最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

文字の大きさ
7 / 100
第一章:「召喚と追放」

第7話:勇者隊の影

しおりを挟む
 日が傾き、森を金色の光が包んでいた。
 村の再建は順調だった。
 家々には新しい屋根がつき、井戸には水が満ち、獣人たちはようやく“明日”を口にするようになった。

 篠原蓮は村の外れで、壊れた金属の塊を前に座っていた。
 古びた魔道具――かつて王国の魔導士が作った「防衛結界装置」の残骸だ。

「これが動けば、村の外周を守れるんだよな?」
「うん。でも壊れてもう何年も経つ。魔力回路が焼けてて、誰にも直せなかった」
 リアが腰を下ろしながら言う。
 蓮は頷き、装置に手をかざした。

《リサイクル発動――対象:魔導防壁装置》
《再構築・魔力循環ルート検出中……》

 淡い光が、焦げた金属の内部を走る。
 壊れた魔石が修復され、細い魔力の線が蜘蛛の巣のように繋がっていく。
 次の瞬間、地面に光の陣が浮かび上がった。

 ぼんっ、と小さな爆音。
 リアがびくっと肩を跳ねさせる。
「うわっ、今の音なに!?」
「大丈夫。起動の反応だ」

 光の陣が拡大し、村の外周をゆっくりと包み込んでいく。
 透明な膜のような結界が張られ、風が止まった。
 リアの金の瞳が見開かれる。

「……すごい……本当に、村全体が覆われてる」
「これで、外からの襲撃はしばらく防げるはずだ」
「やっぱり、あんたって……ただの人間じゃないよな」
「いや、普通の人間だよ。ちょっと“しつこい”だけだ」

 蓮が笑うと、リアは呆れたように笑い返した。
 ――それは、戦いの後で初めて見る、本当の笑顔だった。



 だが、その光景は遠く離れた場所からも目撃されていた。

 王都アルゼリア。
 中央塔の展望台。

 巨大な水晶鏡の前で、神崎悠真は険しい表情を浮かべていた。
 鏡の中には、森の上に広がる青い結界――蓮が作り上げた防壁が映っている。

「……あれが、篠原蓮の仕業だと?」
「はい。監視の魔眼が捉えました。王都の防御結界に匹敵する出力です」
 側に控える魔導士が震え声で答える。

「最弱スキル《リサイクル》が、どうしてそんな力を……?」
「スキルの進化、あるいは……異世界の干渉かと」

 悠真の唇が歪む。
「進化? Eランクのスキルが? ふざけるな」

 その手が聖剣の柄を強く握る。
 刃の中から、聖なる光が漏れ出した。

「俺が“選ばれた勇者”だ。
 あいつは落ちこぼれ。俺の影にすらなれないはずの存在……!」

 怒りが声を震わせる。
 玲奈がそっと近づき、彼の手を取ろうとした。
「悠真くん、もういいじゃない。彼は彼で……」
「玲奈、何もわかってない!」

 振り払われた手が宙を切る。
 玲奈の瞳に、わずかな悲しみが宿った。

 悠真は聖剣を掲げ、低く呟く。
「女神アリアよ。我が敵に“正しき裁き”を」

 刃が光を放ち、天井にまで届く。
 その光は王都中に広がり、“勇者の覚醒”を知らせる鐘が鳴った。



 一方そのころ、森の村では――。

 防衛結界の完成により、村人たちはようやく安心して眠ることができるようになっていた。
 焚き火の傍で、リアが毛布にくるまってうとうとしている。
 蓮はその横で、修理中の魔道具を手に取りながら呟いた。

「これで少しは、みんなが休めるな」
「うん……蓮のおかげ」
「いや、君たちが守ったんだよ。俺はその手伝いをしただけ」

 リアが目を開け、金色の瞳で彼を見つめる。
「……本当にそう思ってるの?」
「うん?」
「人を助けるのに、見返りを求めないやつなんて、そういない。
 でも、あんたは……壊れたものを見ると、放っておけないんだな」

 蓮は笑いながら肩をすくめる。
「まあ、性分みたいなもんだ」

 焚き火の火がぱちぱちと弾ける。
 静かな時間が流れた。

 だが、森の風が不意にざわめいた。
 リアの耳がぴくりと動く。

「……誰か、いる」
「敵か?」
「気配は一人。でも、人間の匂い」

 リアが立ち上がり、短剣を抜く。
 蓮も剣を構え、木々の奥を見据えた。

 そこに現れたのは、ローブを纏った若い男。
 額に王国の紋章が刻まれている。

「――篠原蓮。貴様に王国からの命が下った」
「命?」
「異端者としての召喚命令だ。
 勇者神崎悠真様の名において、貴様を拘束する」

 蓮の表情が冷たくなる。
「勇者、ね……。俺を見捨てた男の名前を、もう一度聞くとは思わなかった」

 男が杖を構え、魔法陣を展開する。
「抵抗するならば、容赦はしない」

「そうか」
 蓮は静かに剣を持ち上げる。
 青白い光が刃に走った。

「なら、容赦する気もない」

 次の瞬間、光の閃きが夜を裂いた。
 風が逆巻き、魔法陣が砕け散る。
 ローブの男が驚愕の表情を浮かべ、膝をついた。

「な……何だ、この力……!」
「“再利用”だ。お前の魔法陣、壊れてたから直してやったよ。
 ――俺の形に、な」

 地面に蓮の紋章が浮かぶ。
 青い鎖のような光が男を拘束し、意識を奪う。

 リアが呆れたように呟く。
「ほんと、便利なスキルだな」
「壊すより、直す方が性に合ってるだけさ」

 蓮は倒れた男の杖を拾い上げた。
 ひび割れた杖を《リサイクル》し、再生する。
 そこから生まれたのは、精霊のような淡い光。

 リアが見とれるように呟いた。
「綺麗……」
「これが、“再利用された命”だ」
 蓮は微笑み、空へと光を放つ。

 だがその瞬間、遠く王都の空でも同じ光が一瞬、輝いた。
 悠真がその光を見上げ、唇を歪める。

「見てろよ、篠原蓮。
 その“再生の力”――俺が全部、奪ってやる」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件

fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。 チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。 しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。 気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。 笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

最弱と蔑まれた魔導士、実は千の神に好かれていた件~追放されたけど本人だけ無自覚に世界最強でした~

えりぽん
ファンタジー
王国最弱の魔導士と呼ばれ、勇者一行を追放された青年リオン。だがその身体には「千の神々の祝福」が宿っていた。にもかかわらず本人は全く自覚なし──。放浪の果てに助けた村娘は神の血を引く末裔、戦場で出会った剣姫は過去の罪を背負う元勇者。いつの間にか、リオンの周りには世界を動かす存在ばかりが集まり始める。 無自覚に世界を救っていく男が、気づかぬうちに覇王と呼ばれるまでの軌跡。

『農業スキルはいらない』と追放されたが、魔境の開拓ライフが勝手に世界配信されていた件。聖女や竜が集まり、元仲間は完全に詰みました

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ。魔王討伐に『農業』スキルなんて役に立たないからな」 幼馴染の勇者からそう告げられ、俺、アレンはパーティを追放された。 あてがわれたのは、人が住めないと言われるS級危険地帯『死の荒野』。 しかし、彼らは知らなかった。俺の農業スキルが、レベルアップによって神の領域(ギフト)に達していたことを。 俺が耕せば荒野は豊潤な大地に変わり、植えた野菜はステータスを爆上げする神話級の食材になり、手にしたクワは聖剣すら凌駕する最強武器になる! 「ここなら誰にも邪魔されず、最高の野菜が作れそうだ」 俺は荒野で拾ったフェンリル(美少女化)や、野菜の匂いにつられた聖女様、逃げてきたエルフの姫君たちと、にぎやかで楽しいスローライフを送ることにした。 その一方で、俺の生活が、荒野に落ちていた古代のアーティファクトによって、勝手に世界中に『生配信』されていることには全く気づいていなかった。 「え、この野菜食べただけで瀕死の重傷が治った!?」 「主様、強すぎます! ドラゴンを大根で叩き落とすなんて!」 『コメント:なんだこの配信……神か?』 『コメント:勇者パーティが苦戦してるダンジョン、この人の家の庭じゃね?』 これは、無自覚に最強の農園を作り上げた男が、世界中から崇拝され、一方で彼を追放した勇者パーティが没落していく様子を、リスナーと共にほのぼのと見守る物語。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

処理中です...