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【最終話】 昔も今も
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いつまでそうしていただろうか。未だに実感は湧かない。
最初は初めて聞く話だと思っていたのに頭にはスーッと内容が入ってきて理解していた。全部思い出した。確かにこれは、実際にあった出来事。私の記憶。さっきまでの激しい頭痛や息苦しさも消え、嘘のように体調が優れていった。
私、こんなに大事な事を忘れていたんだ…─
「うん、うん…っ、ありがとう…」
思い出せて良かった。いつの間にか快人を抱きしめていた。
「本当に良かった…」
何も言わず、快人も優しく抱きしめ返してくれていた。この温もりが安心するんだ。きっと昔からずっと。今はこの喜びに、感傷に…浸っていたい。
「それにしても…、幼少期の私って…」
「空気読めない奴」
あまりにもストレートに言われ、軽く落ち込む。
「ご、ごめん…」
「…でも」
少し間を置き、手を離す。途端に感じていた温もりがすうっと消える。
「?」
「お前のそういうところに救われたんだよ」
「えっ?」
私が?いつ?そういうところって?色々パニックになり顔が熱くなる。何はともあれ、褒められたって事?
「感謝してるって事だよバーカ」
すると、ドアを開けてあっさり部屋を退出していった。
後から思い返すと私、さっき普通にハグしたり…うわあぁぁ!
一人で悶えているとある結論に辿り着く。私、やっぱり快人が…好き、なんだ。
─────
教室に到着すると、妙な空気感に襲われる。何だろう、と身構えると凛ちゃんが物凄い血相で駆け寄ってきた。
「ちょっと咲ちゃん!大丈夫なの!?」
「凛ちゃん…!」
凛ちゃんを始め、色んな子達がずいずい、と心配する声をかけてくる。私は混乱しながら目を回す。その中には体育の時、私に手伝ってほしいって言ってた女子達もいた。そのリーダーらしき子が前に出て。
「ごめんなさい、私、岬さんが宮原君と仲良いのが許せなくて…自分勝手って分かってるんだけどまさかここまで大事になるなんて…」
と、深々と頭を下げる。私は何だかいたたまれない気持ちになり
「あの、顔を上げてほしい、です。あの時の事は私が紛らわしい行動しちゃったからこちらこそごめんね」
この子達は、純粋に宮原君の事が好きなんだろうな。それにしてもこの状況って私のせい?人だかりが出来たせいかざわざわと集まってくる。どうしよう、人混みになれていないせいか、まだ治ったばかりの余韻が残っているからか、頭がくらくらしてきた。
その時、誰かに腕を掴まれる感覚があった。
「快、人…」
いつからだろう、今は顔を見ただけで安心してしまう。
「逃げるぞ」
ぐい、と腕を引っ張り、あっという間に人気の無い所まで来ていた。
「えっと、ありがとう」
「ったく、朝来たらコレって何なんだよ」
言うなら、今かな?二人きりになるなんて昔からあったしいつもの事なのに、今日はいつも以上にドキドキしている。伝えたいのに、上手く言葉が出ない。大丈夫。深呼吸して、たった2文字言えばいいの。
「かい…」
「何」
横を見たらすぐ触れてしまえる距離に快人はいた。
近い……っ。
ぶっきらぼうなのにちゃんと目を見てくれている。そらしちゃ駄目だ。
「私、快人の事が好きなの…」
「…なんて?」
「へっ?」
まさか伝わらなかった?それともフラレる合図?もろ涙が出そうになった。
「聞こえねーな」
「あ、か、快人が好き!だ、大好きなの!」
「へーえ?大好き、ねぇ」
もうどうにでもなれ!と言ってしまったが失言。
「あ…」
いや間違ってはないんだけど…。
すると、顎を掴まれ、唇を近付けてきた。それは一瞬だったけれどとても甘くて深いように感じた。
「俺も好きだよ。お前が思うより、ずっと昔から」
パァッと目を輝かせ、頷いた。とっても意地悪だけど、その分とっても優しい彼。
これから、昔以上に沢山思い出作ろうね。絶対に忘れたりしないから─
END
最初は初めて聞く話だと思っていたのに頭にはスーッと内容が入ってきて理解していた。全部思い出した。確かにこれは、実際にあった出来事。私の記憶。さっきまでの激しい頭痛や息苦しさも消え、嘘のように体調が優れていった。
私、こんなに大事な事を忘れていたんだ…─
「うん、うん…っ、ありがとう…」
思い出せて良かった。いつの間にか快人を抱きしめていた。
「本当に良かった…」
何も言わず、快人も優しく抱きしめ返してくれていた。この温もりが安心するんだ。きっと昔からずっと。今はこの喜びに、感傷に…浸っていたい。
「それにしても…、幼少期の私って…」
「空気読めない奴」
あまりにもストレートに言われ、軽く落ち込む。
「ご、ごめん…」
「…でも」
少し間を置き、手を離す。途端に感じていた温もりがすうっと消える。
「?」
「お前のそういうところに救われたんだよ」
「えっ?」
私が?いつ?そういうところって?色々パニックになり顔が熱くなる。何はともあれ、褒められたって事?
「感謝してるって事だよバーカ」
すると、ドアを開けてあっさり部屋を退出していった。
後から思い返すと私、さっき普通にハグしたり…うわあぁぁ!
一人で悶えているとある結論に辿り着く。私、やっぱり快人が…好き、なんだ。
─────
教室に到着すると、妙な空気感に襲われる。何だろう、と身構えると凛ちゃんが物凄い血相で駆け寄ってきた。
「ちょっと咲ちゃん!大丈夫なの!?」
「凛ちゃん…!」
凛ちゃんを始め、色んな子達がずいずい、と心配する声をかけてくる。私は混乱しながら目を回す。その中には体育の時、私に手伝ってほしいって言ってた女子達もいた。そのリーダーらしき子が前に出て。
「ごめんなさい、私、岬さんが宮原君と仲良いのが許せなくて…自分勝手って分かってるんだけどまさかここまで大事になるなんて…」
と、深々と頭を下げる。私は何だかいたたまれない気持ちになり
「あの、顔を上げてほしい、です。あの時の事は私が紛らわしい行動しちゃったからこちらこそごめんね」
この子達は、純粋に宮原君の事が好きなんだろうな。それにしてもこの状況って私のせい?人だかりが出来たせいかざわざわと集まってくる。どうしよう、人混みになれていないせいか、まだ治ったばかりの余韻が残っているからか、頭がくらくらしてきた。
その時、誰かに腕を掴まれる感覚があった。
「快、人…」
いつからだろう、今は顔を見ただけで安心してしまう。
「逃げるぞ」
ぐい、と腕を引っ張り、あっという間に人気の無い所まで来ていた。
「えっと、ありがとう」
「ったく、朝来たらコレって何なんだよ」
言うなら、今かな?二人きりになるなんて昔からあったしいつもの事なのに、今日はいつも以上にドキドキしている。伝えたいのに、上手く言葉が出ない。大丈夫。深呼吸して、たった2文字言えばいいの。
「かい…」
「何」
横を見たらすぐ触れてしまえる距離に快人はいた。
近い……っ。
ぶっきらぼうなのにちゃんと目を見てくれている。そらしちゃ駄目だ。
「私、快人の事が好きなの…」
「…なんて?」
「へっ?」
まさか伝わらなかった?それともフラレる合図?もろ涙が出そうになった。
「聞こえねーな」
「あ、か、快人が好き!だ、大好きなの!」
「へーえ?大好き、ねぇ」
もうどうにでもなれ!と言ってしまったが失言。
「あ…」
いや間違ってはないんだけど…。
すると、顎を掴まれ、唇を近付けてきた。それは一瞬だったけれどとても甘くて深いように感じた。
「俺も好きだよ。お前が思うより、ずっと昔から」
パァッと目を輝かせ、頷いた。とっても意地悪だけど、その分とっても優しい彼。
これから、昔以上に沢山思い出作ろうね。絶対に忘れたりしないから─
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