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異世界?
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しおりを挟む「はい、これは女の子2人。こっちは太郎君。」
そう言って私達に2つ、太郎に1つ箱を渡した。
中身は服だった。
「急いで集めてきたよ。」
「さすが妃彩さん、たすかるよ。」
「大きさ合いそう?ちょっと着てみて。」
そう言われて私達はそれぞれ、持って上に上がる。
適当なものを選び出して、身につけた。
「な、なんですかこれは⁉︎」
スカートのウエストが伸縮して、凄く楽だった。
扉の向こうから、小声で聞こえた。
「ゴムだよ。」
時雨だ。
「ご、ごむ?」
「妃彩さん達は、君たちが別の世界から来たって知らないんだ。怪しまれたくないなら、なるべく知ったかぶりして。」
た、たしかに…。
私達が別の世界から来たなんて非現実的な事、さらっと受け入れてくれる訳がない。
時雨も秦さんもあまりにも普通だから、感覚が麻痺してくる。
ーー
私達は着替えて下に行く。
「女の子達は丁度良さそうだね。」
「うん、良かったよ。」
「太郎君は、全体的に少し裾を伸ばした方が良さそうね。」
「わ、私やります!」
そう名乗り出たのは、花子だった。
「花子、裁縫出来るの?」
「はい、私、実家は反物を扱っていますので…。」
「じゃあ、花子は太郎の裾上げやってあげて。道具は貸すから。」
「あ、ありがとうございます!」
そう言った花子は、少しホッとした顔をしていた。
「黙って座ってるのが性に合わなくって…」
「花子、割と仕事人間なんだな。」
仕事人間…たしかに、花子がまともに休みを取った記憶がない。
「若いのに、今いくつなの?」
「18になります。」
「偉いなぁ…。」
妃彩さんは、花子にそう言って微笑んだ。
「て言いつつ、妃彩さんも高校卒業してすぐ、すごい厳しい専門学校通ってたじゃないですか。」
「私は好きだったからねぇ。」
妃彩さんはケタケタと笑う。
「時雨兄ちゃん、ゲームしようよ!」
「はいよ玲坊ちゃん、今行くよ。」
時雨はそう言って立ち上がると、日当たりの良い廊下のソファで呼んでいる玲の所へヒョンと飛んだ。
「身が軽いな。」
太郎はそう呟く。
思わず出てしまったのか、ハッとして口を塞ぐ。
「手合わせしてみる?」
時雨はニヤッと笑う。
「…あの顔で、あの表情はズルいよね。」
妃彩さんが、私達にそう呟く。
もう、必死で頷いた。
「時雨君、あんな細いけど剣道の有段者なのよ。」
ゆ、ゆうだんしゃ?
花子と顔を見合わせるが、やはり分からないらしい。
…が、とても強いという意味は理解できる。
「す、すごいのね。」
「惚れちゃダメよ、あの子はちょっと特別だから。」
「…?」
妃彩はクツクツと笑うと、玲を時雨に預けて帰っていった。
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