王都から追放されて、貴族学院の落ちこぼれ美少女たちを教育することになりました。

スタジオ.T

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46時限目 反撃開始(2)

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 真名マナを唱えようと、その術者が異界物質を使いこなせるとは限らない。異界物質には術者の血筋、性格、体力、様々な要素が影響している。

 異界レベルとはその波長の深度を表す指標でもある。レベルが上がれば上がるほど、発動難易度も上がり身体に対する負荷も多い。レベルEの魔導弾マドアよりも、レベルCの魔光弾マドアスの方がより体力を消耗しょうもうする。

 よりレベルが上がれば言わずもがな。

 ダンテが召喚した異界物質『魔天童子切クライ・ドウジ』は普通の人間が操ることができるものとしては最高クラス。この魔力を喰らう刀を使用できる術者は、早々存在しない。

 ゆえにその威力も常軌をいっしていた。ダンテの一振りによって巻き起された斬撃を伴う突風は、倉庫内の敵を一掃いっそうした。壁は大きくえぐれ、その衝撃の凄まじさがうかがえた。

「……参ったな。今ので全員仕留める予定だったのに」

 にも関わらず刀の柄を握りしめながら、ダンテは思わしくない反応を見せた。特に集中的に狙ったはずのパブロフが、斬撃のうずをくぐり抜けていたからだ。

 失神した男を自分の前に盾として持っていたパブロフは、その死体を積まれた木箱へと投げ捨てた。ぼろぼろになった死体に視線を送ることもなく、パブロフはダンテを見据えていた。

「見えない斬撃を飛ばす刀か。恐ろしい威力だ」

肉壁にくへきか。ひでぇもんだ」

 そう言う間にも、ダンテは再び刀身に力で覆っていた。生き残っている人間はパブロフとその周りにいたエスコバルのメンバー。さらには入り口付近にいた襲撃者組もまだいる。

 思っていた以上に仕留められていない。そろいもそろって生半可な敵ではなかった。

 あいつらをシオンたちの方向へ行かせたらまずい。その思考が、ダンテの思考を力ませた。さらに強い攻撃。一掃する分の魔力を充填じゅうてんする間に、パブロフが先に真名を発していた。

「応えよ、応えよ、け目よりでるもの」

 ダンテの追撃よりも、パブロフの詠唱の方が早かった。魔天童子切より放たれた見えない斬撃は、パブロフの手前で真っ二つに割れ、倉庫の二階部分の欄干らんかんを破壊した。

「……仕留め損ねた」

 ダンテの斬撃をさえぎったのは、砂の塊だった。生き物のようにうごめく異界物質は、パブロフの一声で大きく広がり、口を大きく開けた怪物の姿になった。

「呑み込め、覇黄土はおうど

「ちっ……!」

 ダンテが飛ばした斬撃は、ガキンという鉄と鉄がぶつかり合う音によって遮られた。滑らかに動く見た目とは裏腹に、その外皮は恐ろしく硬かった。

「砂鉄か!」

 襲い掛かってきた砂の怪物から距離を取り、ダンテは後ろに下がってかわした。周囲の死体を飲み込んだ異界物質は、さらに大きく膨らんでいく。

 ダンテがパブロフと攻防を繰り広げているうちに、さらに増援が駆けつけた。入り口近くにいたメンバーにパブロフが命令を発した。

「ガキを二人追いかけろ! ソード・アカデミアの方向だ!」

「行かせるか!」

 童子切の斬撃の前に、再び砂の怪物が立ちはだかる。俊敏な動きで、ダンテの攻撃を飲み込むと、満足そうにゲップをした。ザラザラとしたその側面をパブロフが撫でた。

「良い子だ、覇黄土」

「しゃらくせえ異界物質だ」

「正面から切ってかかる筋肉バカには良く効く魔導だよ。さぁ、こいつの攻撃を切り抜けられるかな」

 パブロフ肥大していく覇黄土を撫でながら、顔を歪めて笑った。

「もっとも、その間にあの二人は死んでいるかもしれないがな」

「……くそったれ」

 悪態をつきながら、ダンテは手のひらにエレナを呼び出して言った。

「二人を頼む。導いてやってくれ」

「キキキ!」

 窓の隙間からエレナが飛び出す。
 ダンテは改めてパブロフに刀を構えた。縦横無尽に暴れまわる砂の怪物は、敵味方問わず飲み込み、膨れ上がっている。光弾すらも通さない身体を有する異界物質に、襲撃者たちは反撃の術を持たなかった。

(間に合ってくれよ、シオン、イムドレッド)

 ダンテは刀を握り、再び目の前の怪物と対峙たいじした。
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