富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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《エアリアル》訪問

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 「銀ちゃーん! おはようー!」

 僕が顔を洗い終えてお母さんのお部屋に入ると、お母さんが丁度目を覚ましてベビーベッドの銀世を抱き上げていた。

 
 ぶちゅー、ペロペロペロ、なでなでなで、チュッチュッ……

 
 僕を見つけて銀世を抱いたまま片手で抱き寄せられる。

 「吹雪ー、おはようー!」

 
 ぶちゅー、ペロペロペロ、なでなでなで、チュッチュッ……


 「エヘヘヘヘ、お母さん、おはよう」
 「ちょっと待っててね、銀ちゃんにオッパイあげるから」
 「うん!」

 その前にお母さんは銀世のおしめを替えて、綺麗に拭いてサッパリさせてあげた。
 お母さんがオッパイを出して銀世に吸わせる。
 銀世はすぐにオッパイを吸い出す。
 おかあさんは銀世をなでながら、優しく笑って歌を歌っている。
 ああ、僕もきっとこうだったんだなって思った。
 お母さんはいつも優しいけど、最初からそうなんだ。
 それにお母さんの顔は、この世で最高に綺麗だ。
 その綺麗な顔で、優しく笑っていると見ているだけで幸せになる。
 この綺麗で優しいお母さんと、とっても優しくて楽しくて強いお父さんの子に生まれて、僕は最高に幸せだ。
 「紅六花」の人たちもみんな優しいし、何よりもお母さんを尊敬している。
 この街のひとたちもお母さんや「紅六花」の人たちを大好きで、僕が表に出ると集まって来る。
 「紫苑六花公園」に行くと、みんな集まって来て大変になる。
 銀世もきっとそうなるだろう。
 銀世が満足そうな顔をして、お母さんのオッパイから口を離した。
 士王兄さんもお母さんのオッパイが大好きなことを思い出した。
 まあ、士王兄さんは他のオッパイも大好きだけど。
 
 お母さんがオッパイを終わって、銀世をベビーベッドに寝かせた。
 僕を抱き締めてキスをしてから、洗面所に行く。
 そしてお母さんはお化粧をする。
 僕は一層綺麗になるお母さんをずっと見ている。

 「なーに?」
 「うん、お母さん、きれい!」
 「そう!」

 お母さんはお化粧を止めて僕を抱き締める。

 
 ぶちゅー、ペロペロペロ、なでなでなで、チュッチュッ……

 
 一緒に1階に降りた。

 「総長! 吹雪!」

 タケさんが大声で笑顔で叫ぶ。

 「おはようございます!」
 「ああ、おはよう。朝食をいいかな?」
 「もちろんです! さあ、座って下さい!」

 お店はまだ開店準備で、厨房で小鉄さんや従業員の人たちが働いている。
 小鉄さんが朝食を持って来てくれた。

 「小鉄、ありがとう」
 「ありがとうございます!」

 「どうぞ。今日はこんなですが宜しかったですか?」
 「もちろんだ! 美味しそうだな!」
 「ありがとうございます!」

 小鉄さんがニコニコして厨房に戻った。
 「仕込み」というのをしているのだと、前にタケさんに聞いた。
 いい匂いがして来る。
 今日の朝食は、ハムエッグとスモークサーモン、タマゴサラダでお味噌汁はマイタケとおネギだった。
 美味しい!
 席を立って小鉄さんに「美味しい」と言いに行くと、タケさんと小鉄さんがとても喜んでくれた。 

 そのうちに、何人か「紅六花」の人たちが入って来た。
 キッチさんやカリンさんたちだ。
 いつも何人か「紅六花」の人たちが来る。

 「総長! おはようございます!」
 「おう、おはよう!」
 「おはようございます!」
 「おう、吹雪もおはよう!」

 みんな僕たちのテーブルに座って、お母さんと楽しく話し出す。
 タケさんがいつもの朝食セットを持って来る。
 キッチさんたちは厚切りのトーストと目玉焼きだ。
 食べながらキッチさんが言った。
 
 「総長、後で吹雪を「紫苑六花公園」に連れてってもいいですか?」
 「ああ、頼むよ。吹雪一人じゃ外で遊ばせられないからな」
 「はい! お任せ下さい!」

 タケさんがキッチさんに言った。

 「分かってると思うけどよ、こないだ栞さんがとんでもねぇ《デモノイド》に襲撃された。気配が感知出来ねぇんだってよ」
 「はい、知ってます」
 「ここにも大層な「霊素観測レーダー」があるけどな。でもそれでも見えない奴ららしい。十分に気を付けてな」
 「はい!」





 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■





 キッチたちが出掛けると、よしこがやって来た。

 「よう、総長は上にいるぞ」
 「ああ、ちょっと違うんだ。さっきジャングルマスターさんから連絡があってよ」
 「あ? ああ、あの方はよしこのことがなんか気に入ってたよな?」
 
 前にジャングルマスターさんが「リッカランド」にいらして、よしこが案内したのだ。
 その時に、ジャングルマスターさんがよしこのことを親切でテキパキとした性格、そして虎の旦那に心酔していることで気に入られたのだ。
 よしこも異様な面相のジャングルマスターさんの内側の優しさや、やはり虎の旦那に惚れ込んでいることで大好きになった。
 二人は個人的にも友人となり、時々連絡を取り合っているようだ。
 今回も、その回線で回って来たものらしい。

 「実はな、アラスカから、《エアリアル》が来たらしんだ」
 「エアリアル? 誰だそいつ?」

 よしこが言うには、《エアリアル》は軍事兵器のスペシャリストらしい。
 アラスカのヘッジホッグなどの中枢システムは《エアリアル》が組んだのだと言われた。
 超VIPなお方なのは分かった。

 「長らく極秘事項だったんだが、もう虎の旦那が仲間には公表するらしいから、俺にも教えてもらえたんだ」
 「そうなのか。あたしなんかも知っていいのか?」
 「ああ、それなんだがな。どうも《エアリアル》がここに来るらしいんだよ」
 「なんだと?」
 「「紅六花」に興味があるんだとさ」
 「あたしらかぁ?」
 「そうなんだよ。元々素人で兵士でもなんでもなかった俺たちが、今じゃアラスカの上級ソルジャー以上の強さだ。そういうことに興味を抱いたらしい」
 「ああ、なるほどな」
 「それから、俺たちのことを調べたらしいよ。総長のことなんかもな。それで《エアリアル》がますます俺たちに興味を持った。だから日本に来たら真っ先に来たいと言ってたらしい」
 「そうなのかよ。なんか分かんねぇなぁ」
 「まあ、来たらここに顔を出すだろうよ。タケの店はよく知ってるみたいだからな」

 よしこが笑っていた。

 「ああ、分かった」
 「背の高い、金髪の綺麗な女性らしい。もちろん護衛も一緒だ」
 「そうか。じゃあ失礼のないようにするよ」
 「頼むな。いつ来るのかは流石に分からない。でも近いうちだとジャングルマスターさんが言ってた」
 「そうか。他の連中にも言っておくか?」
 「そうだな。じゃあ、そっちは俺がやっておくよ」
 「うん。あたしは総長に話しておく」
 
 よしこが帰って行った。
 今、キッチたちが出掛けて行ったのを思い出した。
 一瞬連絡しようかと思ったが。

 「まさかな」

 後で思い切り後悔した。
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