1 / 17
璃石
しおりを挟む
射精した
その感覚は
置き忘れてきた
身体の中にあるものだった
音色は記憶の記録
優劣に関係なく
それは忘れていたものを思い出させる
大切なものであれ
辛いものであれ
記録は
いつか
流れる音色に
記憶となって
想いに蘇る
ひたすらに斬って、斬られている
俺はひたすら己にのばされる手を、斬り続けていた
それは、鬼の手
疲労はまやかしの中でもなだらかに積もっていく
いつか、力つきるだろう
そうしてまた、鬼に支配されるのだろう
身も心も鬼のものと成り果てるのだ、俺は
だが――今微かに見えた光を、見失いたくないと思っていた
だから、ひたすらに斬っている
俺を縛り付けようと伸ばしてくるその手を
痛みと疲労を覚えながらも斬り続けることを
諦められない
ずっと、忘れていた身体の感覚が蘇り始めているのがわかるから
暗い瞼の向こう側に
愛しい光がみえている
俺は、息をしていた
己の吐息が聞こえる
妄想ではない
耳から聞こえる 確かな音
それにまざるか弱き声
己のものよりずっと細くて、守らねばならぬと思わせる
ここよ あなたはここにいるの
その声は、そう言の葉を告げる
吐息は激しく喘ぎがまじる
抱いている者と抱かれる者の重なる喘ぎ声が
俺の耳から入ってくる
汗の匂いがする 生きている匂いがする
全身を震わすような快感が
今この腕に抱くものから与えられている
かつ 与えている
共有している つながっている
教えてくれている そのいとしいものは
俺が生きているということを
俺の在り処を――
教えてくれている
俺は、はっきりと分かった
俺は、愛しい者を抱いている
この腕に、愛しい命を抱いている
そして、俺はようやく己を解放して
己の身体を取り戻していた
己の在り処を、思い出していた
そこに流れる音色は
そうして俺があるべき場所へ戻ることを
後押ししてくれている
たとえそれが、どんなにどへたくそな唄でも……
その感覚は
置き忘れてきた
身体の中にあるものだった
音色は記憶の記録
優劣に関係なく
それは忘れていたものを思い出させる
大切なものであれ
辛いものであれ
記録は
いつか
流れる音色に
記憶となって
想いに蘇る
ひたすらに斬って、斬られている
俺はひたすら己にのばされる手を、斬り続けていた
それは、鬼の手
疲労はまやかしの中でもなだらかに積もっていく
いつか、力つきるだろう
そうしてまた、鬼に支配されるのだろう
身も心も鬼のものと成り果てるのだ、俺は
だが――今微かに見えた光を、見失いたくないと思っていた
だから、ひたすらに斬っている
俺を縛り付けようと伸ばしてくるその手を
痛みと疲労を覚えながらも斬り続けることを
諦められない
ずっと、忘れていた身体の感覚が蘇り始めているのがわかるから
暗い瞼の向こう側に
愛しい光がみえている
俺は、息をしていた
己の吐息が聞こえる
妄想ではない
耳から聞こえる 確かな音
それにまざるか弱き声
己のものよりずっと細くて、守らねばならぬと思わせる
ここよ あなたはここにいるの
その声は、そう言の葉を告げる
吐息は激しく喘ぎがまじる
抱いている者と抱かれる者の重なる喘ぎ声が
俺の耳から入ってくる
汗の匂いがする 生きている匂いがする
全身を震わすような快感が
今この腕に抱くものから与えられている
かつ 与えている
共有している つながっている
教えてくれている そのいとしいものは
俺が生きているということを
俺の在り処を――
教えてくれている
俺は、はっきりと分かった
俺は、愛しい者を抱いている
この腕に、愛しい命を抱いている
そして、俺はようやく己を解放して
己の身体を取り戻していた
己の在り処を、思い出していた
そこに流れる音色は
そうして俺があるべき場所へ戻ることを
後押ししてくれている
たとえそれが、どんなにどへたくそな唄でも……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる