【ライト版】元死にたがりは、異世界で奴隷達と自由気ままに生きていきます。

産屋敷 九十九

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第3章 奴隷と暮らすまで

第3話

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 宿に入る直前、受付を通り過ぎて部屋へ入るまでは『主人』扱いせず、『あんた』もしくは『おまえ』と呼ぶように頼んだ。まだお互いに名前なんて知らないし、人前で『ご主人様』なんて言われたら一発でバレるからな。だが、受付で特に何も言われず、ほっとする。

 とっていた一番高い部屋には、カントリー調の家具、盛り上がった見るからに座り心地良さそうなソファのある広々とした主人用の部屋、そして、ベッドが無く、ひとり分の丸椅子とテーブルのみが置かれた奴隷用の小部屋がある。

 どんな高級な宿であっても、奴隷に対する扱いは、酷いらしい。

 ここの受付には、事前に私以外に後から五人仲間が来ると伝えてある。奴隷のことを聞かれたら、いいのが見つからなかったとでも言えばいい。まさか奴隷が上質な服を着ているとは、誰も思いはしないだろう。それに、奴隷を入れてもいいのか聞いたのは、禁止するような法があったら、といった不安があったからだ。

(暗っ……)

 夜になり室内はすっかり暗くなっていた。電気はどこだろうと探していると、パチッという音と同時に視野が明るくなる。音の方向を辿れば、どうやら龍人がつけてくれたようだ。

「有難う。ここがおまえらの部屋だ。先にメシにするか? それとも風呂か?」

 ぐぅっと誰かのお腹が鳴った。私だ……。

「俺は……先にメシにする」と私は昼間に屋台で買ったものが置かれたテーブルの席に座る。

「では我も」

「じゃあ、僕もごはんにしよー」

 と、龍人と狐人が私の両サイドに座る。それを突っ立って見ていた三人が恐る恐るといった様子で座った。

「これは……全て魔物肉、ですか?」

 狼人が串を一本手に取って、不思議そうな顔をして聞いてくる。

「そうだ。全て屋台で買ってきた。あぁ、それと、俺は他種族についての知識があまりない。種族や風習的に食えない物があったら言ってくれ」

 聞けば皆、食べられない物はなかったようだ。

「そうだ、これ温めてもらおうか。これじゃあ足りないよな? ルームサービスも……」と、ソファ前のローテーブルに置かれたメニュー表を手に取る。

 そして一度部屋の外に出てドアの横に設置された手のひらサイズの鳥籠を開け、人工妖精を外に出した。この人工妖精は、客の要望を下の階にいる従業員に伝えるためのものだ。

 メニュー表には、イメージ写真やイラストは載っておらず、どれも見慣れない名前の料理だったので、取り敢えずオススメ六人前と、屋台で買った物を温めてほしいと伝えれば、人工妖精がこくりと無言で頷いて、階段の方へと飛んでいった。

 それからすぐに従業員のひとりがやって来たので、屋台で買った食べ物を渡した。

 暫くして、ノックの音と共に、大きなテーブルを埋め尽くすほどの大量の料理が運び込まれた。どの料理がどうなのか説明してくる従業員には悪いが、わからないので正直どうでもいい。美味うまくて腹いっぱいになるなら何でもいい。だが、料理の全体的イメージとしてはフレンチって感じだ。それと、屋台の串肉。

 何とか平げた私たちは、はぁと息を吐いて腹をさすっていた。味は美味かったし、腹もいっぱいになった。

 だが、

新手あらての拷問?」

「断じて違う」

 前半は皆んな美味しいと言ったりそういった表情かおでガツガツ食べていたが、後半になると段々顔色を悪くしながら食べているようだった。

 つまり、量が多すぎたのだ。

 ここの従業員が何を思ったのか、六人前と頼んだはずなのに、その倍の量なんじゃ? というくらいの料理を運んできていた。いや、ここの六人前が普通なのかもしれないが。

「六人前って、言ったんだけどな……」
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