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酔っ払いな戦闘姫続き

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「わたしのことは、さておき。ねえ、あんた本気で狙ってるの?」

「あたしは本気よ。だって、直感が行けって言ってるから」

 ママはあたしの答えに、呆れて返す。

「あんたねえ、その、圏内に入ったら撃ち落とすみたいなのやめたら? そりゃあ、数撃ちゃ何とかって言うけどさあ」

「お言葉を返すようですが、あたしは数なんて求めてないから。質の良い男が入って来た時だけ、あたしのセンサーが働くのよ。それよりも、わたしのことはさておかなくて、ママはどうなよ?」

 ママはため息をついて答えた。

「わたしも、鈴木さんは良いと思うわ。チャラくないし、知的で、しかも、笑った顔がかわいいのよねえ」

「やっぱ、狙ってんじゃん!」

「そうね。わたしのテクでメロメロにしてあげたいわね」

「オッサンのテクなんて求めてないから」

「あんたみたいな、若さと身体だけの粗雑なそれとは違うのよ。虜にする自信はあるのよねえ。まあ、そうはいっても、わたしはいけないから、心配しなくていいわよ」

「心配してないし。横からウザイだけ。でも、一応理由はなんで?」

 ママは少し黙って、寂しそうに答えた。

「わたしはね、お客様から始まる恋はしないことにしてるの。バーテンダーのわたしを好きで来てくれてる人の夢を壊したくないのよ」

 あたしはその答えに、黙ってしまった。

「はあ、わたしにあんたの若さと容姿があったらと思うわ。でも、神様はそれを与えてくれなかった。不条理よねえ」

「不条理といえば、あんたは見た目も、まあ、綺麗だし、スタイルも悪くないのに、何で男ができないのかしらね?  性格かしら?」

「性格もいいし! 『まあ』なんて挟む余地ないくらい綺麗だし!」

「あんたは攻めてるようでいて、固いもんね。ちょっとやらしたら、大抵の男は落ちるんじゃないの?」

「簡単にやらせるわけないでしょ。あたしは自分のことを良く分かってるから。見た目は綺麗だけど、しょせんそこそこなのよ。ママの言う通り、『まあ』なのよ。確かにやらせたら落ちるんだろうけど、そんな男はすぐにもっと見た目が良い女にいくから」

「あんた、結局まだ気にしてるのね。女は忘れる生き物なのに」

 あたしはママに何も言えなかった。
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