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真夏の別荘 愛する者たちと
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蓮花の研究所を出発し、俺のハマーと六花のグランディアで別荘に向かった。
一江と大森は数日、このまま蓮花研究所に残る。
別荘にも誘ったのだが、ここで司令官としての訓練をしたいと言ってきた。
《ポッド》による実践的な訓練は、ここでしか出来ない。
六花のグランディアに響子と鷹、吹雪。
俺のハマーに栞、士王、子どもたちと柳、それに桜花たちが乗る。
別荘には早乙女たちが来る予定だ。
2泊の予定だが、まあ、いつも通りになるのだろう。
助手席には栞が座っている。
「別荘も久しぶりだわ」
「俺たちもしょっちゅう行ってるわけじゃねぇけどな」
「でも、いつの間にか定番になっちゃったわよね」
「ああ、亜紀ちゃんたちを最初に連れてきてからなぁ。まあ、俺自身も毎年のように来ていたけどな」
「え、そうだったの?」
「夏休みなんかはなぁ」
「知らなかったよ!」
「別にいいだろう?」
「もう!」
栞は何を怒っているのだか。
「私も来たかったなー!」
「その頃は栞とまだ付き合ってもいないだろう」
「そうだけどぉー!」
今日は少し甘えたいようだ。
日本に帰って来られて、ようやく沁み渡って来たのだろう。
安心して俺に甘えているのだ。
俺は栞の頭を撫でながら言った。
「まあ、これからは近いんだ。いろいろ一緒にいられるさ」
「うん!」
栞は俺の肩に頭を寄せて喜んだ。
士王は後ろのシートで双子のオッパイを触ろうとして頭をはたかれていた。
「虎蘭と虎水が触られてたなぁ」
「うん、謝っといた」
「こいつのオッパイ好きはなんなんだろうな」
「あなたの血でしょ?」
みんなが笑った。
別荘には11時に着いた。
すぐに子どもたちが荷物を降ろし、部屋の掃除を始める。
双子は昼食の準備だ。
今日はせいろの肉蕎麦のはずだ。
ルーがひたすらに蕎麦を茹で薬味を刻み、ハーがひたすらに肉を焼いて行く。
亜紀ちゃんが別荘全体の拭き掃除をし、柳が布団を干し、皇紀が風呂場の掃除をする。
桜花たちも掃除を手伝い始める。
栞と六花が士王と吹雪を連れて庭に出て遊ばせた。
ロボも一緒に駆け回り、二人と遊ぶ。
俺は響子と一緒にリヴィングのソファでまったりした。
食事が出来て、みんなを集め昼食にした。
「えーと、この後は買い物と掃除の続きかぁ」
「私は買い物に行きます」
亜紀ちゃんはスーパーに頼んでいるものがあるので、俺と一緒に買い物だ。
「栞さんと六花さんと鷹さんはどうします?」
「一緒に行こうかな」
「私も一緒に行きます」
「私も」
「士王ちゃんと吹雪ちゃんはどうしましょうか」
「一緒でいいよ。ここじゃみんな掃除でしょ?」
「響子ちゃんはロボとお休みね」
「うん」
「にゃ」
そういうことになった。
ハマーの中で亜紀ちゃんが言った。
「店長さんが、またタカさんにお礼をしたいって言ってましたよ」
「なんだよ、いつもそんなこと言うんだよなぁ」
「今回はちょっと違うようでして」
「あんだよ?」
「分かんないです」
「聞いとけ!」
みんなが笑った。
スーパーに着いて石神家専用駐車場にハマーを止める。
店長さんが既に待っていた。
「石神先生!」
「ああ、こんにちは。今年もお世話になりますね」
「はい、こちらこそ!」
今日伺う予定はもちろん伝えている。
店長さんが駐車場からの扉を開いて俺たちは中へ入った。
店内は薄暗く、俺たちにスポットライトが当たった。
なんだ?
楽団が『ワルキューレの騎行』を演奏し、合唱団が歌い出す。
「あにこれ……」
店内の明かりが点き、店員全員が俺たちに挨拶した。
離れた場所から近づいて来る一団がいる。
「私どもの社長と副社長、専務と常務が揃っています」
「なんで?」
「石神様に感謝を! うちのスーパーが日本一になり、海外への進出も決まりまして」
「なんの?」
さっぱり分からん。
俺たちは奥に作られたパーティ会場のような場所に連れて行かれ、椅子に座らされた。
スーパーの一角にテーブルや椅子を置いているだけなので、異様に違和感がある。
俺たちが座ると、待たされていた客たちが買い物を始めた。
わざわざ俺たちのために待たせてしまって申し訳ない。
でも、客たちも俺たちの方をみんなが見ている。
なんなんだ。
社長さんたちが挨拶し、名刺を置いて行く。
料理や飲み物が運ばれる。
「あの、買い物に来ただけなんですけど」
「はい。後ほどご案内いたします」
「いや、こんなの困りますよ」
本社の営業部長という人間が来た。
「石神様がここでご提案下さった数々のアイデアを、全国のお店でも出来るだけ展開いたしました」
「あ、そう」
「そのお陰でどんんどん売り上げが上がり、今では競合店の数倍の売り上げになっております」
「良かったね」
「他の地域にも進出しまして、どこも大成功で。石神様が通って下さるこのスーパーは既に聖地と言われることも」
「なんで?」
「御堂総理やローマ教皇まで!」
「なんであの人がぁ!」
「ローマ教皇がフードコートでたい焼きを召し上がり、大層お褒めいただきました!」
「なにやってんのぉー!」
「それ以来、全国、いえ、全世界からクリスチャンの方々が連日押し寄せて下さっています!」
「……」
青の店か。
あの店に集中しないように、この地方のスーパーを訪れて褒め讃えたのだ。
まあ、ありがたいような、余計なお世話なような。
「先日はまたテレビにも取り上げられ、「行列の出来るスーパー」とか言われまして」
「あ、そうですか」
「たい焼き屋は拡張しました」
「よかったね」
「ローマ教皇と御堂総理、そして石神様のお陰であり、元をただせば全て石神様のお導きと」
「いや、俺なんて全然」
「御堂総理もローマ教皇も、石神様との御縁とおっしゃってました」
「あいつらぁ!」
もうどうでもいい。
俺はここで気持ちよく買い物がしたいだけだ。
俺たちのために、ここに場所を空けて会場を作ったようだ。
それほど広くはないが、ビュッフェ形式で軽食と飲み物がある。
仕方なく少し付き合った。
亜紀ちゃんは遠慮なく食べている。
社長さんが俺に話して来た。
「御堂総理にご相談したのですが」
「え、なにを?」
「今建設中の「御虎」シティにうちのスーパーを是非にと」
「ああ、なるほど」
「石神様が懇意にされているのをご存じで、すぐにご了承いただけました」
「そうですか。あそこにこちらのスーパーが入れば素晴らしいですね」
「御虎」シティは存在こそ知られているが、どういうものなのかはまだ誰も知らない。
広大な土地に新たな街が建設されている。
御堂家の所有する土地を中心に、周辺の山林や街を買って行き拡張している。
まだまだ始まったばかりだが、東京23区の半分ほどの広さになる予定だ。
今後、そこに様々な機能を集中して行く。
政治は東京と「御虎」シティに二分化する。
経済は実質的に日本を支配する「御堂グループ」の本部を置く。
多分、大手企業や優秀な会社は本社拠点を「御虎」シティに置くだろう。
そして、「虎」の軍の軍事施設も当然置く。
人口も増えて行くはずだ。
俺や栞たちはサンドイッチをいただき、亜紀ちゃんは他の料理も頬張っていた。
栞と鷹が大笑いしていた。
六花は士王と吹雪に嬉しそうにいろいろ食べさせている。
「あなたはどこでも無茶苦茶ね」
「俺のせいじゃねぇよ!」
俺は買い物に行きたいと言い、残った料理はあとで詰めてくれると言ったが、お店のみなさんでと断った。
亜紀ちゃんが聞いて、ラストスパートをかけた。
店長さんが俺たちと一緒に買い物に付いて来た。
みんなで買いたいものを選び、亜紀ちゃんがとりまとめていく。
肉や魚介類の頼んでいたものを亜紀ちゃんがチェックし、花火も用意されていた。
俺たちは礼を言い、帰った。
荷物は後で届けてくれる。
途中でいつも行く川原に寄って、士王と吹雪を遊ばせた。
士王が溺れたフリをして、六花パイに触ってた。
あいつ、大分ワルになりやがった。
一江と大森は数日、このまま蓮花研究所に残る。
別荘にも誘ったのだが、ここで司令官としての訓練をしたいと言ってきた。
《ポッド》による実践的な訓練は、ここでしか出来ない。
六花のグランディアに響子と鷹、吹雪。
俺のハマーに栞、士王、子どもたちと柳、それに桜花たちが乗る。
別荘には早乙女たちが来る予定だ。
2泊の予定だが、まあ、いつも通りになるのだろう。
助手席には栞が座っている。
「別荘も久しぶりだわ」
「俺たちもしょっちゅう行ってるわけじゃねぇけどな」
「でも、いつの間にか定番になっちゃったわよね」
「ああ、亜紀ちゃんたちを最初に連れてきてからなぁ。まあ、俺自身も毎年のように来ていたけどな」
「え、そうだったの?」
「夏休みなんかはなぁ」
「知らなかったよ!」
「別にいいだろう?」
「もう!」
栞は何を怒っているのだか。
「私も来たかったなー!」
「その頃は栞とまだ付き合ってもいないだろう」
「そうだけどぉー!」
今日は少し甘えたいようだ。
日本に帰って来られて、ようやく沁み渡って来たのだろう。
安心して俺に甘えているのだ。
俺は栞の頭を撫でながら言った。
「まあ、これからは近いんだ。いろいろ一緒にいられるさ」
「うん!」
栞は俺の肩に頭を寄せて喜んだ。
士王は後ろのシートで双子のオッパイを触ろうとして頭をはたかれていた。
「虎蘭と虎水が触られてたなぁ」
「うん、謝っといた」
「こいつのオッパイ好きはなんなんだろうな」
「あなたの血でしょ?」
みんなが笑った。
別荘には11時に着いた。
すぐに子どもたちが荷物を降ろし、部屋の掃除を始める。
双子は昼食の準備だ。
今日はせいろの肉蕎麦のはずだ。
ルーがひたすらに蕎麦を茹で薬味を刻み、ハーがひたすらに肉を焼いて行く。
亜紀ちゃんが別荘全体の拭き掃除をし、柳が布団を干し、皇紀が風呂場の掃除をする。
桜花たちも掃除を手伝い始める。
栞と六花が士王と吹雪を連れて庭に出て遊ばせた。
ロボも一緒に駆け回り、二人と遊ぶ。
俺は響子と一緒にリヴィングのソファでまったりした。
食事が出来て、みんなを集め昼食にした。
「えーと、この後は買い物と掃除の続きかぁ」
「私は買い物に行きます」
亜紀ちゃんはスーパーに頼んでいるものがあるので、俺と一緒に買い物だ。
「栞さんと六花さんと鷹さんはどうします?」
「一緒に行こうかな」
「私も一緒に行きます」
「私も」
「士王ちゃんと吹雪ちゃんはどうしましょうか」
「一緒でいいよ。ここじゃみんな掃除でしょ?」
「響子ちゃんはロボとお休みね」
「うん」
「にゃ」
そういうことになった。
ハマーの中で亜紀ちゃんが言った。
「店長さんが、またタカさんにお礼をしたいって言ってましたよ」
「なんだよ、いつもそんなこと言うんだよなぁ」
「今回はちょっと違うようでして」
「あんだよ?」
「分かんないです」
「聞いとけ!」
みんなが笑った。
スーパーに着いて石神家専用駐車場にハマーを止める。
店長さんが既に待っていた。
「石神先生!」
「ああ、こんにちは。今年もお世話になりますね」
「はい、こちらこそ!」
今日伺う予定はもちろん伝えている。
店長さんが駐車場からの扉を開いて俺たちは中へ入った。
店内は薄暗く、俺たちにスポットライトが当たった。
なんだ?
楽団が『ワルキューレの騎行』を演奏し、合唱団が歌い出す。
「あにこれ……」
店内の明かりが点き、店員全員が俺たちに挨拶した。
離れた場所から近づいて来る一団がいる。
「私どもの社長と副社長、専務と常務が揃っています」
「なんで?」
「石神様に感謝を! うちのスーパーが日本一になり、海外への進出も決まりまして」
「なんの?」
さっぱり分からん。
俺たちは奥に作られたパーティ会場のような場所に連れて行かれ、椅子に座らされた。
スーパーの一角にテーブルや椅子を置いているだけなので、異様に違和感がある。
俺たちが座ると、待たされていた客たちが買い物を始めた。
わざわざ俺たちのために待たせてしまって申し訳ない。
でも、客たちも俺たちの方をみんなが見ている。
なんなんだ。
社長さんたちが挨拶し、名刺を置いて行く。
料理や飲み物が運ばれる。
「あの、買い物に来ただけなんですけど」
「はい。後ほどご案内いたします」
「いや、こんなの困りますよ」
本社の営業部長という人間が来た。
「石神様がここでご提案下さった数々のアイデアを、全国のお店でも出来るだけ展開いたしました」
「あ、そう」
「そのお陰でどんんどん売り上げが上がり、今では競合店の数倍の売り上げになっております」
「良かったね」
「他の地域にも進出しまして、どこも大成功で。石神様が通って下さるこのスーパーは既に聖地と言われることも」
「なんで?」
「御堂総理やローマ教皇まで!」
「なんであの人がぁ!」
「ローマ教皇がフードコートでたい焼きを召し上がり、大層お褒めいただきました!」
「なにやってんのぉー!」
「それ以来、全国、いえ、全世界からクリスチャンの方々が連日押し寄せて下さっています!」
「……」
青の店か。
あの店に集中しないように、この地方のスーパーを訪れて褒め讃えたのだ。
まあ、ありがたいような、余計なお世話なような。
「先日はまたテレビにも取り上げられ、「行列の出来るスーパー」とか言われまして」
「あ、そうですか」
「たい焼き屋は拡張しました」
「よかったね」
「ローマ教皇と御堂総理、そして石神様のお陰であり、元をただせば全て石神様のお導きと」
「いや、俺なんて全然」
「御堂総理もローマ教皇も、石神様との御縁とおっしゃってました」
「あいつらぁ!」
もうどうでもいい。
俺はここで気持ちよく買い物がしたいだけだ。
俺たちのために、ここに場所を空けて会場を作ったようだ。
それほど広くはないが、ビュッフェ形式で軽食と飲み物がある。
仕方なく少し付き合った。
亜紀ちゃんは遠慮なく食べている。
社長さんが俺に話して来た。
「御堂総理にご相談したのですが」
「え、なにを?」
「今建設中の「御虎」シティにうちのスーパーを是非にと」
「ああ、なるほど」
「石神様が懇意にされているのをご存じで、すぐにご了承いただけました」
「そうですか。あそこにこちらのスーパーが入れば素晴らしいですね」
「御虎」シティは存在こそ知られているが、どういうものなのかはまだ誰も知らない。
広大な土地に新たな街が建設されている。
御堂家の所有する土地を中心に、周辺の山林や街を買って行き拡張している。
まだまだ始まったばかりだが、東京23区の半分ほどの広さになる予定だ。
今後、そこに様々な機能を集中して行く。
政治は東京と「御虎」シティに二分化する。
経済は実質的に日本を支配する「御堂グループ」の本部を置く。
多分、大手企業や優秀な会社は本社拠点を「御虎」シティに置くだろう。
そして、「虎」の軍の軍事施設も当然置く。
人口も増えて行くはずだ。
俺や栞たちはサンドイッチをいただき、亜紀ちゃんは他の料理も頬張っていた。
栞と鷹が大笑いしていた。
六花は士王と吹雪に嬉しそうにいろいろ食べさせている。
「あなたはどこでも無茶苦茶ね」
「俺のせいじゃねぇよ!」
俺は買い物に行きたいと言い、残った料理はあとで詰めてくれると言ったが、お店のみなさんでと断った。
亜紀ちゃんが聞いて、ラストスパートをかけた。
店長さんが俺たちと一緒に買い物に付いて来た。
みんなで買いたいものを選び、亜紀ちゃんがとりまとめていく。
肉や魚介類の頼んでいたものを亜紀ちゃんがチェックし、花火も用意されていた。
俺たちは礼を言い、帰った。
荷物は後で届けてくれる。
途中でいつも行く川原に寄って、士王と吹雪を遊ばせた。
士王が溺れたフリをして、六花パイに触ってた。
あいつ、大分ワルになりやがった。
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