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21.馬術大会2
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クラヴィスが私を抱きしめたまま、言葉を紡いでいく。
「ねぇ、マリーナ。君は安心して優勝すれば良い。君が誰かに嫌な言葉を吐かれた時は……その分、私が君を甘やかそう」
クラヴィスはいつだって優しくて、私が涙が出るほど嬉しい言葉を簡単にくれるのだ。
「君が度胸があるフリが上手いだけでも、強がりでも……私は君が大好きなんだ。君の力になりたいと心から思っている」
クラヴィスの言葉に顔が熱くなっていくのが分かった。
クラヴィスの言葉に他意はないことは分かっている。
きっと私を友人をして大切にしてくれているのだろう。
それなのに……
「マリーナ、大丈夫だから。どうか私に君を守らせて」
クラヴィスが私を抱きしめる腕を緩め、私と目を合わせる。
クラヴィスの顔に少しだけ赤くなっているように感じた。
その表情を見ると、さらに心臓が速なった。
その時、チャイムが鳴り、馬術大会の決勝がもうすぐ始まろうとしていた。
「そろそろマリーナは会場に行かないとね」
「クラヴィス……!」
クラヴィスはいつも通りの微笑みを私に向けて、テラスを出ていく。
私はしばらくクラヴィスの背中から目が離せなかった。
会場に着くと、レースのスタート地点に並ぶ。
私を見つけた生徒たちがザワザワとし始めたのが分かった。
「あの大悪女、本当に出場しているわ」
「大会をめちゃくちゃにするつもりじゃないの。迷惑だわ」
「出なければいいのに」
会場で係員を担当している生徒の声が聞こえる。
私には聞こえないが、きっと観覧席で見ている生徒も同じ反応をしているだろう。
それでも、私は平然と騎乗してスタートラインに立った。
「表情も変えないで……気味が悪いわ」
知ってるわ。
それでも、ここで悲しい顔をするのは私の理想の格好良い王女に反するの。
だから、私は王女らしく微笑んだ。
どこまでの距離の人々が見えているかは分からない。
それでも、きっと小さなことで世界は変わっていく。
スタートの合図である笛が鳴ろうとしていた。
ピー、という音と共に一斉に馬が走り出す。
それでも、私の前を走っている馬は居なくて。
誰も前にいないコースを私は走り抜けていく。
後ろが気になるのに、前しか見えないような感覚がどこか面白い。
周りの声もスタートする前より全然聞こえない。
それでも……
ゴールテープを切る寸前、「マリーナ!」と叫んだクラヴィスの声が聞こえた気がした。
ゴールテープを一番に切り、馬が止まる。
周りの音や歓声が一気に耳に入ってくる感覚がする。
会場を見渡せば、罵声ではなく歓声が聞こえる。
いや、罵声も混じっているのかもしれない。
それでも、歓声も聞こえるのだ。
それが何より嬉しくて。
私は気づいたら、観客席を見渡していた。
「ねぇ、マリーナ。君は安心して優勝すれば良い。君が誰かに嫌な言葉を吐かれた時は……その分、私が君を甘やかそう」
クラヴィスはいつだって優しくて、私が涙が出るほど嬉しい言葉を簡単にくれるのだ。
「君が度胸があるフリが上手いだけでも、強がりでも……私は君が大好きなんだ。君の力になりたいと心から思っている」
クラヴィスの言葉に顔が熱くなっていくのが分かった。
クラヴィスの言葉に他意はないことは分かっている。
きっと私を友人をして大切にしてくれているのだろう。
それなのに……
「マリーナ、大丈夫だから。どうか私に君を守らせて」
クラヴィスが私を抱きしめる腕を緩め、私と目を合わせる。
クラヴィスの顔に少しだけ赤くなっているように感じた。
その表情を見ると、さらに心臓が速なった。
その時、チャイムが鳴り、馬術大会の決勝がもうすぐ始まろうとしていた。
「そろそろマリーナは会場に行かないとね」
「クラヴィス……!」
クラヴィスはいつも通りの微笑みを私に向けて、テラスを出ていく。
私はしばらくクラヴィスの背中から目が離せなかった。
会場に着くと、レースのスタート地点に並ぶ。
私を見つけた生徒たちがザワザワとし始めたのが分かった。
「あの大悪女、本当に出場しているわ」
「大会をめちゃくちゃにするつもりじゃないの。迷惑だわ」
「出なければいいのに」
会場で係員を担当している生徒の声が聞こえる。
私には聞こえないが、きっと観覧席で見ている生徒も同じ反応をしているだろう。
それでも、私は平然と騎乗してスタートラインに立った。
「表情も変えないで……気味が悪いわ」
知ってるわ。
それでも、ここで悲しい顔をするのは私の理想の格好良い王女に反するの。
だから、私は王女らしく微笑んだ。
どこまでの距離の人々が見えているかは分からない。
それでも、きっと小さなことで世界は変わっていく。
スタートの合図である笛が鳴ろうとしていた。
ピー、という音と共に一斉に馬が走り出す。
それでも、私の前を走っている馬は居なくて。
誰も前にいないコースを私は走り抜けていく。
後ろが気になるのに、前しか見えないような感覚がどこか面白い。
周りの声もスタートする前より全然聞こえない。
それでも……
ゴールテープを切る寸前、「マリーナ!」と叫んだクラヴィスの声が聞こえた気がした。
ゴールテープを一番に切り、馬が止まる。
周りの音や歓声が一気に耳に入ってくる感覚がする。
会場を見渡せば、罵声ではなく歓声が聞こえる。
いや、罵声も混じっているのかもしれない。
それでも、歓声も聞こえるのだ。
それが何より嬉しくて。
私は気づいたら、観客席を見渡していた。
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