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名前のある人
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しおりを挟むしばらく車を走らせていくと、時雨はよく見かける看板の店に車を停めた。
「ここは?」
「コンビニ。乗っててもいいけど。」
「一緒にいく。」
私は時雨に着いて車を降りた。
自動ドアが開くと、ピロピロピロと軽快なチャイムがなる。
「やっしゃっせぇー」
なんて言ったか分からない挨拶は素知らぬ顔をして、時雨はずんずん奥へ進んでいく。
そして、食べ物らしき物が並ぶコーナーで、好きな物選んでと言う。
す、好きな物って…?
時雨は黒い三角形のパッケージを2つほど取った。
私もその辺りを見る。
「あれ、雨宮?」
そう聞こえて振り向くと、そこには黒いスーツで、吊り上がった目の男が立っていた。
髪は七三に分けて止めているが、スーツはどこかよれている。
背丈は私ほどで、時雨とは頭ひとつ違う。
「出合かよ。」
時雨はそう言って、そっけなく棚に目線を戻す。
「ちょ、ちょっと雨宮!」
「なんだよ。」
「隣の子は⁉︎」
出合さんは私を見てちょっと焦ってる。
「居候だよ。」
「で、でも未成年…」
「成人してます。」
そんな事を話してると、また後ろの棚からぬんっと人が現れる。
ボサボサ頭で、無精髭を生やした、小汚いおっさんだ。
…しかし、でかい。
「んぁ、どーした?」
「あ、高間サン、雨宮がいたもんで!」
「雨宮…雨宮って、時雨くんか!」
モサッとしたおっさんがの目が開く。
「お久しぶりです、高間さん。」
「おおお、元気そうだな!良かった良かった!」
時雨はペコリと首を曲げると、高間さんは嬉しそうに笑った。
「隣の嬢ちゃんもこんにちは。」
「こ、こんにちは…」
「高間サン、怯えてますよ!」
「大丈夫、僕はお巡りさんだから。」
お、お巡りさん?
「高間さんは刑事でしょ。」
「まぁね。」
けいじ?
「警察官だよ。」
警察ならある、衛兵部隊を管理する騎士の所轄だ。
と言うことはこの人たちが、この国の衛兵を管理してる騎士なんだ。
「いつもご苦労様です。」
「お、おうありがとう。」
高間さんは戸惑ったように笑った。
「…で、この嬢さん時雨の連れ?」
「最近こっちにきてうちに居候してる、蓮音。」
「蓮音です、よろしくお願いします。」
頭を下げると高間さんは、ほおと声を漏らす。
「礼が100点。」
「え、もう一回!」
隣で小 出合さんがピーピー言っている。
「あ、俺は高間 瑶台、こっちは部下の出合 紀呼。」
「よろしくお願いします。」
高間さんに、出合さんね。
「…俺、突っ込まれなかった人初めてです。」
「俺も初めてみた。」
…キノコだろうな。
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