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3章
エウラスへ向けての下準備
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玉座の間に転移魔法で戻って参りますと。
早速プリシラさんからチョップの出迎えを頂いた母様が「おうー……」と言いながら、頭を押さえてうずくまっています。
「ミズファ。次また勝手な行動をしたら……ディナーは抜きにするわよ」
「あうあう……ご飯抜きはやめてくださいー」
「全く……。それでどうなったのかしら」
「当然成功です! ミズキの魔法がトンネルボウラーの如く、凄い勢いで穴を開けてましたよ! ミズキはやっぱり凄いです!」
何でしょうか、とんねるぼうらー?って……。響き的に生き物では無いようですので、褒められても余り喜べません。
「成功したのね。山に穴を開けるだけならそれ程難しい訳では無いけれど、向こう側まで貫通させるとなると話は別よ。必ず何処かで山を破壊してしまうから。本当に凄いわミズキ」
プリシラさんが私を抱き寄せて頭をなでてくださいます。とはいえ、私の方がちょっと背が高いですので、構図的には微笑ましい感じになっているでしょうけれども。
あえて山を破壊してしまう事も一応選択肢の一つですよね。ただその後の処理が大変ですので、急がなければならない状況にある現状にあっては、その方法は取れませんけれど。それと炭鉱夫さんや冒険者さんにお仕事を斡旋する事も大事ですものね。
「じゃあ早速、僕は騎士団と兵士の編成に入るよ。いつでもエウラス入り出来るように、南の山の麓に野営陣地を作って軍を待機させておくけど、構わないかな?」
ウェイルさんは此方から言う事無く、すべき事を理解している様子です。流石はウェイルさんですね。
「うん、お願いします! シルフィちゃんとエステルさんもウェイル君についてあげて下さい。その後、部隊を三つに分けて、各々が指揮を執って下さい。あ、それと炭鉱夫さん達に急いでトンネルの補強をお願いしておいて下さい!」
「解りましたわ!」
「ええ、是非もありません」
シルフィさんとエステルさんが母様の指示を受け、ウェイルさんと共に玉座の間を退出して行きます。その途中シルフィさんが私に振り返り、「ミズキ、貴女がこの国に居てくれて本当に良かったですわ」と微笑んで下さいました。そんな彼女に微笑み返し、手を振って答えます。
「エルフの長とも連絡を取りたい所ね。ミズファ、魔力が回復次第シャイアに行ってくれるかしら?」
「勿論です。きっと長さん困惑しているでしょうからね」
「長はしっかりしているように見えて、命の取り合いが絡むと途端に弱気になるから。少し前まで他種族と関わらずに居たのだから、仕方のない事だけれど」
そういえば、幻影は全ての国に飛ばされていると言う話でしたね。エルフの長さんも当然、宣戦布告によるエウラスの危機は知っているでしょう。私にもオロオロしている長さんの姿が目に浮かびます。母様は他国への転移を自粛している様ですけれど、今は緊急事態ですものね。
あ、母様がシャイアに行かれる前に、九尾さんにその後の闘技会とシーラさんについて聞いておきませんと。
「あの九尾さん、闘技会はどうなったのでしょうか?」
「む、ミズキは余り闘技会に乗り気では無かったと思っていたが、もしかして気に入ったのか?」
「いえ、あの途中で放り出す形になってしまいましたし……」
「あぁ、心配は要らない。一時中断をしてはいるが、混乱が収まった後に続きを行うぞ」
「それを聞いて安心しました。中途半端は何か嫌でしたから」
人前で戦うのは今でも恥ずかしいですけれど、クリスティアさんとの戦いは見て欲しいという気持ちも同居していて、何やら複雑なのです。
「二回戦以降の対戦表は私も目を通したけれど、準決勝辺りでミズキと当たる組み合わせになっていたわね。私は是非ミズキと戦いたいわ。さっさと水晶を黙らせて、闘技会の続きをしましょう」
クリスティアさんも私と同じ気持ちのようですので、彼女に向けて頷きました。戦うだけなら別段どこでも出来ますけれど、クリスティアさんの優雅な戦いを沢山の人に見て頂きたいのです。強力な能力を有する方の戦いは本来、見たくても見られないのですもの。
「それとだな。私の本体に対して、シーラがベルドア王国への帰還を強く申し出ているんだが、どうする?」
やはり、シーラさんは帰還を希望している様です。でも、彼女が一方的な侵略に加担するなんてとても考えられません。彼女はそんな人では無い筈です。国の為に剣を振るうって、そういう事じゃ無いと思うのです。
「シーラさんは何て言ってるんですか? 単に帰りたいだけとも思えないんですけど」
「どんな理由であれ戦争を仕掛けるなど、ベルドア王国にあるまじき行為だと言っているな。王に謁見を求めるつもりらしい」
今ベルドア王国は何らかの力によって、国その物が水晶に操られている可能性があります。そんな不可解な状況下にある国に戻れば、シーラさんは謁見する事無く戦争へ向かう兵士の列に自ら加わってしまうかもしれません。
「母様、九尾さん、シーラさんを保護出来ませんか? 今彼女を国に帰しては駄目だと思います」
「僕もミズキと同じ気持ちです。彼女は暫くこの国で預かりましょう。嫌だと言うならば無理やり精神魔法で眠ってもらう程度は必要かもしれません」
「それは、本当に最後の手段でお願いします。目覚めた時、シーラさんはとても悲しみますもの」
「うん、そうですね。ミズキの言う通りです、成るべくシーラさんは僕が説得してみます」
ほんの少しですけれど、シーラさんとは心を通わせる程度には仲良くなれたと感じています。でしたら、彼女の説得は私がすべきだと思うのです。
「あの、母様。シーラさんの説得は私にさせて頂けませんか?」
「ミズキがですか?」
「はい、少しですけれど、彼女とはお友達になれましたから」
「そう言う事ならミズキにお任せしましょう。直ぐに獣人の街へ送ってあげますね」
「待って王女。私も一緒に行ってもいいかしら?」
クリスティアさんが同伴の意思を示しています。彼女もシーラさんと戦った事で、通じ合えた部分もあるでしょう。心配する気持ちは私と変わらない筈です。
「出来ればクリスティアちゃんには水晶の動向をいち早く知る為に、僕達の傍に居て欲しい所ですけど」
今のクリスティアさんは母様に仕える身です。今までと違い、自由な行動は出来ませんし母様の言う事はもっともです。私としましては、クリスティアさんも一緒に来て下さいますと、とても嬉しいのですけれど。
「ミズファ、私の蝙蝠をクリスティアに引き続き付かせるわ。何か解り次第蝙蝠を介して直ぐに私に知らせる事が出来るから、この場を離れさせても平気よ」
「プリシラの蝙蝠がいましたねー。なら大丈夫そうです! クリスティアちゃんもミズキと一緒に、シーラさんの保護をお願い出来ますか?」
「ええ、任せて頂戴。シーラは必ずこの城へ連れて帰るわ。今の彼女は、掲げるべき剣の先を違えかねない。何より、水晶の下で剣を振るう彼女なんて見たくないもの」
クリスティアさんなりに、シーラさんを認めているのですね。一緒に来てくれるようですので、心強いのです。
「じゃあプリシラと五姫はお城で待機していて下さい。先ずは獣人の街へミズキとクリスティアちゃんを送ってきます!」
母様が転移魔法を展開し、影が地面に現れます。何度目になるかと数える程、この短い間に母様の転移魔法にはお世話になりっぱなしですね。流石の母様でもこれだけ転移魔法を頻繁に展開しますと、疲れが見えている様子です。自分一人だけの転移でしたら、平気なのかもしれませんけれど。
落ち着いたら、母様の傍で沢山親孝行をしたいです。いつの間にか、私は母様と一緒に居る事が当たり前になり、もう緊張なんて微塵もしていませんでした。母様の喜ぶ姿が見たい。この美しい少女の身なりで、色々と残念な母様を支えていきたい。それが今の私の生きがいですもの!
早速プリシラさんからチョップの出迎えを頂いた母様が「おうー……」と言いながら、頭を押さえてうずくまっています。
「ミズファ。次また勝手な行動をしたら……ディナーは抜きにするわよ」
「あうあう……ご飯抜きはやめてくださいー」
「全く……。それでどうなったのかしら」
「当然成功です! ミズキの魔法がトンネルボウラーの如く、凄い勢いで穴を開けてましたよ! ミズキはやっぱり凄いです!」
何でしょうか、とんねるぼうらー?って……。響き的に生き物では無いようですので、褒められても余り喜べません。
「成功したのね。山に穴を開けるだけならそれ程難しい訳では無いけれど、向こう側まで貫通させるとなると話は別よ。必ず何処かで山を破壊してしまうから。本当に凄いわミズキ」
プリシラさんが私を抱き寄せて頭をなでてくださいます。とはいえ、私の方がちょっと背が高いですので、構図的には微笑ましい感じになっているでしょうけれども。
あえて山を破壊してしまう事も一応選択肢の一つですよね。ただその後の処理が大変ですので、急がなければならない状況にある現状にあっては、その方法は取れませんけれど。それと炭鉱夫さんや冒険者さんにお仕事を斡旋する事も大事ですものね。
「じゃあ早速、僕は騎士団と兵士の編成に入るよ。いつでもエウラス入り出来るように、南の山の麓に野営陣地を作って軍を待機させておくけど、構わないかな?」
ウェイルさんは此方から言う事無く、すべき事を理解している様子です。流石はウェイルさんですね。
「うん、お願いします! シルフィちゃんとエステルさんもウェイル君についてあげて下さい。その後、部隊を三つに分けて、各々が指揮を執って下さい。あ、それと炭鉱夫さん達に急いでトンネルの補強をお願いしておいて下さい!」
「解りましたわ!」
「ええ、是非もありません」
シルフィさんとエステルさんが母様の指示を受け、ウェイルさんと共に玉座の間を退出して行きます。その途中シルフィさんが私に振り返り、「ミズキ、貴女がこの国に居てくれて本当に良かったですわ」と微笑んで下さいました。そんな彼女に微笑み返し、手を振って答えます。
「エルフの長とも連絡を取りたい所ね。ミズファ、魔力が回復次第シャイアに行ってくれるかしら?」
「勿論です。きっと長さん困惑しているでしょうからね」
「長はしっかりしているように見えて、命の取り合いが絡むと途端に弱気になるから。少し前まで他種族と関わらずに居たのだから、仕方のない事だけれど」
そういえば、幻影は全ての国に飛ばされていると言う話でしたね。エルフの長さんも当然、宣戦布告によるエウラスの危機は知っているでしょう。私にもオロオロしている長さんの姿が目に浮かびます。母様は他国への転移を自粛している様ですけれど、今は緊急事態ですものね。
あ、母様がシャイアに行かれる前に、九尾さんにその後の闘技会とシーラさんについて聞いておきませんと。
「あの九尾さん、闘技会はどうなったのでしょうか?」
「む、ミズキは余り闘技会に乗り気では無かったと思っていたが、もしかして気に入ったのか?」
「いえ、あの途中で放り出す形になってしまいましたし……」
「あぁ、心配は要らない。一時中断をしてはいるが、混乱が収まった後に続きを行うぞ」
「それを聞いて安心しました。中途半端は何か嫌でしたから」
人前で戦うのは今でも恥ずかしいですけれど、クリスティアさんとの戦いは見て欲しいという気持ちも同居していて、何やら複雑なのです。
「二回戦以降の対戦表は私も目を通したけれど、準決勝辺りでミズキと当たる組み合わせになっていたわね。私は是非ミズキと戦いたいわ。さっさと水晶を黙らせて、闘技会の続きをしましょう」
クリスティアさんも私と同じ気持ちのようですので、彼女に向けて頷きました。戦うだけなら別段どこでも出来ますけれど、クリスティアさんの優雅な戦いを沢山の人に見て頂きたいのです。強力な能力を有する方の戦いは本来、見たくても見られないのですもの。
「それとだな。私の本体に対して、シーラがベルドア王国への帰還を強く申し出ているんだが、どうする?」
やはり、シーラさんは帰還を希望している様です。でも、彼女が一方的な侵略に加担するなんてとても考えられません。彼女はそんな人では無い筈です。国の為に剣を振るうって、そういう事じゃ無いと思うのです。
「シーラさんは何て言ってるんですか? 単に帰りたいだけとも思えないんですけど」
「どんな理由であれ戦争を仕掛けるなど、ベルドア王国にあるまじき行為だと言っているな。王に謁見を求めるつもりらしい」
今ベルドア王国は何らかの力によって、国その物が水晶に操られている可能性があります。そんな不可解な状況下にある国に戻れば、シーラさんは謁見する事無く戦争へ向かう兵士の列に自ら加わってしまうかもしれません。
「母様、九尾さん、シーラさんを保護出来ませんか? 今彼女を国に帰しては駄目だと思います」
「僕もミズキと同じ気持ちです。彼女は暫くこの国で預かりましょう。嫌だと言うならば無理やり精神魔法で眠ってもらう程度は必要かもしれません」
「それは、本当に最後の手段でお願いします。目覚めた時、シーラさんはとても悲しみますもの」
「うん、そうですね。ミズキの言う通りです、成るべくシーラさんは僕が説得してみます」
ほんの少しですけれど、シーラさんとは心を通わせる程度には仲良くなれたと感じています。でしたら、彼女の説得は私がすべきだと思うのです。
「あの、母様。シーラさんの説得は私にさせて頂けませんか?」
「ミズキがですか?」
「はい、少しですけれど、彼女とはお友達になれましたから」
「そう言う事ならミズキにお任せしましょう。直ぐに獣人の街へ送ってあげますね」
「待って王女。私も一緒に行ってもいいかしら?」
クリスティアさんが同伴の意思を示しています。彼女もシーラさんと戦った事で、通じ合えた部分もあるでしょう。心配する気持ちは私と変わらない筈です。
「出来ればクリスティアちゃんには水晶の動向をいち早く知る為に、僕達の傍に居て欲しい所ですけど」
今のクリスティアさんは母様に仕える身です。今までと違い、自由な行動は出来ませんし母様の言う事はもっともです。私としましては、クリスティアさんも一緒に来て下さいますと、とても嬉しいのですけれど。
「ミズファ、私の蝙蝠をクリスティアに引き続き付かせるわ。何か解り次第蝙蝠を介して直ぐに私に知らせる事が出来るから、この場を離れさせても平気よ」
「プリシラの蝙蝠がいましたねー。なら大丈夫そうです! クリスティアちゃんもミズキと一緒に、シーラさんの保護をお願い出来ますか?」
「ええ、任せて頂戴。シーラは必ずこの城へ連れて帰るわ。今の彼女は、掲げるべき剣の先を違えかねない。何より、水晶の下で剣を振るう彼女なんて見たくないもの」
クリスティアさんなりに、シーラさんを認めているのですね。一緒に来てくれるようですので、心強いのです。
「じゃあプリシラと五姫はお城で待機していて下さい。先ずは獣人の街へミズキとクリスティアちゃんを送ってきます!」
母様が転移魔法を展開し、影が地面に現れます。何度目になるかと数える程、この短い間に母様の転移魔法にはお世話になりっぱなしですね。流石の母様でもこれだけ転移魔法を頻繁に展開しますと、疲れが見えている様子です。自分一人だけの転移でしたら、平気なのかもしれませんけれど。
落ち着いたら、母様の傍で沢山親孝行をしたいです。いつの間にか、私は母様と一緒に居る事が当たり前になり、もう緊張なんて微塵もしていませんでした。母様の喜ぶ姿が見たい。この美しい少女の身なりで、色々と残念な母様を支えていきたい。それが今の私の生きがいですもの!
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