Etern:Re

蒼宙綴

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第一章 ー 旅立ち 〜 仲間たちとの出会い

第5話:旅路の始まり

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 フィーネが加わってから数日が経ち、三人の旅は順調に進んでいた。

 フィーネは、傷を癒してからというもの、以前のような弱々しさは見せなくなり、すっかり元気を取り戻していた。

 彼女の冷静さと、薬草を使いこなす能力が二人にとって大きな助けとなった。


「これ、使ってみて。」


 フィーネが天音に手渡したのは、奇妙な形をした薬草の束だった。

 見た目は普通の草のように見えるが、どこか神秘的な光を放っている。


「これって…?」

「これを使うと、疲れが取れるんです。長旅には欠かせませんよ。」

「すごい…ありがとう!」


 天音は素直に感謝の言葉を述べると、その薬草を大切に袋にしまった。


 その頃、カイルは先を歩きながら、何かを考えているようだった。

 振り返ったカイルは、少し難しい顔をしている。


「リィア、フィーネ…気になることがあるんだ。」

「気になること?」

「うん、最近、この世界がちょっとおかしい気がしてさ。」

「おかしいって、何が?」


 フィーネが疑問を口にすると、カイルは少し考え込むようにして答えた。


「例えば、さっき見た風景…あれ、見覚えがあるような気がしたんだ。いつも通っている道なのに、何かが違う。」

「それは…」


 天音も考え込む。

 確かに、世界を歩いていると、何か不自然な感覚を覚える瞬間があった。

 例えば、道端に咲く花の色が異常に鮮やかだったり、風の匂いがどこか奇妙だったり。


「私も…少し感じてる。」


 フィーネが静かに答える。


「何か、私たちの知らない力がこの世界には働いている気がする。」


 カイルは二人の言葉にうなずき、前を向いて歩き始めた。


「でも、今は先を急ごう。確かにおかしいことはあるけれど、それがどういうことかはまだ分からない。まずは目的地に行って、情報を集めよう。」

「そうね。」


 天音はゆっくりと歩き出しながら、心の中で考える。

 この世界に何か不穏なものが潜んでいることを、彼女はすでに確信しつつあった。

 しかし、その不安を表に出すことなく、前へ進むしかなかった。


 三人は日が沈む頃、キャンプ地を見つけて一息つくことにした。

 フィーネは火を起こし、カイルは手近な木の枝を集めてきた。

 天音はその間に水を汲みに行くことにした。


「私は少し歩いてくるね。」

「気をつけてな。」


 カイルが声をかけると、天音はうなずきながら歩き出した。

 夜の風はひんやりとして、少し肌寒さを感じる。


「この辺りに水場があったはず…」


 歩きながら、天音はふと気になったことがあった。

 どうして自分はこのゲーム、いや、世界に閉じ込められたのだろう? 

 その答えを求めて、彼女は心の中で一つの問いを立てていた。


 水場に着くと、天音は水を汲みながら、ぼんやりと周囲を見渡す。

 すると、その時、遠くの方に何か光るものを見つけた。


「…あれは?」


 光を追いながら歩いていくと、近くの木の陰から、白い光を放つ何かが見えた。

 それは、まるで霧のように漂っている不思議な物体だった。


「これって…なんだろう?」


 天音は少し躊躇いながらも、その光に近づいていった。

 光はじわじわと広がり、天音の前に立ち尽くした瞬間、ピタリと止まった。


 その瞬間、光が一瞬で消え、闇の中に何かが現れた。


「っ!」


 天音は驚きの声を上げることもできず、その姿を目にした。

 目の前には、ひとりの人物が立っていた。

 彼の姿はぼやけており、顔が見えない。


「誰…?」

「キミが…リィアか。」


 その人物は、低い声で名前を呼びかけてきた。
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