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3章
準備万端です
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蝙蝠を介してプリシラさんに連絡を取り暫く待ちますと、夜になった頃に母様が再びお迎えに来て下さいました。
ただ、母様曰く一晩休まないと三人を転移させるだけの魔力が無いとの事でしたので、母様を入れた私とクリスティアさん、それとシーラさんの四人で九尾さんのお屋敷に一泊させて頂く事にしました。このお屋敷は闘技会中も宿泊しておりましたので、比較的勝手が解り過ごしやすいのです。
初めて泊まるシーラさんは流石に緊張しているようでしたけれど、九尾さんの細かい事は気にしない性格も相まって、夕食時には既にリラックスしていました。
そして私は今、夕食後大好きなお風呂に皆と一緒に浸かっている所なのでした。女神像が浴槽の中央にあり、石柱に囲まれた神殿のような作りになっているお風呂なのです。
「は~生き返ります~」
間もなく戦争になるかと言う緊迫した状況の中ですけれども、お風呂は身嗜みを整える為には必要な事ですので、決して失礼には当たらないのです。例えお湯の気持ち良さでゆるい表情をしていたとしても失礼には当たらないのです。ええ、当たりません。
「ミズキは本当にお風呂が好きなんですねー」
長い銀色の髪をポニーテールにしている母様が、隣で湯に浸かりつつお風呂を堪能する私に関心を寄せています。大抵の方から母様と同じような関心を持たれますけれど、もう特に恥ずかしい気持ちはありません。自分に素直でいる事が大事なのです。
「大好き~」
「ミズキ様はお風呂に入るとまるで別人のようですわ」
「そうなのよ。お風呂に狂う古代魔法具でも仕込まれているのでは無いかしら」
「ふふ~」
「まさにゆるキャラですねー」
恐らく緩い感じの小動物という意味合いなのだと思いますけれど、否定はしません。お風呂は私を開放的にしてくれる素敵な空間ですので、どうしても緩くなってしまうんですもの。そんな私をぎゅーっと肩から抱き寄せつつ、「さて明日からの、いえ次のメルからの事ですがー」と母様が話題を切り出します。
「朝になったら直ぐにお城へ戻ります。その後、シーラさんを南の山まで送りますから、南へ移動中の騎士団と合流後、帯同する形でお願いしますね」
「解りましたわ、聖王女様」
「そしてミズキとクリスティアちゃんですけど。二人は僕と一緒にお城で待機です」
「王女とミズキは当然としても、私も残っていていいのかしら? 今の私なら例え水晶五姫が相手でも戦えるわよ」
水晶五姫は五属性の攻撃が全て効かないという性質がありますけれど、クリスティアさんが操る古代魔法具は、属性とは一切関係の無い特殊な性質を持っています。ですので、水晶五姫への数少ない対抗戦力になると思うのですけれど。
それと、私も出来るならエウラスへ行って皆さんを補助したいです。私は水の精霊さんからとても便利な魔法を頂いていますので、有効に活用するならば今を持って他に無いと思いますし。
「水晶は僕の所に来る気がします。エウラスにウェイル君や五姫達を向かわせ、手薄になった所を襲撃する感じですね。これは「直感」なんですけど、僕は予感とか直感を感じると大抵外れる事がありません。自分の身に危険が迫る時だけこの能力が発動するので、先ず間違いないです」
また新たに母様の能力を知ってしまいましたけれど、そんな予知とも言える様な能力まで備えているのですか……。つまり、母様を本当の意味で暗殺するなら、何も出来ない程に疲弊している時など、相当に限られた状態でなければならないでしょう。前もって何が起きるか解る訳ですので、疲弊していようとも無防備のままを晒すような事はしないでしょうけれど。本当に母様は規格外です。
「成程。私とミズキは護衛という訳ね」
「それもありますけど、何よりミズキとはもう離れたくないです! 僕の大事な一人娘なんですから」
私をぎゅーっと抱きしめていた母様の手に少し力が入ります。苦しくは無く、とても心地の良い抱擁を感じます。
「気持ちは解るけれど、時と場合によってはミズキは大きな戦力になるわよ。プリシラも同じような事を言うのではないかしら?」
「うん、クリスティアちゃんと話していると、まるでプリシラから叱られてるみたいな感じがしますねー。まぁ、プリシラにとってもミズキは娘とも妹とも言えるような子ですから、無理はさせないと思います」
二人の母様或いは姉様にここまで愛される私はなんて幸せ者なのでしょう。この世界に降り立った当時感じた孤独という不安な気持ちが、今となっては嘘のようです。
「母様~」
「何ですか、ミズキ」
「私は母様と一緒です~」
「うん、僕もずっと一緒に居ますよ!」
母様が私を「いい子いい子」と言いながらなでて下さいます。お風呂となでなでの二乗効果で、私はこのまま昇天してしまいそうですよ?
「まったく、この親子の間に分け入る余地は無いわね……」
「ふふ、大変微笑ましい母子の姿を拝見出来ました。私もいずれ、素敵な殿方と寄り添う機会が訪れたら、ミズキ様のような可愛らしい子を授かりたいですわ」
「シーラさんなら、沢山のイケメン貴族から引く手あまたなんじゃないですか?」
母様の言った言葉は恐らく、とてもかっこいい貴族の方々という意味だと思います。まだまだ母様語録は解らない点が多いですけれど、ある程度は察せる言葉もあります。
「ええ、家の方から絶えず縁談のお話が来てはいるのですけど。私は三女という立場を利用して、結婚相手は自分で見つけたいのです」
「やっぱり好きな人と一緒になりたいですよねー」
「貴女達、話が逸れ過ぎてるわよ……」
一人だけ冷静なクリスティアさんですけれど、この和み空間では残念ながら正気な人は皆無なのです。母様の様に、今度は私が隣のクリスティアさんを抱きしめます。
「な、ちょっとミズキ何よ!?」
「えへへー」
「えへへじゃないわよ! 何なのよ急に……あ、変な所に触らないで!」
「ミズキ様とクリスティアさんも仲がいいですわ」
「ちょっとシーラ、見てないで助けなさいよ!! ……ひゃん!?」
そんな訳で。クリスティアさんへ友情の証と称したセクハラを堪能した私は、母様達と今後について打ち合わせを済ませ、その夜は貴賓室では無く四人全員で一緒の部屋で寝られる客室を使用させて頂きました。
因みに当然の事ながら、お風呂の後クリスティアさんからとっても怒られました……。ですが、そういう事は二人の時だけにして頂戴、と言われましたので嫌では無かったようです?
-------
次のメル。
玉座の間にはシーラさんを南の山まで送り届けた母様と、私とクリスティアさん。そして傍付きの土姫ミルリアさんと御魂の九尾さんが居ます。他の皆様は東側の国境の守備と、エウラスへの援軍に向かいました。どうやら東側の国境にもベルドア兵が送られて来ていると、母様が放った密偵によって解りました。
国境への進軍は母様の暗殺をより確実のもとする為なのかもしれません。水晶は一つの国を操ると言う想定を超える力を持って行動を再開しましたけれど、逆に言えばそれ程の事をしないと母様を殺せないという事です。水晶はある程度、母様の能力を把握しているのかもしれませんね。
「東側の国境は大丈夫でしょうか」
「東側に向かって貰ったのはツバキさんとレイシアですから大丈夫です。二人は伊達に氷姫と光姫を名乗っていませんよ。それに、本体の九尾ちゃんもいますから、東側を乗り越えてこの城へ来る事は不可能に近いです」
私の問いに母様がそう言いますと、「まぁ水晶はチート能力の塊のような物でしょうから、警戒は怠りませんけどね」と少し真面目な顔で付け足しました。母様達は遥か昔から古代魔法具の危険性を十分に理解していますものね。それでも、想定の斜め上の事象を引き起こすのが古代魔法具なのです。
「どれだけ警戒していても、水晶は隙間を縫ってここに来るわ。まぁ、九尾とプリシラの存在が大きいから、水晶の奴も迂闊に手を出せずにいるようだけど」
「プリシラは国家指定級三人揃って南側に行きましたから、今この城は手薄と言えば手薄です。けど万が一の事があっても、プリシラなら血術空間で直ぐ帰ってこれるので安心です!」
その分すぐさま血を補充しなければなりませんけれど、その辺りは何の問題にもなりませんね。私が言うのは何ですけど、クリスティアさんはもとより、御魂の九尾さんの血はとても美味しそうですから。残念な事に、母様やミルリアさんなどと言った眷属化している方の血を吸っても、古代血術を展開する為の力には変換出来ません。
その分、眷属化している者同士で吸いあっても何の問題もありませんし、ここに居る皆さんは最高級の血ですから、凄く美味しい事に変わりはありませんけれどもね。母様の血を吸ったら、恐らく正気を保てない程夢中で吸ってしまうかも……。
「ミズキ、僕そんなに見つめられると照れちゃいます……」
玉座に座っている母様が両手を頬に当て、モジモジしています。いつの間にか私、母様をジっと見つめていた様です……。最近血の補充があまり必要なくなっていたせいでしょうか、血の事を考え出した途端に吸血衝動が出てしまったようです。
「あ、あの御免なさい」
「もしかして、ミズキは僕の血が吸いたいんですか?」
「ふぇ!?」
「別にいいですよ。今は駄目ですけど、後で好きなだけ吸わせちゃいます!」
母様がにこーっと笑います。血を頂けるのでしたら勿論吸いたいです。世界中探しても、母様の上を行く血なんて無いでしょう。力に変換出来ずとも、とても遠慮なんて出来ません!
「あの、はい。楽しみにしています」
「ふふー、僕の血は絶対美味しいですからね。じゃあ、こっちの準備はあらかた済みましたし、先ずは水晶のお手並み拝見といきましょうかね」
母様が不敵な笑みをこぼしています。まるでこちら側が悪役みたいな台詞ですけれど、実際そうせざるを得ないのが現状ですし。ここで迎え撃つのが今は最善でしょう。私も改めて気を引き締め直しました。
ただ、母様曰く一晩休まないと三人を転移させるだけの魔力が無いとの事でしたので、母様を入れた私とクリスティアさん、それとシーラさんの四人で九尾さんのお屋敷に一泊させて頂く事にしました。このお屋敷は闘技会中も宿泊しておりましたので、比較的勝手が解り過ごしやすいのです。
初めて泊まるシーラさんは流石に緊張しているようでしたけれど、九尾さんの細かい事は気にしない性格も相まって、夕食時には既にリラックスしていました。
そして私は今、夕食後大好きなお風呂に皆と一緒に浸かっている所なのでした。女神像が浴槽の中央にあり、石柱に囲まれた神殿のような作りになっているお風呂なのです。
「は~生き返ります~」
間もなく戦争になるかと言う緊迫した状況の中ですけれども、お風呂は身嗜みを整える為には必要な事ですので、決して失礼には当たらないのです。例えお湯の気持ち良さでゆるい表情をしていたとしても失礼には当たらないのです。ええ、当たりません。
「ミズキは本当にお風呂が好きなんですねー」
長い銀色の髪をポニーテールにしている母様が、隣で湯に浸かりつつお風呂を堪能する私に関心を寄せています。大抵の方から母様と同じような関心を持たれますけれど、もう特に恥ずかしい気持ちはありません。自分に素直でいる事が大事なのです。
「大好き~」
「ミズキ様はお風呂に入るとまるで別人のようですわ」
「そうなのよ。お風呂に狂う古代魔法具でも仕込まれているのでは無いかしら」
「ふふ~」
「まさにゆるキャラですねー」
恐らく緩い感じの小動物という意味合いなのだと思いますけれど、否定はしません。お風呂は私を開放的にしてくれる素敵な空間ですので、どうしても緩くなってしまうんですもの。そんな私をぎゅーっと肩から抱き寄せつつ、「さて明日からの、いえ次のメルからの事ですがー」と母様が話題を切り出します。
「朝になったら直ぐにお城へ戻ります。その後、シーラさんを南の山まで送りますから、南へ移動中の騎士団と合流後、帯同する形でお願いしますね」
「解りましたわ、聖王女様」
「そしてミズキとクリスティアちゃんですけど。二人は僕と一緒にお城で待機です」
「王女とミズキは当然としても、私も残っていていいのかしら? 今の私なら例え水晶五姫が相手でも戦えるわよ」
水晶五姫は五属性の攻撃が全て効かないという性質がありますけれど、クリスティアさんが操る古代魔法具は、属性とは一切関係の無い特殊な性質を持っています。ですので、水晶五姫への数少ない対抗戦力になると思うのですけれど。
それと、私も出来るならエウラスへ行って皆さんを補助したいです。私は水の精霊さんからとても便利な魔法を頂いていますので、有効に活用するならば今を持って他に無いと思いますし。
「水晶は僕の所に来る気がします。エウラスにウェイル君や五姫達を向かわせ、手薄になった所を襲撃する感じですね。これは「直感」なんですけど、僕は予感とか直感を感じると大抵外れる事がありません。自分の身に危険が迫る時だけこの能力が発動するので、先ず間違いないです」
また新たに母様の能力を知ってしまいましたけれど、そんな予知とも言える様な能力まで備えているのですか……。つまり、母様を本当の意味で暗殺するなら、何も出来ない程に疲弊している時など、相当に限られた状態でなければならないでしょう。前もって何が起きるか解る訳ですので、疲弊していようとも無防備のままを晒すような事はしないでしょうけれど。本当に母様は規格外です。
「成程。私とミズキは護衛という訳ね」
「それもありますけど、何よりミズキとはもう離れたくないです! 僕の大事な一人娘なんですから」
私をぎゅーっと抱きしめていた母様の手に少し力が入ります。苦しくは無く、とても心地の良い抱擁を感じます。
「気持ちは解るけれど、時と場合によってはミズキは大きな戦力になるわよ。プリシラも同じような事を言うのではないかしら?」
「うん、クリスティアちゃんと話していると、まるでプリシラから叱られてるみたいな感じがしますねー。まぁ、プリシラにとってもミズキは娘とも妹とも言えるような子ですから、無理はさせないと思います」
二人の母様或いは姉様にここまで愛される私はなんて幸せ者なのでしょう。この世界に降り立った当時感じた孤独という不安な気持ちが、今となっては嘘のようです。
「母様~」
「何ですか、ミズキ」
「私は母様と一緒です~」
「うん、僕もずっと一緒に居ますよ!」
母様が私を「いい子いい子」と言いながらなでて下さいます。お風呂となでなでの二乗効果で、私はこのまま昇天してしまいそうですよ?
「まったく、この親子の間に分け入る余地は無いわね……」
「ふふ、大変微笑ましい母子の姿を拝見出来ました。私もいずれ、素敵な殿方と寄り添う機会が訪れたら、ミズキ様のような可愛らしい子を授かりたいですわ」
「シーラさんなら、沢山のイケメン貴族から引く手あまたなんじゃないですか?」
母様の言った言葉は恐らく、とてもかっこいい貴族の方々という意味だと思います。まだまだ母様語録は解らない点が多いですけれど、ある程度は察せる言葉もあります。
「ええ、家の方から絶えず縁談のお話が来てはいるのですけど。私は三女という立場を利用して、結婚相手は自分で見つけたいのです」
「やっぱり好きな人と一緒になりたいですよねー」
「貴女達、話が逸れ過ぎてるわよ……」
一人だけ冷静なクリスティアさんですけれど、この和み空間では残念ながら正気な人は皆無なのです。母様の様に、今度は私が隣のクリスティアさんを抱きしめます。
「な、ちょっとミズキ何よ!?」
「えへへー」
「えへへじゃないわよ! 何なのよ急に……あ、変な所に触らないで!」
「ミズキ様とクリスティアさんも仲がいいですわ」
「ちょっとシーラ、見てないで助けなさいよ!! ……ひゃん!?」
そんな訳で。クリスティアさんへ友情の証と称したセクハラを堪能した私は、母様達と今後について打ち合わせを済ませ、その夜は貴賓室では無く四人全員で一緒の部屋で寝られる客室を使用させて頂きました。
因みに当然の事ながら、お風呂の後クリスティアさんからとっても怒られました……。ですが、そういう事は二人の時だけにして頂戴、と言われましたので嫌では無かったようです?
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次のメル。
玉座の間にはシーラさんを南の山まで送り届けた母様と、私とクリスティアさん。そして傍付きの土姫ミルリアさんと御魂の九尾さんが居ます。他の皆様は東側の国境の守備と、エウラスへの援軍に向かいました。どうやら東側の国境にもベルドア兵が送られて来ていると、母様が放った密偵によって解りました。
国境への進軍は母様の暗殺をより確実のもとする為なのかもしれません。水晶は一つの国を操ると言う想定を超える力を持って行動を再開しましたけれど、逆に言えばそれ程の事をしないと母様を殺せないという事です。水晶はある程度、母様の能力を把握しているのかもしれませんね。
「東側の国境は大丈夫でしょうか」
「東側に向かって貰ったのはツバキさんとレイシアですから大丈夫です。二人は伊達に氷姫と光姫を名乗っていませんよ。それに、本体の九尾ちゃんもいますから、東側を乗り越えてこの城へ来る事は不可能に近いです」
私の問いに母様がそう言いますと、「まぁ水晶はチート能力の塊のような物でしょうから、警戒は怠りませんけどね」と少し真面目な顔で付け足しました。母様達は遥か昔から古代魔法具の危険性を十分に理解していますものね。それでも、想定の斜め上の事象を引き起こすのが古代魔法具なのです。
「どれだけ警戒していても、水晶は隙間を縫ってここに来るわ。まぁ、九尾とプリシラの存在が大きいから、水晶の奴も迂闊に手を出せずにいるようだけど」
「プリシラは国家指定級三人揃って南側に行きましたから、今この城は手薄と言えば手薄です。けど万が一の事があっても、プリシラなら血術空間で直ぐ帰ってこれるので安心です!」
その分すぐさま血を補充しなければなりませんけれど、その辺りは何の問題にもなりませんね。私が言うのは何ですけど、クリスティアさんはもとより、御魂の九尾さんの血はとても美味しそうですから。残念な事に、母様やミルリアさんなどと言った眷属化している方の血を吸っても、古代血術を展開する為の力には変換出来ません。
その分、眷属化している者同士で吸いあっても何の問題もありませんし、ここに居る皆さんは最高級の血ですから、凄く美味しい事に変わりはありませんけれどもね。母様の血を吸ったら、恐らく正気を保てない程夢中で吸ってしまうかも……。
「ミズキ、僕そんなに見つめられると照れちゃいます……」
玉座に座っている母様が両手を頬に当て、モジモジしています。いつの間にか私、母様をジっと見つめていた様です……。最近血の補充があまり必要なくなっていたせいでしょうか、血の事を考え出した途端に吸血衝動が出てしまったようです。
「あ、あの御免なさい」
「もしかして、ミズキは僕の血が吸いたいんですか?」
「ふぇ!?」
「別にいいですよ。今は駄目ですけど、後で好きなだけ吸わせちゃいます!」
母様がにこーっと笑います。血を頂けるのでしたら勿論吸いたいです。世界中探しても、母様の上を行く血なんて無いでしょう。力に変換出来ずとも、とても遠慮なんて出来ません!
「あの、はい。楽しみにしています」
「ふふー、僕の血は絶対美味しいですからね。じゃあ、こっちの準備はあらかた済みましたし、先ずは水晶のお手並み拝見といきましょうかね」
母様が不敵な笑みをこぼしています。まるでこちら側が悪役みたいな台詞ですけれど、実際そうせざるを得ないのが現状ですし。ここで迎え撃つのが今は最善でしょう。私も改めて気を引き締め直しました。
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