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《オペレーション・ゴルディアス》 XⅣ : 大反攻
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「「タイニー・タイド」、お前の言う通りになったな」
「はい、「カルマ」様におかれましては、すこぶる御順調で何よりです」
「宇羅、ミハイル、キリールが俺の中へ入った。これで最終戦争を起こすぞ」
「はい、御存分に」
最後に残った「カルマ」様の地下城。
「カルマ」様はご機嫌がよろしい。
先ほど、「虎」の軍の最強の一人であるノスフェラトゥの女王を降したからだ。
私が提案した《位相反射》による攻撃で、ノスフェラトゥの女王の心臓を潰したと仰っていた。
ただし、心臓はすぐさまに再生したようだ。
「お前の言ったことに従い、俺はこの究極の力を手に入れた」
「いいえ、「カルマ」様ご自身のお力でございます。私は些細な方向を示しただけに過ぎません」
「カルマ」様は笑っておられた。
随分と珍しいことだ。
「お前の予言に従ったことで俺はこの力を手に入れた。もはや俺を斃す者はこの世界にはいない。どのような攻撃も俺を傷つけることなく相手に還って行く」
「素晴らしいお力でございます」
「それに、お前の予言通りに《ニルヴァーナ》を世界中に設置した。今後人類は《ニルヴァーナ》を防ぎようもなく滅んでいく」
「はい、残るのはワクチンを開発した石神たちの一部だけとなるでしょう。そ奴らは「カルマ」様により容易く葬れるでしょう」
「その通りだな。僅かに残った石神たちだけでは何ほどの力も無い」
「カルマ」様は「ゲート」の能力を石神家の剣士の脳から得た「界離」という能力と組み合わせた。
そして敵の攻撃を異空間に流し、自身は別な異空間へ移動しながら攻撃を放った敵に向けて空間を開く技を手に入れた。
私がそのような能力を進言したのだ。
私が予言によりそれのやり方をお伝えし、「カルマ」様は御自身の勝利を確信された。
そしてもう一つ。
《ニルヴァーナ》を密かに世界中に用意した拠点に設置した。
5000万カ所にも及ぶ膨大な数であり、巧妙に隠されているため存在を知らなければ発見は出来ないだろう。
発見するのは、そこで感染が起きた後だ。
到底間に合わず、人類はほとんどが死ぬことになる。
その戦略も私が「カルマ」様に捧げたものだった。
それにより、「カルマ」様は全人類の破滅を確信された。
「石神はワクチンを何とか開発したようだ。流石は石神だが、その数は少ないはず。「虎」の軍の中でも、一部の人間にしか行き渡らない。そうだな、「タイニー・タイド」?」
「はい、その通りでございます。キリールは見事なものを創り上げました。あれほど複雑な構造では解析にも時間が掛かりますし、そもそも効果のあるワクチンなど作れるはずもございません」
「でも石神は作ったな」
「はい。でもそれはワクチンではなく、万能薬のようなものかと」
「万能薬か」
「はい。ですが、この世界の「規定」により、万能薬は多くは作れません。原材料は不明ですが、必ずそのようになっております」
それはこの世界が構造的にそういうもの制限していることを示している。
どこまでも制限を外すことを世界が許さないのだ。
だから、万能薬はその原材料に限りがある。
そのようなことを「カルマ」様にお話ししていた。
そしてそれは事実だ。
私の予言に制約があるように、万能薬のような規格外のものも制約される。
それが「万能薬」である限りは、だが。
「では、《ニルヴァーナ》は今後その一部の者を除いて皆殺しに出来るな」
「はい、おおせの通りでございます」
「カルマ」様はまた笑われた。
「カルマ」様は、一つは《位相反射》の技を得たことで無敵となり、同時に《ニルヴァーナ》のばら撒きも終え、最早その感染を止めようが無くなったことを信じておられる。
だから御機嫌がよろしいのだ。
既に勝利を確信したためだ。
私が最期まで「カルマ」様のお傍にいることで、その確信は揺るがない。
「カルマ」様はもう信じた勝利に向けて「何もなされない」。
「「タイニー・タイド」、お前もよく働いてくれた」
「とんでもございません。「カルマ」様のお傍で尽くすことこそ、我が喜び」
「うむ。宇羅もミハイルもキリールも、俺の力を受けて喜んで戦場へ向かった。お前はそれは望まないのだな?」
「はい、私には何の力もございませんので」
「俺の世界に堕ちることは決まっているが」
「はい、その通りでございます。私はただ、最後の時まで「カルマ」様に予言を捧げるのみ。勝利がこうして決まった後でも、私の思いは変わりません。「カルマ」様のために」
「そうか」
「カルマ」様はまた微笑まれ、私を見詰めた。
「俺が自分以外の誰かを頼ったのは初めてだ」
「畏れ多いことでございます」
「俺はこの世界から全て与えられるようになっている」
「偉大なる「カルマ」様ならではのことと思います」
「カルマ」様は大きく息を吐かれた。
黒い霧が背中から噴き出す。
「この世界には俺が必要だからな。石神と俺は戦う運命にある。遙かな過去からそうやってぶつかって来た」
「はい」
それは私にも分かっていた。
世界の滅びとそれに抗うことが、この世界を回転させて来たのだ。
そしてその戦いは抗う力が常に勝って来た。
しかし今回はそれが分からない。
世界は回転をやめないためには、滅ぶことが必要なのだ。
それが世界の「道」になっている。
生命は滅ぶ。
滅ぶことで再生して行く。
世界も同じだ。
だからこそ、「カルマ」様のような存在がある。
滅びが無ければ、世界は停滞し、失速し、本当に終わる。
「いよいよ俺は石神に勝つ。そして世界を終わらせよう」
「はい、確実なことでございます」
「カルマ」様が嬉しそうに笑った。
「では最後の蓋を開こう」
「はい」
「カルマ」様はお命じになった。
「はい、「カルマ」様におかれましては、すこぶる御順調で何よりです」
「宇羅、ミハイル、キリールが俺の中へ入った。これで最終戦争を起こすぞ」
「はい、御存分に」
最後に残った「カルマ」様の地下城。
「カルマ」様はご機嫌がよろしい。
先ほど、「虎」の軍の最強の一人であるノスフェラトゥの女王を降したからだ。
私が提案した《位相反射》による攻撃で、ノスフェラトゥの女王の心臓を潰したと仰っていた。
ただし、心臓はすぐさまに再生したようだ。
「お前の言ったことに従い、俺はこの究極の力を手に入れた」
「いいえ、「カルマ」様ご自身のお力でございます。私は些細な方向を示しただけに過ぎません」
「カルマ」様は笑っておられた。
随分と珍しいことだ。
「お前の予言に従ったことで俺はこの力を手に入れた。もはや俺を斃す者はこの世界にはいない。どのような攻撃も俺を傷つけることなく相手に還って行く」
「素晴らしいお力でございます」
「それに、お前の予言通りに《ニルヴァーナ》を世界中に設置した。今後人類は《ニルヴァーナ》を防ぎようもなく滅んでいく」
「はい、残るのはワクチンを開発した石神たちの一部だけとなるでしょう。そ奴らは「カルマ」様により容易く葬れるでしょう」
「その通りだな。僅かに残った石神たちだけでは何ほどの力も無い」
「カルマ」様は「ゲート」の能力を石神家の剣士の脳から得た「界離」という能力と組み合わせた。
そして敵の攻撃を異空間に流し、自身は別な異空間へ移動しながら攻撃を放った敵に向けて空間を開く技を手に入れた。
私がそのような能力を進言したのだ。
私が予言によりそれのやり方をお伝えし、「カルマ」様は御自身の勝利を確信された。
そしてもう一つ。
《ニルヴァーナ》を密かに世界中に用意した拠点に設置した。
5000万カ所にも及ぶ膨大な数であり、巧妙に隠されているため存在を知らなければ発見は出来ないだろう。
発見するのは、そこで感染が起きた後だ。
到底間に合わず、人類はほとんどが死ぬことになる。
その戦略も私が「カルマ」様に捧げたものだった。
それにより、「カルマ」様は全人類の破滅を確信された。
「石神はワクチンを何とか開発したようだ。流石は石神だが、その数は少ないはず。「虎」の軍の中でも、一部の人間にしか行き渡らない。そうだな、「タイニー・タイド」?」
「はい、その通りでございます。キリールは見事なものを創り上げました。あれほど複雑な構造では解析にも時間が掛かりますし、そもそも効果のあるワクチンなど作れるはずもございません」
「でも石神は作ったな」
「はい。でもそれはワクチンではなく、万能薬のようなものかと」
「万能薬か」
「はい。ですが、この世界の「規定」により、万能薬は多くは作れません。原材料は不明ですが、必ずそのようになっております」
それはこの世界が構造的にそういうもの制限していることを示している。
どこまでも制限を外すことを世界が許さないのだ。
だから、万能薬はその原材料に限りがある。
そのようなことを「カルマ」様にお話ししていた。
そしてそれは事実だ。
私の予言に制約があるように、万能薬のような規格外のものも制約される。
それが「万能薬」である限りは、だが。
「では、《ニルヴァーナ》は今後その一部の者を除いて皆殺しに出来るな」
「はい、おおせの通りでございます」
「カルマ」様はまた笑われた。
「カルマ」様は、一つは《位相反射》の技を得たことで無敵となり、同時に《ニルヴァーナ》のばら撒きも終え、最早その感染を止めようが無くなったことを信じておられる。
だから御機嫌がよろしいのだ。
既に勝利を確信したためだ。
私が最期まで「カルマ」様のお傍にいることで、その確信は揺るがない。
「カルマ」様はもう信じた勝利に向けて「何もなされない」。
「「タイニー・タイド」、お前もよく働いてくれた」
「とんでもございません。「カルマ」様のお傍で尽くすことこそ、我が喜び」
「うむ。宇羅もミハイルもキリールも、俺の力を受けて喜んで戦場へ向かった。お前はそれは望まないのだな?」
「はい、私には何の力もございませんので」
「俺の世界に堕ちることは決まっているが」
「はい、その通りでございます。私はただ、最後の時まで「カルマ」様に予言を捧げるのみ。勝利がこうして決まった後でも、私の思いは変わりません。「カルマ」様のために」
「そうか」
「カルマ」様はまた微笑まれ、私を見詰めた。
「俺が自分以外の誰かを頼ったのは初めてだ」
「畏れ多いことでございます」
「俺はこの世界から全て与えられるようになっている」
「偉大なる「カルマ」様ならではのことと思います」
「カルマ」様は大きく息を吐かれた。
黒い霧が背中から噴き出す。
「この世界には俺が必要だからな。石神と俺は戦う運命にある。遙かな過去からそうやってぶつかって来た」
「はい」
それは私にも分かっていた。
世界の滅びとそれに抗うことが、この世界を回転させて来たのだ。
そしてその戦いは抗う力が常に勝って来た。
しかし今回はそれが分からない。
世界は回転をやめないためには、滅ぶことが必要なのだ。
それが世界の「道」になっている。
生命は滅ぶ。
滅ぶことで再生して行く。
世界も同じだ。
だからこそ、「カルマ」様のような存在がある。
滅びが無ければ、世界は停滞し、失速し、本当に終わる。
「いよいよ俺は石神に勝つ。そして世界を終わらせよう」
「はい、確実なことでございます」
「カルマ」様が嬉しそうに笑った。
「では最後の蓋を開こう」
「はい」
「カルマ」様はお命じになった。
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