3 / 5
スニーカーを結びながら
玄関の声に優花里を抱いた手が緩む。
『また今度、だね』
優花里は赤い頬を隠すように後ずさった。
「あっ、もしかして着替えるところとか……」
「見てた」
唇を固くして唸る優花里。守るように腕を胸に巻く。
「見たかったら別に……」
声と口が細く、足音にかき消される。
『お、リュウキじゃん』
玄関のドアを少しだけ開けて女の子がチラリと覗く。
柏木真央。優花里の妹。
「早かったな」
「もしかしてお邪魔してた?」
優花里を見ると微かに頷いている気がした。
「そうなんだ!」
「まだ何も言ってない」
「じゃあ、ハイかイイエで答えて」
真央の問いに、答えないという反射的な動き。
「意地悪しないであげて」
優花里が顔の向き一つ変えずに微笑む。
「また教えてよね」
真央が顔を引っ込めて廊下側の足音が進み始めた。
「ねえ、もう帰っちゃうの?」
「妹さんが居るなら帰るよ、それに」
優花里が「それに?」と聞き返す。
「妹さんの風呂覗くかも」
「だ、だめだよ、絶対に、うん」
「いや絶対だめだよ」
ダメではなさそうな返事に俺がすかさずツッコミを入れる。
「覗くなら私のにして!」
両手を服の下に忍ばせて捲りあげようとする優花里。
「冗談だってば」
悪い手を抑えると膨らんでいた肩が降りていく。
汗ばんだ谷間が薄いシャツを溶かして深い底を映していた。
「私も冗談だよ?」
「じゃあ帰るよ」
「うん……」
俺は今度こそ普通に帰った。
自分の家は優花里の家とは対象的だった。
家の中でさえ進むことを阻む障害物がある。
家に入る為の階段もある。
ゴミと趣味の狭間を片付けながら、優花里の事を思った。
昨日作った料理の残りを食べて寝ることにした。
朝は優花里の電話で起こされた。
『これは寝起きだね』
「その通り」
優花里の電話に助けられつつ、準備をして大学に向かう。
その前に優花里の家に向かっている。
「会えるなら電話しなくても良いような」
「それだけはダメ!」
「どうして?」
「危険だから!」
電話してる方が危険だろって返した。
「それは……そうだけど……」
「じゃあ切っても」
「切りたくない、切ってもかける!」
優花里が論理的な話を返さないのは珍しかった。
「そうかー」
『会ったら、切って欲しくない理由話す』
そう言って優花里は電話を切った。
「なんでだよ」
俺は電話越しに突っ込んだ。
もしかしたら優花里は天然なのかもしれない。
優花里の家に入ると優花里が玄関に正座していた。
服はパジャマではなく、膝までのスカートが見えた。
「何かあったのか」
「特にないよ」
手を広げて立とうとする優花里の脇に腕を通す。
抱き上げた時にふわりと甘い匂い。
「そこが気に入ってるんだよね」
「そうか」
「あの時も手だけが助けてくれた」
靴を履こうとする足の位置に俺が靴を合わせる。
解けた紐を結び直す。
「スニーカー、だっけ。よく分からないけど履き心地良いよね」
ゆっくり結びながら、スカートより下まで頭を下げて中に視線を送り込む。
薄暗い空間にいつもの白いパンツがあった。
「長いね」
「解けたら本当に危ない」
「ありがとう……」
不意に優花里がスカートの中に手を入れてパンツの端を摘んで、キュッと引き上げた。
バサりと手とスカートが降りた時に汗とは違う甘酸っぱい副流煙を顔に浴びる。
よく見ると、引き上げられた白いパンツの底が縦に黒く割れていてピッタリと性器の形が浮き出ていた。
割れ目の先にはVの字にシワを立てたクリトリスが見え、その上の黒いモヤが抑え込まれている。
過剰に引き上げられたパンツの隙間から見える太ももの付け根。
ほんのりと窪んでいて他の部位より影が濃ゆくなっていた。
「もしかして見てる?」
「見てない見てない」
俺は素早く紐を結んでいく。
「早く結べたってことだから、よそ見はしてたよね?」
「探偵みたいだ」
目は見えないとしても優花里を舐めてはいけない。
「図星と煮干しって似てる気がする」
「もしスカートの中を見るとしたら俺はこうする」
優花里のスカートの上から白いパンツを抑える。
右手で陰毛の辺りを撫でて、左手でお尻の割れ目をなぞる。
スカートの中が生地越しに手に取るように分かる。
この引っかかりは太ももの付け根に張り付いたパンツの境目。
『だ、だめだよ、分かったから……』
消えそうなほど、か細くて高い声で言うと俺の手を払う。
優花里は赤い頬しか見せてくれなくなった。
「ごめん」
「他の人にはしないでね」
優花里の手を引いて大学に向かった。
向かう途中に電話の話を思い出す。
「なんで切って欲しくないんだ?」
「それは、えーっと」
優花里は考えてますよと言わんばかりにコメカミに指を当てて髪の毛を織っている。
授業でもこんな場面は見たことない。
『君を一人にしたら他の女の子に目が眩んで、目が見えない私に目が眩んでるのはお前だろって言いそうで……』
「そんな可能性あると思う?」
「今日はそれを確かめたい!」
優花里は疑うように顔を俺に近づける。
瞼の裏で睨まれたカエルだった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。