最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第三章:「クラスメイトとの再会」

第36話:魔王からの招待

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 静かな夜だった。
 メルディナの再生炉は穏やかに脈動し、街の灯りを優しく照らしている。
 風は冷たく、しかし心地よい。

 リアは外壁の上で膝を抱えていた。
 遠くの砂塵が月明かりに揺れている。
 「……戦争の気配がするな。」
 誰に言うでもなく呟いた声が、夜に溶ける。

 蓮が静かに隣に立った。
 「眠れないのか?」
「……あんたこそ。こんな時間まで街の巡回なんて、真面目すぎ。」
「俺は職業病なんだ。壊れてないか確かめないと落ち着かない。」
リアは笑った。「直すのも大変な性格だな。」

 二人の間を、冷たい風が通り抜けた。
 しばしの沈黙のあと、蓮は遠くの空を見上げた。
「玲奈は、王都に着いた頃だろうな。」
「戻っても地獄だぜ。あいつ、馬鹿みたいに真っ直ぐだから。」
「だから信じられる。あの真っ直ぐさは、俺たちにはもう持てないものだから。」

 リアは少しだけ目を細めた。
「……そういう優しいとこ、嫌いじゃねぇけど。時々ムカつく。」
「褒め言葉として受け取っておく。」



 そのときだった。
 メルディナの外周を警備していた兵士が慌ただしく駆けてきた。
 「報告! 南門に“魔族の使者”が現れました!」
 リアが目を細める。「魔族?」
 「戦争の前触れかもしれません。」セリナが現れ、杖を構えながら続けた。
 「どうします?」

 蓮は少し考え、頷いた。
「会おう。……敵か味方かは、それを見て決める。」



 南門前。
 夜の霧の中から現れたのは、黒衣の青年だった。
 年の頃は蓮と同じくらい。肌は青白く、瞳は漆黒。
 しかし、その身から滲み出る圧力は人間のものではなかった。

 「ようやく会えたな――再生の異端。」
 青年が口の端を上げた。
 「俺はゼルド。魔王ルディアス陛下の使者だ。」

 周囲の兵がざわめく。
 リアが即座に前に出て、双剣の柄に手をかけた。
 「用件を言え。」
 「焦るな、獣人の娘。俺は戦いに来たわけじゃない。」
 ゼルドは両手を広げ、あくまで穏やかな笑みを浮かべる。
 「我が主、魔王ルディアスは“対話”を望んでいる。」

 「……魔王が?」セリナが眉をひそめた。
 「我らは長きにわたり人間と争ってきた。だが――」
 ゼルドは蓮をまっすぐ見た。
 「貴様の存在が、均衡を崩した。
   女神も人間も、貴様を“異端”と呼び恐れている。
   だが我らは違う。“再生”の理を理解する者を、敵とは思わぬ。」

 蓮は沈黙したまま、その言葉を噛み締めていた。
 リアが苛立ちを隠さずに言う。
 「胡散臭ぇな。魔王ってやつが、わざわざ人間に話しかける理由があるか?」
 「あるとも。」ゼルドの瞳が光を帯びた。
 「我ら魔族もまた、“女神”の被造物だ。
   我が主はそれを恥じていない。むしろ、貴様と語りたいとおっしゃっている。」

 「……女神に造られた?」
 セリナが息を飲む。「まさか……」
 蓮はゆっくりと頷いた。
 「興味深い話だ。だが、罠の可能性もある。」
 ゼルドは笑った。
 「貴様が来るなら、手は出さぬ。ルディアス陛下は約束を守る方だ。」

 「考えさせてもらおう。」
 蓮が答えると、ゼルドは恭しく一礼し、霧の中へと消えた。



 その夜。
 メルディナの中央塔の上で、蓮は一人考え込んでいた。
 リアが背後から現れる。
 「行くつもりか?」
 「たぶん、行く。」
 「やっぱりな。」リアは苦笑した。「危ねぇ橋だぜ。」
 「わかってる。けど、“敵”って決めつけるには、まだ早い。」

 セリナが階段を上ってきて、穏やかな声で言った。
 「女神の名を出した以上、軽くはありません。
  彼らが真実を知っているなら――この世界そのものに関わる話です。」
 「だからこそ、俺が行く。」

 蓮は夜空を見上げた。
 そこには満月が浮かび、淡い光が街を包んでいた。
 「壊すだけの力を持つ者が、再生を語る。
  その矛盾に、きっと答えがある。」

 リアが肩をすくめる。
 「まったく……つくづく変な奴だな、あんた。」
 「そう言われるの、もう慣れたよ。」
 「ふん。じゃあ、せいぜい帰ってこいよ。
  その時は、あたしがあんたの飯を作ってやる。」

 蓮は笑った。
 「期待してる。」



 翌朝。
 メルディナの外門で、蓮はセリナとリアに見送られながら、霧の彼方へ歩き出した。
 行く先は、魔王ルディアスの本拠――“黒の王都ヴェルザード”。
 そして、そこから始まる新たな再生の旅が、静かに幕を開ける。
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