Face to Face

なごみ

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「ミーナ様、こんなところで寝られては風邪をひいてしまいます。」


暖かな午後の陽射しにうとうとと微睡む。
声は聞こえているけれど、どこか遠い。
夢と現の境目にいるからだろうか。


「ミーナ様…」


答えないでいると、ふわりと身体が浮き上がる。
そのまま運ばれながら眠気にのまれ意識が遠のいていくのを感じた。





「ただいま。」


小さく呟いて玄関に入る。
あたしのこの言葉に返事を返してくれる人はいない。
あたしにとってそれは当たり前で、寂しいと思うことはなかった。

共働きの両親はバリバリと仕事をこなすエリートで、仕事のために生活していると言っても過言ではない。
そのため、母はあたしを産んで早々に、ベビーシッターを雇ったりお手伝いさんを雇ったりして仕事に復帰した。
父も母も大企業勤めであるからお金はある。
人を雇うのに苦労はしないのだ。

あたしは両親と過ごした時間が極端に少ない。
ふたりは愛し合って結婚したし、あたしのことを愛していないわけではない。
誕生日には仕事を早めに切り上げて帰ってきてくれるし、普通の日でも夕方には最低一回電話をしてくれる。
ただ、ふたりにとって家族といるよりも仕事が優先されるだけ。
あたしが食べるのは母の手料理ではなくお手伝いさんが作ったもの。
あたしが父に抱き上げられたのは数えるほどしかない。
それでも、あたしはふたりが大好きだったからふたりの負担にならないようにがんばった。
ほかの子より早く家で留守番ができるようになったし、最近では自分で料理もしている。
週に1回の頻度できてもらっているお手伝いさんもそろそろいらないなと思いながらひとりお昼の支度を始めようとキッチンに向かう。


「あ…先に着替えなきゃ…」


自分がまだ学校の制服のままだったことに気がついて、自分の部屋へと方向転換した。
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