【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第1章 異世界に◯◯しました。

第4話

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 じわじわと、ここが地球とは違う世界なのだと実感しつつ、服装や装備が異世界仕様になっているなら、と自分の顔やら髪、お腹、それからデミグラブを外してもう片方の手で撫でてみる。

 身体も異世界用に変化しているのではと思ったがそうでもなさそうだ。鏡代わりにサバイバルナイフを引き抜いて顔と髪を確認してみるが、やや癖っ毛のある黒髪ロングで瞳は黒、目の下にクマがある女の顔がそこに写されているだけで、特に変わりはなかった。

 ナイフに顔を映したまま、首を傾げる。

(性別、どうしよう……)

 身長が低く十五という歳であれば、なめられる可能性が高い。大抵のラノベの設定から考えてみれば、世界観は中世ヨーロッパが多いから、その世界の人々からすれば日本人の顔は童顔で、さらに今の年齢よりも幼く見えてしまうかもしれない。

 元より危機感の薄い隼人であったが、異世界転移効果で徐々に危機感を持ち始め、かなり慎重になっていた。日本は安全性の高い国であった故に危機感を抱けなかったが、この世界に存在する国の安全性が高いと断定できる状況ではなく、判断材料が少ないからなのだろう。

 利き手である右手にサバイバルナイフを持ち、もう片方の手で髪を後ろで束ねる。ナイフをもった手を後頭部に移動させて、左手と後頭部の束ねられた黒髪を下から上に向かってスパッと切った。切った髪は土に返した。長い髪さえ切ってしまえば、少年にも見えなくはない。

(こんなところにいても仕方ないし、そろそろ動くか)

 その場に腰を下ろし片膝をついて、足元にあった小石から尖ったものを選別して手に取り、立ち上がる。そして、近くにある木に△の印をつけた。何かあった時ここに戻れるように印をつけながら歩くことにした。

 熊が相手の場合、自分の場所を知らせることで襲われずに済むって聞いたことがある。魔物相手にそれが通用するかはわからないが、何もしないよりは幾分かマシのように思える。なので、「うわーーー」と声を上げながら進むことにした。

「「「大丈夫か⁉︎」」」

「こっちだ! こっちから声が聞こえたぞ!」

「何があった⁉︎」

 バタバタという慌ただしい複数の足音と、低い男達の焦る声が鼓膜に届く。

(えっ、人? こんな所に人が⁉︎)

 ヒュッとほんの一瞬呼吸が止まり、思わず目を丸くする。そして、直後全身がゾワッと強張った。

(まさか盗賊⁉︎)

 複数いる。今逃げても直ぐに追いつかれるのは明らかだ。まだ見ぬ敵かもしれない相手にサバイバルナイフのポイント先端が手首に向かうように構え、閉じられた足は支持基定面を広めに確保した。敵ではないことを祈る。

 ドッドッドッドと心拍数が上昇し、心臓が肋骨を叩き出す。酸素を多く求めて呼吸を早くした。全身の毛穴からぶわりと一瞬にして汗が吹き出ているのがわかる。身体が小刻みに震えはじめる。震えを最小限にし、誤魔化し、恐怖を押し殺そうと奥歯にギリリと力を込めた。さらに、足底をグッと強く地面に押しつけて踏ん張ればズズッと地面が沈む。

 こんなことになるなら、叫ぶんじゃなかった、と今更ながらに後悔する。正に、後悔先に立たずだ。

 ガサガサと雑草をかき分ける音が大きくなる。それは、徐々にそして確実にこちらへ向かってきていることを示していた。ナイフをうっかり離すまいと構え直して強く握ればチャキッと金属音を響かせた。 

 そして複数の男達は姿を現した。

「ここにいたぞ!」

「大丈夫か⁉︎ 坊主」

「怪我はない?」

 プレートアーマーを着たガタイの良い三人の男達だった。




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