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第2章 奴隷を買いました。
第15話
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「俺はもう行く。色々手伝ってくれて有難う。助かった」
私は閉じた本を抱えて、席を立った。
すると、シルは絶望のどん底にでも突き落とされたかのような表情をした。いまだに流れ続ける大粒の涙を、親指と人差し指でピンと張った袖で塞き止めるように拭った。袖から伝わる涙が温かい。袖の染みが広がりを見せなくなったことを確認し、シルの顔に押し付けていた腕を引いた。
「これ、借りたいんだが頼めるか?」
血の契約についての本をシルの前に差し出す。
「はい……」
瞳が潤み、また涙が溢れ落ちそうなのを必死に堪えるシルを見て、何故だか私もつられて泣きそうになった。
その理由は、今の私にはわからなかった。
***
「こちらにサインと本の題名、作者を記載して下さい。期限は今日から一週間です……」
貸し出し用紙がカウンターに置かれ、羽ペンを渡される。その時、コツンと互いの指が触れた。
「ヒャッ!」とシルがペンを勢いよく離し、万歳に近い体勢をとる。
(ベタだなオイ、乙女かよ⁉︎)
シルの顔は赤かった。羽毛まみれでもわかるくらいに赤かった。プルプル震えていて可愛い。加虐心が煽られる。背中から肩にかけてゾクゾクッとした。
私は無表情を保ちつつ、貸し出し用紙にペンを走らせながら聞く。
「シル、もしや男色家で?」
「ちちち違いますよ⁉︎ れっきとした異性愛者です!」
「俺は気にしないぞ、両方イケるからな。まぁ、その場合、ベッドでは女の子になってもらうがな」と、ペンを置いて私はとてもいい笑顔で下ネタを言いながらシルの手を取り、するりと指を絡ませた。
「ファッ⁉︎」
ボンッと更にシルの顔に赤みが増した。林檎のようだ。
(苛めるのは、ここまでにしておくか)
私はシルに絡ませた指を離し、貸し出し用紙を渡す。
「シル、次ここに仕事に来るのはいつだ?」
「月の日と木の日が仕事なので明々後日ですね」
(月の日と木の日? ここでは曜日をそう呼ぶのか)
「ではその時までに、心の整理をつけて男でもイケそうか、また俺に教えてくれ」
「ファッ⁉︎ こここ子供相手にそんなこと言えるわけないじゃないですか⁉︎」
「こんななりだが、精通はしてるから安心しろ」
(嘘だけど)
プルプルと顔を真っ赤にし、口をはくはくとさせて固まるシルに背を向け、「また来るよ」と背後にいるであろうシルに対して右手を振り上げた。
シルの心を散々弄び満足した私は、清々しい気持ちで王立図書館を後にしたのだった。
感想として、
梟の手は硬かった。
弄んでしまった詫びをするため、後日、菓子折りでも持って行こうと思う隼人であった。
(取り敢えず、涙は引っ込んだのでよしとする)
私は閉じた本を抱えて、席を立った。
すると、シルは絶望のどん底にでも突き落とされたかのような表情をした。いまだに流れ続ける大粒の涙を、親指と人差し指でピンと張った袖で塞き止めるように拭った。袖から伝わる涙が温かい。袖の染みが広がりを見せなくなったことを確認し、シルの顔に押し付けていた腕を引いた。
「これ、借りたいんだが頼めるか?」
血の契約についての本をシルの前に差し出す。
「はい……」
瞳が潤み、また涙が溢れ落ちそうなのを必死に堪えるシルを見て、何故だか私もつられて泣きそうになった。
その理由は、今の私にはわからなかった。
***
「こちらにサインと本の題名、作者を記載して下さい。期限は今日から一週間です……」
貸し出し用紙がカウンターに置かれ、羽ペンを渡される。その時、コツンと互いの指が触れた。
「ヒャッ!」とシルがペンを勢いよく離し、万歳に近い体勢をとる。
(ベタだなオイ、乙女かよ⁉︎)
シルの顔は赤かった。羽毛まみれでもわかるくらいに赤かった。プルプル震えていて可愛い。加虐心が煽られる。背中から肩にかけてゾクゾクッとした。
私は無表情を保ちつつ、貸し出し用紙にペンを走らせながら聞く。
「シル、もしや男色家で?」
「ちちち違いますよ⁉︎ れっきとした異性愛者です!」
「俺は気にしないぞ、両方イケるからな。まぁ、その場合、ベッドでは女の子になってもらうがな」と、ペンを置いて私はとてもいい笑顔で下ネタを言いながらシルの手を取り、するりと指を絡ませた。
「ファッ⁉︎」
ボンッと更にシルの顔に赤みが増した。林檎のようだ。
(苛めるのは、ここまでにしておくか)
私はシルに絡ませた指を離し、貸し出し用紙を渡す。
「シル、次ここに仕事に来るのはいつだ?」
「月の日と木の日が仕事なので明々後日ですね」
(月の日と木の日? ここでは曜日をそう呼ぶのか)
「ではその時までに、心の整理をつけて男でもイケそうか、また俺に教えてくれ」
「ファッ⁉︎ こここ子供相手にそんなこと言えるわけないじゃないですか⁉︎」
「こんななりだが、精通はしてるから安心しろ」
(嘘だけど)
プルプルと顔を真っ赤にし、口をはくはくとさせて固まるシルに背を向け、「また来るよ」と背後にいるであろうシルに対して右手を振り上げた。
シルの心を散々弄び満足した私は、清々しい気持ちで王立図書館を後にしたのだった。
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弄んでしまった詫びをするため、後日、菓子折りでも持って行こうと思う隼人であった。
(取り敢えず、涙は引っ込んだのでよしとする)
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