最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第一章:「召喚と追放」

第10話:旅立ちの決意

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 朝霧が晴れ、森の奥に差し込む光が柔らかく村を照らしていた。
 かつて灰と血にまみれていた場所は、いまや再生の息吹に満ちている。
 篠原蓮は小高い丘の上から、静かにその光景を見下ろしていた。

 焚き火の煙がまっすぐに昇り、子どもたちの笑い声が響く。
 再建された家々には新しい屋根が並び、井戸の水面には朝日が揺れている。

 あの日、“追放された少年”は死にかけの森で生き延びた。
 そして、たった一人の少女と出会い、
 いまは――人々に“希望”と呼ばれる存在になっていた。

 リアが丘を駆け上がってくる。
 銀の髪が光を弾き、尻尾が嬉しそうに揺れていた。
「おい、蓮! 食事できたぞ! 今日のは特製だ、覚悟しろよ!」
 蓮が振り返り、苦笑する。
「お、おう……また辛いやつか?」
「ふふん、フェンリル族の誇りは辛さにあり! 鍛錬の一環だ!」
「いや、鍛錬の方向性が……」

 リアが笑いながら、土の器を差し出す。
 湯気の立つスープを口に含むと、舌に心地よい熱が広がった。
 以前よりもまろやかで、どこか懐かしい味がした。

「……うん、美味い」
「へへ、だろ?」
 リアは得意げに笑い、少しだけ目を細めた。
 彼女の横顔を見て、蓮は小さく呟く。
「ありがとう、リア」
「えっ……な、なんで急に」
「この世界に来て、最初に俺を“人間”として見てくれたのは、君だけだったから」
 リアが一瞬、言葉を失い、頬を赤らめる。
「……ばか。そういうこと、さらっと言うなよ」
 尻尾がわずかに膨らんでいるのを、蓮は笑って見逃した。



 食事を終えると、村の中央広場に人々が集まっていた。
 老獣人――族長代行のグランが前に立ち、蓮たちを見上げる。

「蓮殿、リア。……お前たちはこの村の恩人だ。
 だが、森の外では王国の兵が動いておる。
 お前たちがここにいる限り、村は標的になりかねん」

 リアが唇を噛む。
「そんな……私たちがいるせいで、みんなが危険に?」
「そうだ。だからこそ、今は退くべき時じゃ」

 蓮は深く頷いた。
「分かっています。俺たちが狙われるなら、ここを離れた方がいい」
「次の行き先は?」
「――廃都メルディナ。古代文明の遺跡があると聞いた。
 もし《リサイクル》の力をさらに高められるなら、あそこで何か掴める気がする」

 リアが驚いたように顔を上げる。
「廃都メルディナって……“呪われた街”だろ? 行くつもりなのか?」
「呪いがあろうと、壊れたものがあるなら、それを直すのが俺の役目だ」

 静寂。
 やがてリアが小さく笑い、尻尾を一振りする。
「分かった。行こう。――あんたが行くなら、どこへでも」

 その言葉に、蓮はわずかに目を細め、微笑んだ。



 昼過ぎ。
 二人は村の門で見送りを受けていた。
 子どもたちが泣きながら手を振る。
「お兄ちゃん、また来てね!」
「次は森の果実いっぱい持ってきて!」

 蓮は一人一人の頭を撫でて笑う。
「約束する。また必ず帰ってくる」

 リアが振り返り、村を見つめる。
「……不思議だな。前はこの場所を“呪いの地”だと思ってたのに、今は……すごく、好きだ」
「それは君が、この場所を変えたからだよ」
「ふふ。……そうかもな」

 二人は並んで歩き出した。
 森の奥から吹く風が、彼らの背中を押していた。
 ――旅立ち。
 捨てられた過去を超えて、再生の道を歩むための。



 一方、王都アルゼリア。

 玉座の間には重苦しい空気が漂っていた。
 玉座の前で跪くのは、勇者神崎悠真。
 その後ろに、聖女玲奈と数名の騎士団が控えている。

 王の声が響く。
「勇者神崎よ。貴公に命ずる。
 “異端者”篠原蓮を捕縛せよ。
 奴のスキルは神の理を乱す。もはや見逃すことはできぬ」

 悠真は深く頭を下げる。
「御意。必ず、この手で討ち果たしてみせます」
 その瞳は、静かに燃えていた。

 王が続ける。
「聖女玲奈、貴公も同行せよ。
 蓮という男と同郷と聞く。……彼を説得できるなら、血を流さずに済むやもしれぬ」

 玲奈は複雑な表情を浮かべ、静かに頷いた。
「……はい、陛下」

 謁見が終わり、廊下に出た二人。
 悠真が足を止め、低く呟く。
「……あいつがまだ生きてるとはな」
 玲奈が不安そうに言う。
「悠真くん、お願い。蓮くんは悪い人じゃない。昔から優しくて――」
「黙れ」
 鋭い声。
「優しさなんて、弱さの言い訳だ。
 この世界は“選ばれた者”だけが生き残る。
 あいつは、もう俺の世界にいらない」

 玲奈は拳を握りしめた。
 彼女の胸の奥に、かすかな痛みが残った。



 森の外れ。
 夕陽が木々の影を長く伸ばす。
 リアが地図を広げ、蓮と並んで歩いていた。

「廃都メルディナまでは、ここから三日の道のり。
 途中に盗賊の根城があるけど、あんたがいれば平気だな」
「その前に、君が暴走しないよう気をつけないとな」
「はぁ!? 前回のアレは事故だって言ってんだろ!」
「はいはい、了解」
「むぅ……」

 リアが頬を膨らませる。
 そんな彼女を見て、蓮は小さく笑った。
 この世界で、笑える時間がある――それだけで十分だった。

 だが、その穏やかな時間の裏で、空気に不穏な気配が混じっていた。
 風が止まり、鳥たちの鳴き声が途絶える。

「……リア。止まれ」
「え?」

 蓮が前方を睨む。
 森の陰から、漆黒の鎧を纏った騎士たちが現れた。
 胸の紋章には、聖教会の“女神の目”。

「異端者――篠原蓮。王命により、拘束する」

 リアが短剣を抜く。
「ちっ、早すぎる!」
「どうやら、俺たちの旅は平穏には進ませてもらえないらしいな」

 蓮が剣を構える。
 リアが笑う。
「上等だ。あんたと一緒なら、どんな敵でも怖くない!」
「じゃあ――壊れても直すだけだ」

 二人の視線が交わる。
 光が走り、戦いが始まる。
 それは、後に“再生の勇者”と呼ばれる物語の第一歩だった。
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