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花岡流暗殺拳 Ⅶ

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 朝食をいただき、俺たちは帰り支度を始めた。

 そして道具を借り、離れの掃除をする。

 「そんなこと、いいのに」
 栞がそう言ったが、これも教育だからと俺が説得した。

 亜紀ちゃんと双子が箒で掃き、皇紀は布団を干す。
 それが終わると、みんなで雑巾で拭き掃除だ。


 俺が使わせてもらった部屋は、まあ、そのままにさせてもらった。
 ただ、臭いがこもっているので窓を開ける。

 栞が一緒に来たが、二人とも顔を赤くした。
 臭いますね、とは口にしなかった。



 

 雅さんに誘われ、俺はまた仕合をさせられた。

 「父なら大丈夫ですから」

 栞がそう言うのと、雅さんから俺との仕合を是非にと懇願されたからだ。



 着替えて道場に行くと、雅さんは俺に短い木刀を渡してくる。

 小太刀ではない。
 大型ナイフほどのものだ。


 雅さんは同じものを自分で一本持ち、栞の合図で始めた。



 



 10分ほどで終える。

 俺は太ももに軽く当てられた。



 「いやぁ、父の言う通りでした。まったく敵いませんね」
 俺は雅さんに10以上の致命傷を与えた。



 「雅さんは本来、違う得物でしょう。そっちだったら全然敵いませんよ」
 
 「いいえ、うちの流派はどんな得物でも打ち勝たなくてはなりません。私の修行不足です」

 なるほど、あらゆる武器に精通しているということか。
 ならば、銃器もそうなのだろうか。



 「お時間をいただき、感謝します」

 雅さんと俺が互いに礼をすると、見学していた子どもたちが拍手をした。

 最初から、こういうのだったら良かったのに。




 昼食を、としきりに言われたが、俺は固辞して出発した。

 「また、是非いらしてください」
 雅さんと菖蒲さんが言ってくれる。

 「高麗人参を包んでおいたからな!」
 エロじじぃ! ちょっとありがたいぞ。
 スゴイ奴がいるもんで。



 「じゃあ、これをお返しします」
 俺は預かっていた小太刀を返そうとした。

 「いいえ、そちらはお詫びとして、お納めください」
 雅さんがそう言った。

 そうは言われても大変な業物だ。
 しかし、雅さんは頑として受け取らない。

 「もらっておけ! また来た日に必要じゃろう」
 じじぃがそう言うので、預かることにした。


 子どもたちと一緒に礼を述べ、ハマーを走らせた。
 帰りは栞も一緒だ。






 帰りの中央道は結構混んだ。

 栞は出発して間もなく眠ってしまった。

 「栞さん、お疲れですね」
 亜紀ちゃんが心配そうに言う。

 化粧をしているが、目の下の隈が透けている。


 「そうだな、寝かせておいてやれよ」
 そのうち双子も亜紀ちゃんも寝た。



 「皇紀、昼食はどうしようか」
 「そうですね、みんな寝ちゃいましたし、起きてからでよくないですか?」

 「そうだなぁ」


 
 結局、都内に入るまで全員寝ていた。

 双子が目を覚まし、お腹が空いたと言う。
 栞も起きたので、バイキングをやっている店を探してもらう。

 俺たちは中華バイキングの店に入り、みんなで食べた。















 出入り禁止を喰らった。
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