸びをしながら深呼吸する私。今回の馬車の移動は割と快適でした。やはり、へこんだ道が無いのは素晴らしいです。しっかり石畳が補装されていましたので、本当に管理が行き届いた素敵な国だと思います。
「クリスティアさん、水晶は今どの辺りですか?」
直ぐにこの街へ来た理由である、水晶の行方についてクリスティアさんに尋ねますと。
「恐らく二メル後にはこの街に着くわね。街の中に入れないように、此方から北へ出向いた方がいいのではないかしら」
「そうですね。街の中で水晶を待つ必要はありません。こちらから迎えに行ってあげましょう」
「ん、でも出来れば次のメルにして欲しい」
実を言えば既に辺りが暗くなり始めていて、これから北側へと出向きますと、折角街にいたにも関わらず野宿をする事になってしまいます。イグニシアさんは決して我儘を言っている訳では無いですね。
「やすむならちゃんとしたおふとんがいいよね!」
にばーと笑顔のアビスさん。そんな顔をされたら、北の街道で野宿の案は誰にも出せませんね。
「ふふ、そうですね。アビス様もこう言っていますし、宿をとって次のメルの早朝に出発しましょうか」
エステルさんも満更でもないようですので、満場一致でこの夜はミカエラの街で一泊する事になりました。
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「次のメル、水晶と戦うかもしれないですのに、こうして寛いでいていいのでしょうか」
「貴女、表情と言ってる内容が嚙み合ってないわよ……」
水晶との戦いを見据え、次のメルへ思いをはせる私に、クリスティアさんから厳しい一言を頂きます。
宿に泊まった私達は、その後食事を済ませ、皆でお風呂に来ていました。各々シャワーを浴びていたり、浴槽に浸かったりしていて、私は後者です。完全にほわほわ状態になっています。仕方がないのです、お風呂大好きですもの!
「ん、ミズキのお風呂好きは、ある意味狂気」
「其のうちお湯と同化してしまいそうですね」
イグニシアさんが若干引き気味の中、くすくすと笑うエステルさん。誰だって好きなものを満喫している合間は幸せ気分になると思うのです。
「お風呂は私にとって癒しの時間なのです。何を言われても今の私には利きません~」
本当にお風呂と同化しているのではと言うくらい湯に浸かりながら強気の姿勢を示す私の目の前を、ぷかぷか浮きながらすいーと横切るアビスさん。
「ぽかぽかきもちー」
幼女が背泳ぎしている姿に和みます。
浴槽は大きいという程でも無いのですけれど、丁度他の女性客がいない時間帯だったらしく、貸し切りのような形でしたので、アビスさん位の小柄な方でしたら多少泳げる程度の広さはあります。
「ん、海龍アビス改め「茹で龍アビス」」
イグニシアさんが浴槽に入るなり、アビスさんに新しい称号を与えています。
「私ゆでりゅーじゃないもん!」
「ん、程よく茹ってて、いいダシが取れそう」
「私だしなんかでないもん! そーゆー事いうなら、いぐにしあはゆで鳥だよ!」
何かお互いの口を引っ張り合いながらじゃれる二人の少女。あぁ、大変癒されます。
「イグニシア様、今の発言は少々過激ですので控えてください」
注意を促しつつも、じゃれ合う二人の少女を微笑ましそうに見ながらエステルさんが浴槽に浸かり、これで全員が浴槽に入った形になります。
「ミズキも大概だけど、貴女達って本当に緊張感がないのね……」
一人冷静なクリスティアさんに「旅は楽しく、ですよクリスティアさん」とエステルさんが笑顔で言います。
「ん、そーいえば。クリスティア、水晶は夜の合間何してる? 北の街道を通る冒険者は無事?」
何気にイグニシアさんの疑問は重要な点でした。言われてから気づいた私も、大変気になる事です。
「水晶が動きを停止している間は、私の目で追う事が出来ないのよ。けれど、それは水晶が休んでいるって事だから、私達が寝ている間に距離を詰められるなんて事はないわ」
目を瞑っていたクリスティアさんが「で、街道を通る人達だけど」と前置きをして。
「どう言う訳か、水晶はすれ違う人々を無視して素通りしているわね。冒険者らしきパーティーが通っても、まるで水晶に気づいていないかのように通り抜けていたわ」
クリスティアさんのお話を聞くに、水晶はすれ違う人々を無視し、すれ違う人の方は水晶に気づいていない、という事でしょうか。不思議な光景です。
「水晶が無差別に人を襲わないのは助かりますが、妙ですね……」
「ん、水晶の狙いが何なのか全然解らない」
エステルさんとイグニシアさんも水晶の不可解さに頭を悩めています。
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