Last Luagh - ラストラフ

久我公

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プロローグ

プロローグ②-夕暮れのワンルーム

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「それじゃ優ちゃん、十八時までゆっくりしててね」

「ありがとう、お祖母ちゃん」

(はぁ...疲れた)

納骨後、親戚に挨拶などをしていたら帰りが夕方になり、

どっと疲れが出てきた僕は六畳半の小さな部屋にあるベッドに腰を下ろした。

母親が亡くなってからずっと、心が空白になった感じだ。

大好きだった曲も今は何も心に響かない。

今はただ、静寂の中に響いている雨音に耳を澄ませた。


 ――――――――――
 

「優、ごめんね。お母さんこんなになっちゃって」

「母さんは何も悪くないよ。僕も母さんの力になってあげられなくてごめん」

「そんなことない。部活も入りたかったはずなのに毎日お母さんの手伝いをしてくれて、

お母さんとっても助かってたよ」

少しの間、病室に沈黙の時間が流れた。

「お母さんからの最後のお願い聴いてくれる?」

「...」

「優は優しいから誰かのためにいつも手を貸して、お母さん優のこととっても尊敬してる。

だけどお母さん、優にはもっと自分のために生きて欲しいな。そして幸せになって欲しい」

「...」

「優、生まれてきてくれてありがとうね」

僕は母のその願いを聴き、今まで母と過ごした日々を思い出しこみ上げてくる涙を、

無邪気な子供の様に泣き叫びたい気持ちを抑え、可愛げのない顔で笑って答えた。

「お母さん、僕の方こそ生んでくれてありがとう。大好きだよ」

僕がそう言うと、母は一粒の涙を流しながら笑顔で息を引き取った。


 ―――――――――― 

 
目を覚ますと、いまさら一粒の涙が零れ落ちていた。

ふと、雨音が聞こえないことに気が付き、

零れた涙を拭いてからカーテンを開けると、悲劇の雨は雪へと変わっていた。

「優ちゃん、ご飯よー!」

お祖母ちゃんの呼ぶ声が聞こえ、僕は部屋を出た。
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