39 / 43
1章
第28話 聖女、さらわれる!
しおりを挟む
三人で闇に染まった暗い森を歩く。
木々は枯れ、動物は死に、暗黒の世界と化した森を進んでいくのはなかなかに心細い。
「お、お姉さま……」
ベルちゃんが手をにぎってきた。
そっと握り返してあげる。
「大丈夫だよベルちゃん。もう少し、もう少しだから。ほら、もうあんな近くにフルーチェさんのお城が見えるよ」
「グレーチェね」とミーちゃん。「でも、ほんとにもうすぐだよベル。もうすぐこんな気味悪い森ともおさらばできるか――ら?」
突然、前を行くミーちゃんが立ち止まった。
「ミーちゃん?」
「……瘴気の向こう、誰か、いる」
「え?」
ミーちゃんの見ている先に視線を移す。
闇のもやの向こう、たしかにおぼろげにふたつの影が浮かび上がった。
「……警戒してね」
ミーちゃんはナイフを構えた。
「敵さんなの?」
「こんなところで出会うんだから、まちがいないよ」
「でも、迷ってる人だったりしたら……あ」
やがてモヤが消え、はっきりと見えるようになった。
ふたりの小さな女の子だ。
「……きれい」
思わず声が漏れた。
長くサラサラな髪に上品なワンピース、端正な顔も相まってまるでお人形さんみたいだ。
しかも、寸分違わず同じ容姿をしている。
「この子たち……双子ですの?」
「年はベルちゃんくらいかなぁ? ねえどうしたの? こんなところにいたらあぶないよ?」
「あ、クーちゃんそんな不用意に近づいたら――」
「ワタシは藍晶、グレーチェ・スティリル・アルセラート・アンダーハート様の忠実なる下僕」
「ワタシは翠晶、グレーチェ・スティリル・アルセラート・アンダーハート様の敬虔なる眷属」
「……え?」
「主は藍晶を救ってくれた」
「主は翠翔を必要としてくれた」
ミーちゃんが眉間にシワを寄せた。
「……なにを言ってるの? グレーチェの……仲間?」
「さあ……あのグレーチェが人助けなどするとは思えませんが……」
「…………」
でも、ふたりの瞳に嘘はない。
彼女たちはフルーチェさんが好きなんだ。
「この藍晶が」
「この翠晶が」
お互いの手のひらを合わせた。
「「あなたたちに無機質な死を」」
ズモモモモモモモッ!
ふたりのスカートの裾からタコさんの足のようなものが飛び出してきた。
勢いよくわたしたちに巻き付こうとしてくる。
「わわっ!? な、なにこれ!?」
「触手だ! 絡め取られると厄介だよ!」
「結局敵でしたの!? それにしてはまるで殺気が――」
ミーちゃんがナイフを繰り出した。
「はああああああっ!」
バシュ! ズバシュ!
次々に切り落としていく。
「ミーちゃんやったぁ!」
「……うん、でも」
「あ」
触手さんは切られても切られても再生してしまっていた。
うねうねとうごめいてわたしたちを狙っている。
「はぁっ!」
ベルちゃんも魔法を放った。
ズズゥン……!
「ベルちゃんやったぁ!」
「……いえ、やはりこれくらいでは」
「あ」
触手さんはやっぱり再生し始めてしまっている。
「こうなれば、あの子たちを狙うしかありませんわ……」
「でも、触手が邪魔でなかなかあそこまでは……」とミーちゃん。
「ですわね……なかなかの強敵ですわ……」
「ど、どどどどどうしよう!?」
藍晶ちゃんと翠晶ちゃんは控えめに言ってとてもかわいい。
できれば傷つけたくはないんだけど……。
「聖女の仲間、一筋縄ではいかない」
「聖女の仲間、強くたくましき者」
ふたりも警戒を強くしている。
「――み、皆さんっ!」
と、草葉の陰から瑠々ちゃんが飛び出してきた。
「び、微力ながらお助けしますっ!」
「ありがとう瑠々ちゃん!」
「聖女の仲間、増えた……」と藍晶ちゃん。
「このままでは、任務が……」と翠晶ちゃん。
ミーちゃんは俄然やる気になって、
「よし、瑠々も参戦してくれるならなんとかなりそうかな」
「ええ。忍者ならばこのような曲者にも対処が――」
「あ~れ~!」
わたしはぐるぐるに巻き付かれて巻き取られてしまった。
「って、お姉さま!?」
「くっ、これからだったのに!」
「聖女の奪取が最優先」
「聖女こそが一番の標的」
「ごめんねみんな~!」
「クーちゃあああああああん!」
藍晶ちゃんと翠晶ちゃんはわたしを捕らえたらすぐに撤収、わたしはぐるぐる巻きにされたまま連れ去られてしまった。
*
「…………」
目の前のなが―いテーブルには、それはもう豪華なお料理が並べられている。
「ほらククリル、これなんかおいしいわよぉん? どう? 口に合わない?」
「…………パクパク」
「あ、こっちもおいしいのぉん。これ、世界でも希少な珍獣の睾丸で作った料理なの。どうかしら?」
「…………もぐもぐ」
「もう、まだ怒ってるのぉん? 怒った顔もかわいいけど、笑顔も見させてほしいわぁん」
「むむむ……!」
わたしはお口をフキフキしながらフルーチェさんをにらむ。
ここはフルーチェさんのお城の食堂、お料理のおもてなしをされていたのだった。
「怒って当然だよ! お料理はおいしいけど、いきなり連れてこられたんじゃ誰だって怒るよ!」
「だってこうしないとふたりきりになれなかったじゃない。邪魔なお友達もいたことだし」
「みんなは邪魔なんかじゃないよ! パーティーしたいならみんなも呼べばよかったでしょ!」
「私にとっては邪魔なのよぉん。私のククリルに手を出す泥棒猫だもの」
「ど、泥棒猫?」
「お料理はお口に合わなかったみたいねぇん。あの料理長、あとでこらしめてやらないと……。そうねぇ、ならお洋服はどうかしら? ククリルが好きそうなお洋服がいっぱいあるわよぉん♡」
「お、お洋服!?」
お洋服……!
そうだ、わたし、フルーチェさんに会ったらまたお洋服をもらいたいって……!
「ハッ!?」
ブンブン首を振る。
「ダメ! まずはミーちゃんたちと合流させて! お洋服をもらうのはその後で!」
「ちゃっかり服はもらうつもりなのね……」
フルーチェさんは苦笑した。
「まあ、いいわ。そんなに私のものになりたくないのなら仕方がない」
「え?」
顎をクイッと持ち上げられた。
「……ぁ」
「私がそう念じて血を吸えば、あなたは嫌でも私のものになる……」
髪を後ろにはらわれ、首筋をあらわにされる。
フルーチェさんはうっとりと私の首筋を見つめている。
「永遠に、私のものに……」
口を開くと鋭い牙がのぞいた。
ゆっくりと、ゆっくりと、顔が近づいてくる。
「…………」
わたしは、金縛りにあったみたいに指先ひとつ動かすことができない。
――コンコン
「失礼します」
カチャリ、と扉が開いた。
「……ぅ」
空気が弛緩し、首を動かすことができるようになった。
藍晶ちゃんと翠晶ちゃんだ。
「なんなの? 今いいところなのわかってるわよね?」
「申し訳ありません、グレーチェ・スティリル・アルセラート・アンダーハート様。侵入者です」
「恐れ入ります、グレーチェ・スティリル・アルセラート・アンダーハート様。急ぎご報告をと」
「はぁ、ほんっと邪魔よねぇククリルの取り巻きたち」
フルーチェさんは眉間にしわを寄せた。
「ま、いいわぁん。ククリルとの永遠を邪魔されないためにも、今のうちに排除しておく必要があるし」
ふたりをにらみつけて。
「なにしてるの? 早く行きなさい。あんたたちが始末できていればこうはならなかったのよ?」
「はい、今すぐに」
「今度こそは、命を賭して」
ふたりは音もなく去っていった。
あわてて立ち上がる。
「ダ、ダメ! そんなこと、させな、い……?」
グラァ、と視界がゆがむ。
そのまま尻もちを付いてしまった。
「あ、あれぇ?」
「フフ」
ぼんやりとした世界の中でフルーチェさんが笑っている。
「お料理にちょ~っとだけ特製闇スパイスを混ぜさせていただいたわぁん」
「ん~……」と、品定めするみたいにわたしを見つめる。
「ククリルには吸血鬼の衣装を着てもらいましょう。これからずっとずっといっしょにいるのだから」
「……あ」
首筋を撫でられる。
そして胸のリボンを外されて、為すすべなく服を脱がされていく。
「ふふ……かわいい……♡」
肌があわらになると胸元を舐められた。
鳥肌が立ったけど、イヤというわけでもない絶妙な感触……。
そして着せかえ人形みたいにお洋服を着換えさせられた。
「さあククリル。これがあなたの新しい正装よ」
「…………」
食堂には大きな鏡が置かれていた。
わたしは白いシャツに赤い蝶ネクタイを付けて、その上にはマントと一体化したような外は黒、内は赤のジャケットを羽織り、下は少し短めのスカートを履いていた。
赤・黒・白でまとめられたかわいらしい吸血鬼姿だった。
「か、かわいい……! こんなお洋服世界のファッションカタログで見たことある……!
あ、ありがとうございますフルーチェさん……!」
「フフッ、そんな状態になってもまだお礼を言うなんて、そんなマイペースなところも好きよ」
やさしく頭を撫でられた。
「今はここまで。帰ってからゆっくり楽しませてあげるから、ここでおとなしく待っててね、ククリル」
「あ、待って、待って――」
扉が閉まる音がするのと同時に、わたしは床に倒れてしまった。
頭が重い。
起き上がれない。
「み、みんな……」
(つづく)
木々は枯れ、動物は死に、暗黒の世界と化した森を進んでいくのはなかなかに心細い。
「お、お姉さま……」
ベルちゃんが手をにぎってきた。
そっと握り返してあげる。
「大丈夫だよベルちゃん。もう少し、もう少しだから。ほら、もうあんな近くにフルーチェさんのお城が見えるよ」
「グレーチェね」とミーちゃん。「でも、ほんとにもうすぐだよベル。もうすぐこんな気味悪い森ともおさらばできるか――ら?」
突然、前を行くミーちゃんが立ち止まった。
「ミーちゃん?」
「……瘴気の向こう、誰か、いる」
「え?」
ミーちゃんの見ている先に視線を移す。
闇のもやの向こう、たしかにおぼろげにふたつの影が浮かび上がった。
「……警戒してね」
ミーちゃんはナイフを構えた。
「敵さんなの?」
「こんなところで出会うんだから、まちがいないよ」
「でも、迷ってる人だったりしたら……あ」
やがてモヤが消え、はっきりと見えるようになった。
ふたりの小さな女の子だ。
「……きれい」
思わず声が漏れた。
長くサラサラな髪に上品なワンピース、端正な顔も相まってまるでお人形さんみたいだ。
しかも、寸分違わず同じ容姿をしている。
「この子たち……双子ですの?」
「年はベルちゃんくらいかなぁ? ねえどうしたの? こんなところにいたらあぶないよ?」
「あ、クーちゃんそんな不用意に近づいたら――」
「ワタシは藍晶、グレーチェ・スティリル・アルセラート・アンダーハート様の忠実なる下僕」
「ワタシは翠晶、グレーチェ・スティリル・アルセラート・アンダーハート様の敬虔なる眷属」
「……え?」
「主は藍晶を救ってくれた」
「主は翠翔を必要としてくれた」
ミーちゃんが眉間にシワを寄せた。
「……なにを言ってるの? グレーチェの……仲間?」
「さあ……あのグレーチェが人助けなどするとは思えませんが……」
「…………」
でも、ふたりの瞳に嘘はない。
彼女たちはフルーチェさんが好きなんだ。
「この藍晶が」
「この翠晶が」
お互いの手のひらを合わせた。
「「あなたたちに無機質な死を」」
ズモモモモモモモッ!
ふたりのスカートの裾からタコさんの足のようなものが飛び出してきた。
勢いよくわたしたちに巻き付こうとしてくる。
「わわっ!? な、なにこれ!?」
「触手だ! 絡め取られると厄介だよ!」
「結局敵でしたの!? それにしてはまるで殺気が――」
ミーちゃんがナイフを繰り出した。
「はああああああっ!」
バシュ! ズバシュ!
次々に切り落としていく。
「ミーちゃんやったぁ!」
「……うん、でも」
「あ」
触手さんは切られても切られても再生してしまっていた。
うねうねとうごめいてわたしたちを狙っている。
「はぁっ!」
ベルちゃんも魔法を放った。
ズズゥン……!
「ベルちゃんやったぁ!」
「……いえ、やはりこれくらいでは」
「あ」
触手さんはやっぱり再生し始めてしまっている。
「こうなれば、あの子たちを狙うしかありませんわ……」
「でも、触手が邪魔でなかなかあそこまでは……」とミーちゃん。
「ですわね……なかなかの強敵ですわ……」
「ど、どどどどどうしよう!?」
藍晶ちゃんと翠晶ちゃんは控えめに言ってとてもかわいい。
できれば傷つけたくはないんだけど……。
「聖女の仲間、一筋縄ではいかない」
「聖女の仲間、強くたくましき者」
ふたりも警戒を強くしている。
「――み、皆さんっ!」
と、草葉の陰から瑠々ちゃんが飛び出してきた。
「び、微力ながらお助けしますっ!」
「ありがとう瑠々ちゃん!」
「聖女の仲間、増えた……」と藍晶ちゃん。
「このままでは、任務が……」と翠晶ちゃん。
ミーちゃんは俄然やる気になって、
「よし、瑠々も参戦してくれるならなんとかなりそうかな」
「ええ。忍者ならばこのような曲者にも対処が――」
「あ~れ~!」
わたしはぐるぐるに巻き付かれて巻き取られてしまった。
「って、お姉さま!?」
「くっ、これからだったのに!」
「聖女の奪取が最優先」
「聖女こそが一番の標的」
「ごめんねみんな~!」
「クーちゃあああああああん!」
藍晶ちゃんと翠晶ちゃんはわたしを捕らえたらすぐに撤収、わたしはぐるぐる巻きにされたまま連れ去られてしまった。
*
「…………」
目の前のなが―いテーブルには、それはもう豪華なお料理が並べられている。
「ほらククリル、これなんかおいしいわよぉん? どう? 口に合わない?」
「…………パクパク」
「あ、こっちもおいしいのぉん。これ、世界でも希少な珍獣の睾丸で作った料理なの。どうかしら?」
「…………もぐもぐ」
「もう、まだ怒ってるのぉん? 怒った顔もかわいいけど、笑顔も見させてほしいわぁん」
「むむむ……!」
わたしはお口をフキフキしながらフルーチェさんをにらむ。
ここはフルーチェさんのお城の食堂、お料理のおもてなしをされていたのだった。
「怒って当然だよ! お料理はおいしいけど、いきなり連れてこられたんじゃ誰だって怒るよ!」
「だってこうしないとふたりきりになれなかったじゃない。邪魔なお友達もいたことだし」
「みんなは邪魔なんかじゃないよ! パーティーしたいならみんなも呼べばよかったでしょ!」
「私にとっては邪魔なのよぉん。私のククリルに手を出す泥棒猫だもの」
「ど、泥棒猫?」
「お料理はお口に合わなかったみたいねぇん。あの料理長、あとでこらしめてやらないと……。そうねぇ、ならお洋服はどうかしら? ククリルが好きそうなお洋服がいっぱいあるわよぉん♡」
「お、お洋服!?」
お洋服……!
そうだ、わたし、フルーチェさんに会ったらまたお洋服をもらいたいって……!
「ハッ!?」
ブンブン首を振る。
「ダメ! まずはミーちゃんたちと合流させて! お洋服をもらうのはその後で!」
「ちゃっかり服はもらうつもりなのね……」
フルーチェさんは苦笑した。
「まあ、いいわ。そんなに私のものになりたくないのなら仕方がない」
「え?」
顎をクイッと持ち上げられた。
「……ぁ」
「私がそう念じて血を吸えば、あなたは嫌でも私のものになる……」
髪を後ろにはらわれ、首筋をあらわにされる。
フルーチェさんはうっとりと私の首筋を見つめている。
「永遠に、私のものに……」
口を開くと鋭い牙がのぞいた。
ゆっくりと、ゆっくりと、顔が近づいてくる。
「…………」
わたしは、金縛りにあったみたいに指先ひとつ動かすことができない。
――コンコン
「失礼します」
カチャリ、と扉が開いた。
「……ぅ」
空気が弛緩し、首を動かすことができるようになった。
藍晶ちゃんと翠晶ちゃんだ。
「なんなの? 今いいところなのわかってるわよね?」
「申し訳ありません、グレーチェ・スティリル・アルセラート・アンダーハート様。侵入者です」
「恐れ入ります、グレーチェ・スティリル・アルセラート・アンダーハート様。急ぎご報告をと」
「はぁ、ほんっと邪魔よねぇククリルの取り巻きたち」
フルーチェさんは眉間にしわを寄せた。
「ま、いいわぁん。ククリルとの永遠を邪魔されないためにも、今のうちに排除しておく必要があるし」
ふたりをにらみつけて。
「なにしてるの? 早く行きなさい。あんたたちが始末できていればこうはならなかったのよ?」
「はい、今すぐに」
「今度こそは、命を賭して」
ふたりは音もなく去っていった。
あわてて立ち上がる。
「ダ、ダメ! そんなこと、させな、い……?」
グラァ、と視界がゆがむ。
そのまま尻もちを付いてしまった。
「あ、あれぇ?」
「フフ」
ぼんやりとした世界の中でフルーチェさんが笑っている。
「お料理にちょ~っとだけ特製闇スパイスを混ぜさせていただいたわぁん」
「ん~……」と、品定めするみたいにわたしを見つめる。
「ククリルには吸血鬼の衣装を着てもらいましょう。これからずっとずっといっしょにいるのだから」
「……あ」
首筋を撫でられる。
そして胸のリボンを外されて、為すすべなく服を脱がされていく。
「ふふ……かわいい……♡」
肌があわらになると胸元を舐められた。
鳥肌が立ったけど、イヤというわけでもない絶妙な感触……。
そして着せかえ人形みたいにお洋服を着換えさせられた。
「さあククリル。これがあなたの新しい正装よ」
「…………」
食堂には大きな鏡が置かれていた。
わたしは白いシャツに赤い蝶ネクタイを付けて、その上にはマントと一体化したような外は黒、内は赤のジャケットを羽織り、下は少し短めのスカートを履いていた。
赤・黒・白でまとめられたかわいらしい吸血鬼姿だった。
「か、かわいい……! こんなお洋服世界のファッションカタログで見たことある……!
あ、ありがとうございますフルーチェさん……!」
「フフッ、そんな状態になってもまだお礼を言うなんて、そんなマイペースなところも好きよ」
やさしく頭を撫でられた。
「今はここまで。帰ってからゆっくり楽しませてあげるから、ここでおとなしく待っててね、ククリル」
「あ、待って、待って――」
扉が閉まる音がするのと同時に、わたしは床に倒れてしまった。
頭が重い。
起き上がれない。
「み、みんな……」
(つづく)
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
「え、俺なんかしました?」無自覚チート《概念編集》で石ころを魔石に、なまくらを聖剣に書き換えて、国を追われた聖女様と世界を救う
黒崎隼人
ファンタジー
◆◇◆完結保証◆◇◆
◆◇◆毎日朝7時更新!◆◇◆
「え、俺なんかしました?」
ごく普通の大学生、朝霧 海(あさぎり かい)が迷い込んだのは、剣と魔法が息づく異世界エーテルディア。右も左も分からぬままモンスターに襲われた彼を救ったのは、聖なる光を操る謎の美少女、ルミナだった。
彼女は言った。『あなた、一体何者なの?』と。
カイ自身も知らない、触れたモノの”理”を書き換えるチート能力《概念編集(リアライター)》。
「ただの石」が「爆ぜる魔石」に? 「なまくらの剣」が「伝説級の聖剣」に!?
無自覚に規格外の力を振るうカイは、やがて国を追われる訳ありの少女ルミナと共に、巨大な陰謀に立ち向かう運命に巻き込まれていく。
これは、一人の平凡な青年が、大切な人を守るために世界の理すら書き換えて最強へと至る、王道異世界ファンタジー!
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
妹が「この世界って乙女ゲーじゃん!」とかわけのわからないことを言い出した
無色
恋愛
「この世界って乙女ゲーじゃん!」と言い出した、転生者を名乗る妹フェノンは、ゲーム知識を駆使してハーレムを作ろうとするが……彼女が狙った王子アクシオは、姉メイティアの婚約者だった。
静かな姉の中に眠る“狂気”に気付いたとき、フェノンは……
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる